2021年7月30日金曜日

無水独言

無水独言 勝小吉

2021年7月26日月曜日

弥勒シリーズ⑩ 花下に舞う

弥勒シリーズ⑩ 花下に舞う あさのあつこ

 佐賀屋という表は口入屋、裏は金貸しをしている夫婦が殺された。驚いたまま死んだような顔だった。

 小暮信次郎は、亡くなって二十年くらいになる母の命日に寺へ行く。住職と話し、母の話になった。寺の普請のためお金を集めていた。百両箱を作り百二十両を入れていたが無くなった。寺の勘定方の僧が毒を飲んだ時、寺に来合わせた母・瑞穂が、僧から毒を吐き出させ一命を取り止めた。お金が無くなった話を聞き、箱が二つ作られたこと出入りしても不思議がない者が犯人だと言い当てた。箱職人・重蔵と大工・佐吉が犯人だった。箱職人は捕まったが大工は今も捕まっていないと言う話だった。
 信次郎には、母の言葉で忘れられない物があった。「死の間際、何をみたのであろうか」
 信次郎は大工の棟梁に二十年前の話を聞く。大工の棟梁は四、五才だった時、信次郎が尋ねた大工・佐吉のことを尋ねてきた武家の女を覚えていた。信次郎の母だった。母は何を調べていたのだろう。

 佐賀屋の死んだ元内儀の弟・今の屋の主人・榮三郎が少し前に亡くなっていた。金貸しの佐賀屋は葬式の時、店や土地全てを差し押さえるようなことを言った。葬式の手伝いをした遠野屋の下働き・弥吉の話から信次郎は榮三郎が生きていることを突き止める。榮三郎は毒を飲み死んでしまう。
 佐賀屋の殺された内儀・月は扇屋の主人・安芸屋籐左ヱ門と密会していた。籐左ヱ門の内儀・佐江が知り、佐江は籐左ヱ門の名前で裏木戸を開けておくようにと手紙を出した。籐左ヱ門と月の関係を知った伊佐治が籐左ヱ門に話を聞いている時、佐江は書き置きを残し毒を飲む。
 遠野屋で伊佐治が榮三郎と佐江が示し合わせてのようだと話す横で、清之介は、こんな入り組んだ尋常でないやり方を誰が考えたのかと問う。小暮さんは納得していないでしょう。

 信次郎は、伊佐治と清之介を連れて寺へ行く。母の言葉は「死の間際、何を見るのであろうか」だった。信次郎は二十年前の事件を明らかにする。筋書きを描いたのは住職だった。事件は、弟僧が賭場を仕切りかなりの金子を稼いでいることを知った兄僧を自裁に見せかけるために仕組まれた事件だった。賭場にくる重蔵と佐吉は利用された。信次郎の母はそのことを知ったが、賭場に夫の上司がいて有耶無耶にした。これが真相だろうと。
 佐賀屋の徳重は重蔵だった。徳重を見た住職は生かして置けなかった。榮三郎や佐江を利用した。佐江と僧の毒は同じものだった。二十年前の事件と今回の事件を解き明かした信次郎を僧たちが殺そうとする。立ち向かうのは清之介だった。

 

2021年7月23日金曜日

親子十手捕物帳⑥

親子十手捕物帳⑥  親子の絆に恋賭けて 小杉健治

 大島組の親分・常吉が殺された。丸傳一家に目を付けるが、丸傳一家の親分も殺される。
横綱の引退や相撲の興行権のことも関わってくる。丸傳一家から西次郎一家に移った徳三郎が犯人だった。
 辰吉はりさと所帯を持ちたいと思っていた。りさに鳥羽屋の若主人が縁談を申し込んだ。辰吉は自分はりさを幸せにできないと思い所帯を持つ気はないと言った。

 

2021年7月21日水曜日

武士の流儀〈五〉

武士の流儀〈五〉 稲葉稔

お節介夫婦 酒問屋の嫁はまは姑の辛い仕打ちに耐えていた。夫が優しかったが夫まで辛くあたるようになった。身投げしそうなはまを桜木清兵衛が助ける。妻・安江が調べはまの夫・田蔵の浮気を見つける。清兵衛は女の旦那になりすまし芝居をし、田蔵を追い返す。清兵衛夫婦ははまが幸せそうなのをみて喜ぶ。

