裏用心棒譚〈二〉 流葉断の太刀 上田秀人
小宮山一之臣は両国広小路を縄張りとする掏摸の元締め蔵破りのお梗と夫婦になっている。
印旛沼の開拓に失敗した田沼意次は、地位が危なくなった。松平越中守定信を押さえ込むために左兵衛を使うことにした。次郎吉を呼び、江戸城内紅葉山の東照宮から定信が盗んだ村正作・流葉断の太刀を取り返して来るように命じた。
小宮山、梗、次郎吉、左兵衛たちが調べ始める。
松平定信は、流葉断の太刀を盗んだという冤罪を晴らすために自分が取り戻すと田沼に言う。田沼は1ヶ月と期限を切った。田沼は定信を謀り、太刀を取り戻せば執政へ推挙して欲しいと願っている所を老中らに聞かせた。
定信は家臣に白河で偽流葉断の太刀を作らせる。次郎吉が田沼に知らせる。田沼は出来上がった太刀を盗むことを命じる。小宮山は江戸へ運ぶ途中の草加で掃部と斬りあっている間に掃部の背から太刀を盗んだ。
定信は流葉断の太刀を返した。老中への推挙がしてもらえるならと思ったが、田沼は偽の太刀を出し、推挙をするなら今回のことを上様に話してからすると言われる。
定信は家臣・掃部に太刀を取った者を探し出すように命じた。
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