2021年6月4日金曜日

たすけ鍼 立夏の氷菓子

たすけ鍼 立夏の氷菓子 山本一力

 衣替え 尊宅検校の娘・さゆりは身体に剛毛が生えている。検校が嫌われ者の高利貸しの所為だと言われている。染谷が鍼と灸で取り除いた。染谷は検校がみなに内緒で目の不自由な子に按摩の技を教えていることを知った。

 居眠り初め 湯屋の二階で食中毒患者が五人出た。家に帰っていた娘・いまりも一緒に往診に行く。鍼と灸で痛みと食あたりを治した。いまりは父親の技を初めて見た。感銘を受けた。

 正徳の湯 1834年 染谷と妻・太郎は、昭年夫婦が行っている箱根の芦の湯へ行く。染谷は按摩に文句を言う江戸の左官職人に歩き方が悪いと歩き方の極意を教えた。

 にんじん船 江戸で出回る偽朝鮮人参を栽培しているのか調べるために川崎宿に泊まった。にんじん船が来るとの情報で滞在する。にんじん船でやってきたのは、金持ちの商家の主人たちの贅沢な賭場を兼ねた宿泊だった。客を案内するのは品川遊郭の当主・野崎屋勝太郎だった。勝太郎が急な腹痛を起こし染谷が呼ばれる。灸で治した。帰りは江戸まで船で送られた。
 四十年前、辰巳の太郎の客だった。品川の格を上げるために遊びを習うために辰巳に来ていた。勝太郎は染谷と昭年がやっている無償でやっている寺子屋の手伝いをしてくれた。

 つぶ餡こし餡 太郎が応援している菓子屋・中村屋の主人が腰痛で染谷が行く予定だった。にんじんが入った膏薬で治ったと言う。扱っているのはやくざ者で騙されているのだが、菓子が売れるようにしたりするものだから主人は彼らから離れられない。染谷が行っても追いかえされる。

 立夏の氷菓子 中村屋の主人が騙されている膏薬を売っているのは呉れ尾という渡世人だった。博打が好きな薬種問屋・鵜ノ木屋の隠居が、溜まった負け金の代わりにクズ人参を渡したのが始まりだった。隠居は強請られるようになっていた。知り合いの野島屋の紹介で隠居に相談された染谷は脇坂安勝に相談する。市中の襲いかかる難儀の時、筆頭となって援助活動をすることを家訓とすることで、内密に処理することにした。呉れ尾の跡地は火除け地になった。

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