恋 清兵衛の息子・真之介は水茶屋の娘・ようを嫁にしたいと思った。町娘であることで悩んでいた。清兵衛は真之介の気持ち知り、ようが町年寄樽屋の次男の娘だとわかり話を進めても良いと思ったが、ようの縁談が決まってしまった。

鮨飯 元岡っ引き才次郎は政七に押し込に誘われる。年老いた夫婦ふたりの店だった。才次郎は知り合いの清兵衛に会った。食事をご馳走になる。清兵衛は才次郎に不振を感じ周りをうろつく。押し込みの日、裏口の前で政七は手刀で 倒され、才次郎は清兵衛の自宅で遣り直すよう諭される。

板前 板前の梅三郎は店を辞めさせられ愚痴を言いながら酔っ払っていた。二人の男に強請られている男と出くわすが梅三郎は何を見たかも覚えていなかった。梅三郎は命を狙われる。清兵衛に助けられる。清兵衛は命を狙う者を突き止め、梅三郎が狙われないようにする。清兵衛夫婦と付き合いいろんな話をした梅三郎は人との付き合い方が変わった。仕事に行ける店も決まった。

2021年7月19日月曜日

神様の御用人9 10

神様の御用人9 10      浅葉なつ

萩原良彦 25才のフリーター。会社で野球をしていたが、怪我のため野球ができなくなり会社を辞めた。神様の御用を聞く「御用人」に任命されバイトの合間を縫い、日本全国を飛び回る

黄金 方位の吉兆を司る。狐の姿をした方位神。良彦のお目付役に納まっている。

藤浪孝太郎 良彦も昔馴染み。大主神社の権禰宜。

吉田穂乃香 大主神社の宮司の娘。大学一年生。神や精霊、霊魂などを視る「天眼」の持ち主かって持て余していた自分の能力で、良彦の役にたてないかと奮闘している。

 御用にバイトにと日々忙しく飛び回る萩原良彦と黄金。良彦に正社員の打診があった。正社員になりたいが、そうなったら御用人の仕事に支障がでると悩む。

 日本各地で頻発する地震。黄金は気になることがあると言い残し行方不明になる。

 「大建て替え」の危機に、荒脛巾神と田村麻呂の悲しい過去、黄金の昔の深い後悔を知った良彦は傷だらけの体で荒脛巾神の前に立つ。
 神にもできないことがある。人間だからこそできることがある「神様の御用人」の自分は誰よりも知っている。

 荒脛巾神はアテルイのことモレのこと蝦夷のことを田村麻呂と話せると聞いて泣き出す。田村麻呂は荒脛巾神を阿弖流為の母様と呼ぶ。

 良彦は正社員の話を断る。良彦は神職になるつもり。


後々 を読んで
 小学生が師匠を探している。師匠がいない。父親も不在。母親に行方を聞く。一緒に甘いものでも食べに行ったんじゃないかな。抹茶パフェかな。

 出演 師匠・・・黄金  父・・・良彦  母・・・穂乃香  小学生・・・良彦と穂乃香の息子   これで合っているだろうか。

 

2021年7月17日土曜日

警視庁特殊詐欺追跡班 サイレント・ポイズン 六道慧

 特殊詐欺班は冴子、千紘、春菜、伊都美ら女性が活躍する部署だ。
 ブランド牛の精子と偽って牛の精子を販売したとして、冴子は家畜遺伝資源不正競争防止法で深澤を逮捕した。背後にいる人工授精師をおうためのものだった。だが深澤は手に入りにくい大麻・シンセミアの売人でもあり、麻薬取締官が捜査に介入してきた。

 オーデション商法
 ヤコブ病
 天下人
 薬屋 大麻 危険ドラック 栽培室 調合室 偽造医薬品
 種苗法 廃止するための拐かし

2021年7月15日木曜日

北の御番所反骨目録〈一〉 春の雪

北の御番所反骨目録〈一〉 春の雪 芝村凉也

 意休殺し 用部屋手附同心・裄沢広二郎のところに来て、定町廻り同心・来合轟次郎が附に落ちていない事件の話をする。岡場所で金貸し・三哲が殺され指名された遊女・白糸が捕まり白状した。が、時間が合わない、返り血がない等、合点がいかないらしい。裄沢は、誰かを庇っているなら間夫・呉服屋の手代 のような堅気の者、誰もいなかったようでも、いつでもいても誰も気にも止めないような者が居たかもしれないと言う。合点が行くまで調べることだ。
 白糸には呉服屋の手代をしている、幼馴染の愛しい人がいた。調べられることを拒むために白状していた。犯人は、金貸しに売られた遊女になる前の見習いの小娘だった。いつでも使い走りをしていた。いても気に留めない娘だった。
 来合は娘のために三哲がどれだけ悪どい金貸しか調べている。
 用部屋の外で吟味方与力・甲斐原之里が聞いていた。後礼を言われる。

