武士の流儀〈一〉 稲葉稔
町奉行所の与力だった桜木清兵衛は、重篤な病気に罹り余命少しの診断をされ五十才で真之介に家督を譲り隠居した。病気は治り、五十二才で楽隠居を楽しむ。
真福寺橋 真福寺橋の袂で侍が斬られる所を見た。清兵衛は何も出来なかった。斬られた男・横田耕三郎の連れの男・大木仁右衛門も何も出来なかった。大木仁右衛門のために横田を斬った男を探す。横田はたえという娘が悪そうな男に絡まれている所を助けた。たえは横田からも逃げた。たえが働く小料理屋で横田がたえに手を出したことにされ、尾ひれがつき手込めにされたと噂された。たえを贔屓にしていた篠塚敬四郎が横田を殺した。大木が篠塚を呼び出し敵討ちに出るところ、頃を見計らい清兵衛が篠塚を捕まえ、縄を掛け、藩の江戸屋敷に連れていく。篠塚の諏訪藩と話しあわれ諏訪藩に身柄を渡された。
犬の仕業 清兵衛の所に来る棒手振りの魚屋・文次が昼寝中の老人の八両入った巾着を盗んだ疑いで捕まりそうな所に清兵衛は居合わせた。文次は違うと言うが岡っ引き・東吉は捕まえようとする。清兵衛は東吉の助けをして調べることにした。取ったのは老人と同じ長屋に住む浪人だった。調べている過程で浪人の仕官が決まったことを知った清兵衛は、東吉に犬が咥えて捨てていたことにしようと提案した。お金は戻ったのだから。
身を捨ててこそ 桜木真之介と同輩の与力・生駒剛太郎は、酔って帰る途中、手を握る男と女に逢引きか、忍び逢いとは羨ましいとからかった。刀を抜く、抜かないになり、止める女を押しのけた。女は転んだ。二人が行こうとすると男がこのままでは済まぬと言い、名前を聞く。二人は名乗った。相手も名乗った。大番組番士・夏目千右衛門。女は小十人組組頭・坂口官兵衛の娘だった。
酔いが醒めた二人はどうするか迷う。清兵衛は大切なのは誠意だ。腹を切る覚悟で、命がけで謝れと言う。夏目は土下座されそこまでの侘を入れられれば何が出来よう。天晴れ。何も無かったことにすると言った。
救いの神 乾物屋の津田屋の息子・佐吉が勾引かされていることを知った。身代金の要求もあり、奉行所には知らせないという津田屋のために動く。佐吉を助け出し犯人の浪人と女を捕まえた。
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