2020年2月7日金曜日

希望と殺意はレールに乗って

希望と殺意はレールに乗って 山本巧次
 アメかぶ探偵事件簿
 大手出版会社・講栄館の編集者・宝木啓輔が、伝説の編集者と言われる沢口栄太郎89才が話す、ミステリー作家・城ノ内和樹との探偵譚を聞く。

 昭和32年ごろの話。若い二人が事件に絡んだのは、城ノ内が、元子爵・奥平憲明の敷地内の借地に家を建て住んでいたことで、奥平家の明治維新までの領地・長野清田村の村長と村会議員が奥平家を訪れ、一緒に東京に来た村会議員が行方不明になったと相談に来たところに居合わせたことから始まる。警視庁の大塚警部と情報を交換する。
 行方不明だった原渕剛造が遺体で見付かった。国鉄誘致のための手土産・五十万円が無くなった。城ノ内と沢口は奥平家のお姫さま・奥平真優と清田村に行く。
 清田村のどこを線路が通るかで村を2分して揉めていた。通った後の観光地化のために名古屋から不動産屋も現れていた。聞き回る、城ノ内と沢口は不動産屋が連れている男達に襲われるが、真優が撃退する。不動産屋に家を貸していた大乃木も命を狙われる。不動産屋・折本が死んだ。折本は原渕の紹介で村を訪れていた。
 原渕と折本と代議士の村河は終戦間際、松代大本営から物資を盗み原渕の実家に隠していた。嗅ぎつけた憲兵を殺している。原渕は鉄道が通るはずということで折本を村紹介したが、代議士と折本は別ルートの応援に回っていた。原渕が気付き折本脅迫に回ったため、大乃木をアリバイ工作に使い、原渕を東京で殺した。折原が名古屋から東京に行くために村河が手を貸していた。アリバイ工作に利用した大乃木も殺されそうになった。警察から逃れるために折本は村人・片田に匿ってもらうが、崖から落ちるであろうルートを教えられ事故に遭い死ぬ。片田は元憲兵で殺された憲兵の友人だった。終戦後、清田村出身の片田は原渕を見張り続けていた。
 鉄道は清田村を通らなかった。村河は収賄で逮捕、政治生命は終わった。

沢口が調べると、六十過ぎの城ノ内と真優の並んで微笑む画像が現れた。

 

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