 深夜行 裄沢が宿直番の夜、隣の商家に泥棒が入ったようだと知らせが来る。裄沢は見習い同心を連れて商家に行く。主人は突然やって来た者はもう帰ったと話す。家族が代わる代わる出て来て話す。主人と子供が店に出て来た時、裄沢は突然、居間に押し入る。女房が人質になっていた。裄沢が犯人を突き飛ばすが、女房は逃げられない。裄沢が庇い、匕首でやられそうになった時、来合が飛び込んできて犯人を捕まえた。
 見習い同心は裄沢の行動を非難するが、来合は女房は懐妊しており長引かせたくなかったのだろうと言った。

 やさぐれ鉄斎 十年前、北町奉行が柳生主膳守久通になり、松平定信の理想を実現すべく性急にまた強引に事を推し進めようとした。裄沢は二十をいくつか超えたばかりの若い頃、本所方同心の本勤になったばかりだった。本所方与力・森川は奉行の言う通りにして本所方の仕事が成り立つと思うかと反論した。毎日の積み重ねで結果が出る仕事を別のことで手を取られおなざりになったことで重大事が起こった時、誰が責任を取るのか等反論した。裄沢は年番方に意見書を出した。本所方に仕事を押し付けられることはなかったが、裄沢は高積見廻りに役を転じられた。
 高積見廻りでも仕事を増やされる。与力の寺本に人数の少ない同心に仕事を増やすなら与力も見回れば良いと言う。与力には与力の仕事があると言う寺本に、他の与力に付きまとって酒宴に誘ったり粗を探し告げ口したりが与力の仕事かと問い質す。翌年度の身分の保障はしないと言われたが、年の暮れまでに奉行が代わり、寺本は隠居した。
 人受けが良くない裄沢を結婚式に呼ぶと言っていた来合の祝言だったが、突然破断になった。日にちまで決まっていた祝言の相手・与力の娘の大奥入りが決まった。尼寺に行くような顔で籠に乗った。寺本の奉行へ美人だと喋った話から出たことだった。何も言わない二人のために、裄沢は与力宅の前で喚く。二人のためになったかは解らない。来合は独り身だ。
 裄沢は、やさぐれ鉄斎(元服の時につけられた名前)といわれいろんな役を転じている。
少し大人しくなったと噂されている。

 春の雪 宿直番の事件後、裄沢は、内与力から奉行・小田切土佐守直年の意向だと言われ、内密の命を受ける。
 根付けを大身が擦られた。掏摸が捕まり曰く付きの根付けの付いた鮫皮の煙草入れがあった。それが奉行所内ですり替えられた。取り戻して欲しいという命だった。誰にも知られずに探さなくてはならない。何も思いつかないまま期限が迫る。番所の手先が古道具屋に入るのを見た。何か引っかかりがあった。そこで鮫川の煙草入れを見つけた。奉行はすり替えた三吉のことも知ったが三吉が手にした五両をそのまま与えた。三吉は手先を辞めた。何も無かった事になった。
  
  裄沢は父が役目中の事故で急死し、突然出仕することになった。十五にもならぬ早めの元服を済ませ、烏帽子親の亡父の友人が嫁を決めた。二つ年上の尋緒だった。裄沢は出仕し始めた頃は仕事を覚えるだけで必死だった。利発であったために裄沢に任せられる仕事の量が増えた。心のゆとりがなく精一杯の毎日を送っていた。十六才で父親になった。娘は亜衣。母親と妻との仲は悪く、裄沢は家に帰っても食って寝るだけの日々を過ごした。突然妻が駆け落ちした。六郷で小舟が転覆し亜衣と男の屍体は見つかった。親戚の家に行く途中の事故ということになった。娘は男の子だった。間も無く母も亡くなった。裄沢は変わった。過剰に押し付けられる仕事を断るようになった。やさぐれと呼ばれるようになった。いつ仕事を辞めさせられるか分からないから奉公人を辞めさせた。尋緒に付いてきた茂助だけが残った。甥だという重次を連れてきた。根付け事件が解決後、菩提寺の裄沢家の墓の前で菰を纏った女が死んでいた。行き倒れの女を無縁仏として供養した。茂助と共に法要に立ち会った。

