2020年2月27日木曜日

この世の春上・中・下

この世の春上・中・下 宮部みゆき
 下野北見藩藩主・北見重興が強制隠居になり居城から別邸・五香苑の座敷牢に移った。重興は幼少期に父親から苛まわれ、誰にも言えないことから自分の内に別人格の者を作ってしまった。その者たちが頻繁に現れ家臣たちに不審がられ隠居に追い込まれた。
 藩医の三男・白田医師と元江戸家老・石野織部、御霊繰ができる刀自の孫・各務多紀、多紀の従兄・田島半十郎が重興を救うため重興に起ったことを調べ始める。
 重興が取り立て権勢をほしいままにしたご用人頭・伊東成孝は切腹したことになっているが、五香苑に捕らわれていた。成孝は16年前に村ごと根絶やしにされた御霊繰の里の住人だった。根絶やしの犯人と理由を調べるために重興に近づいていた。成孝から多紀が刀自の孫だと知らされる。多紀の母は幼少時に田島家に養女になっていたことを知らされる。
 成孝の証言から何人かの子供の勾引かし事件、里ごとの根絶やし事件のことが判る。
 三十年前の重興の父が北見藩の陰廻と北見藩の飛び地・明野領の北見一門を守る狭間を一つにしようとしたことが判った。潰されそうになった狭間の一人・桐葉の呪術によって父親が重興を苛んだ事実あきらかになる。
 明らかになり、白田医師に、多紀に事実を話すことで、重興の別人格が消えていった。
 重興は多紀と根絶やしにされた村跡に住むことにした。

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