2021年7月13日火曜日

歌舞伎はスゴイ

 歌舞伎はスゴイ 堀口茉純
 〜江戸の名優たちと”芝居国”の歴史〜


2021年7月11日日曜日

EDO-100

EDO-100   堀口茉純
 〜フカヨミ! 広重「名所江戸百景」〜 

2021年7月9日金曜日

藍染袴お匙帖13 色なき風

藍染袴お匙帖13   色なき風  藤原緋沙子

約束 長女が恋した相手は手代だった。手代は店を辞めさせられる。もらったお金はすられ今では賭場に通うようになっていた。

野分 しじみ売りの寅太、妹が水疱瘡になる。母親は人を傷つけた罪で牢屋にいる。傷つけられたという金貸し甚五郎の悪事を暴いて母親を助ける。

色なき風 商家の娘と武家の恋。兄が殺され仇を打たなければならなくなった。弟と二人で仇討ちをする。きっと帰ってくる。

2021年7月7日水曜日

鉄砲同心つつじ暦

 鉄砲同心つつじ暦 本日も晴天なり 梶よう子

礫丈一郎 三十二才だが、父親・徳右衛門が五十六才で鉄砲百人組同心の役に就いているため内職のつつじに精をだしている。

化けむじな 徳右衛門は俳諧を通じて元勘定奉行・一色丹後守田安家家老と面識があった。一色はつつじが好きだった。徳右衛門の昔馴染み・貫田善七が俳句がしたいとやってきた。一色の屋敷で、勘定頭と勘定役の公金横領を養子に行った息子の仕業と言われ離縁され牢にいることを訴える。徳右衛門は善七を化けむじなと怒った。一色は勘定方の大掃除を命じ不正を明らかにした。

市松哀歌 御先手組同心・多部源五郎が、丈一郎の息子・市松が、息子・新之じょうをいじめたと怒鳴ってきた。塾天心堂の塾生に、新之烝に悪ふざけを仕掛けろ、仕掛けなければ酷い目に合わすと言われた市松は、自分がしなければ新之烝が市松の立場になる。新之じょうは優しいから悪ふざけなぞできない。そうなれば、あの者たちに酷い目に遭わされる。それを避けたかった。と言った。市松の気持ちを知った新之じょうは分かり合えた。市松は塾生の名を言わなかった。

火薬の加役 丈一郎は役に就いていないのに隣の信介と一緒に火薬を運ぶ加役を申し付けられた。盗もうとする者がいると言う情報で偽の荷物を作られていた。偽荷物を盗まれた。盗んだ者の中に代官手代・杉浦の幼馴染の息子・時太郎がいた。本物の荷物を運んだ。

縁の花 一色が礫家のつつじを見に来た。三人が匕首を一色に突きつけ煙硝蔵へ行けと行った。丈一郎は鉄砲で刃を向けている男の手首を飛ばし一色を助けた。一色は丈一郎が交配した新種のつつじに「縁ゆかり」と名付けた。三人のうちの一人が時太郎だった。

秘してこそ 徳右衛門と妻・広江の兄・常滑錦之助の仲が良くなかった。錦之助の息子・鉄太郎の息子・鉄郎の元服に行った。仲が悪くなった原因は丈一郎がレンゲツツジの蜜を吸い死にそうになったからだった。仲がこじれた原因は二番目の兄の嫁だった。徳右衛門と広江の間には祝言の日に交わした約定があった。

花弁の露 徳右衛門がこっそり長崎屋に行っている。火薬を盗もうとした頭が水戸の小関だとわかった。水戸へ送られた。徳右衛門は隠居を決めたようだ。広江と長崎に旅に行く相談をしていた。

2021年7月5日月曜日

邂逅

 邂逅 小杉健治

 弁護士・鶴見京介は函館で親友・志賀川真二の離婚式に参加した。元妻に未練のある様子が心配で同じホテルに宿泊した。翌朝、人と会うと出かけた志賀川が立待岬で墜落死する。現場で揉み合う姿を目撃された古池仁一郎が逮捕された。古池は犯行を頑なに否認する。鶴見は志賀川と古池の関係を探る。

 志賀川は十年前、殺人のあったマンショッンから走り出て来た犯人と出くわしていた。志賀川の記憶を参考に作られたモンタージュから犯人が割り出された。凶器に指紋も残されていた。捕まった畑中は否認していた。
 半年前、マンションで見た男と出会った。男は古池だった。志賀川は古池のことを調べ、畑中のことを調べる。
 畑中の姉は破談になり自殺した。命は助かったが今だに入院している。三年前父母が亡くなり畑中は自殺していた。弟は養子に行き名前を変えていた。
 志賀川は自分の命をかけて、古池に償いをさせようとした。古池を脅迫し古池が志賀川を突き落としたように細工した。揉み合っている写真を撮ったのは畑中の弟だった。

 鶴見は古池に、志賀川のしたこと考えを話す。古池は十年前の事件のことを白状した。そして志賀川を突き落としたのも自分だと言う。

2021年7月3日土曜日

満月珈琲店の星詠み②

満月珈琲店の星詠み② 望月麻衣
 〜本当の願いごと〜

 市原純子・愛由親娘の元に犬が来ることになった。
 愛由は、父親の妹・聡美の東京の家にお泊まりすることになった。
 聡美はトレーラーカフェで食事をして、本当の願いに気付く夜になりますようにと言われた。彼にプロポーズされそうに思う聡美は、仕事も東京も好き。彼のために全てを捨てようとは思わない。けど、彼とは家族になりたい。話し合ってみよう。逃げないで向き合おうと思った。
 
 市原聡美と一緒に働く派遣の鈴宮小雪は、会社が企画したクリスマスのイベントのため商店街に行く。トレーラーカフェで、十四年前に亡くなった父親と会った。それは父親の娘とデートしたいという夢だった。小雪は自分の所為で父親が亡くなったと思っていた。新しい父親も嬉しくないのに嬉しいふりをし、生まれた弟とも疎遠だった。本当の父と話し、自分が本当にに望んでいること、自分を赦すことだったと気付いた。小雪はクリスマスケーキを持って実家に帰った。
 
 市原純子は、疎遠になっている父が倒れたとの連絡をもらい愛由を連れて実家に帰る。昔のことを思い出し、父の圧力に耐えきれず壊れた弟を思い出す。爆発した時一家は断絶した。夜、トレーラーカフェで線香花火のアイスティーを飲んで、線香花火をしている後ろで見守っている父の姿を見た。たくさん愛されたペットは、人に生まれ変わって家族を助けたいと願うことを教えられる。
 次の日、愛由と父のやりとりで父の別の顔を見た。休憩所ではなす母親の父の話し、純子は不愛想な父を不愉快に思っていたが、今は照れているのだとわかる。父を客観的に見ていた。
 オネエ言葉で話す、純子の弟・長谷川次郎が病室に来た。蟠りなく話す。婚約者を連れていた。父母は男の人だと覚悟をしていたようだが、中山明里だった。人気番組「流星エンジェル」を担当するテレビ制作会社のプロデューサーだった。ちなみに話しを書いたのは芹川瑞希だった。一巻の登場人物。次郎さんもね。

 愛由は昔飼っていた犬・りんの生まれ変わりと純子は思った。新しく来た犬もりんと名付けた。 

2021年7月1日木曜日

照降町 四季(一) 初詣で

照降町 四季(一) 初詣で 佐伯泰英

 鼻緒屋の娘・佳乃は、三年前三郎次と駆け落ちしたが、賭場の借金のため売られそうになり照降町に逃げ帰った。
 父・弥兵衛は肺を患い後半年の命だった。
 元小倉藩の浪人・八頭司周五郎が鼻緒挿げの修業をしていた。近所の道場の師範をしている。弥兵衛の掛かる医者・大塚南峰の酒断ちを剣術稽古で助ける。

 三郎次が悪を連れて連れ戻しに来るが周五郎に助けられる。
 周五郎にも元の藩からの誘いがあるが、帰る気がないようだ。

 佳乃の下駄の鼻緒の挿げが宮田屋に認められ高価な仕事を廻して貰える。佳乃は吉原の花魁達に会い足の寸法を測り直で仕事を貰う。