2021年9月24日金曜日

三島屋変調百物語七之続 魂手形

 三島屋変調百物語七之続 魂手形 宮部みゆき

 火焔太鼓 ある大名家に火焔太鼓がある。火事の火を飲み込み火事が起こらないと言われる。話をしに来た若い侍の兄嫁の実家が火焔太鼓を生み出した湖の管理をしている家だった。ある年火焔太鼓が隣の国の侍に盗まれ火を吹いた。大勢が亡くなり、侍の兄は足を失った。侍が元服を迎えると兄は、妻の実家に行った。何年か経ち湖の主の交代年になった。兄が主になっていた。 
 富次郎は、森の中の小さな沼に遊ぶ人に似た影と、沼のほとりの笠をかぶり被布を着、短い丈の槍を持ったお地蔵様を書いた。

 一途の念 富次郎がよく買いに行く美味しいお団子の屋台があった。売り子はみよ、十六才。母親が亡くなって屋台を休んでいるみよに富次郎が誘いを掛けた。母は死にたくて自分で目を付いて潰した。死ねなくて五年生きた。やっと死ねたと言う。小さいときの養女に行った家で子供ができ邪険な扱いをされていた。料理屋の女将が助けてくれ行儀から習い事まで教えられ中居をしていた。女将が亡くなり新しい女将は料理屋の中居を遊女にした。肺の病を持つ板前の夫を養うためにそのまま中居を続けた。母は三人の男の子を産む。三人とも夫にそっくりな子供だった。そしてみよが生まれた。ある日、男が長屋で母親が客を取っていたことをぶちまけた。そして母は自分の目をくり貫こうとした。その時から兄三人の顔が変わった。誰だか判らないぐらい。それから五年が経った。
 富次郎は盥に張った水の中に浸された麻袋を書いた。砂糖を取る。

 魂手形 木賃宿の主人だった人が話す。この世に未練を残す魂を運んでいる人がいる。自分・吉富にも見えたし、父親の後添えにきた竹にも見えた。運んでいる七之助の身体が弱っているので魂が自由に出て行くと言う。吉富は魂の力を取り込み七之助と魂・葵の故郷に行き、父親の後妻の悪行を言い巻、葵を殺した者を引き出し、葵を埋めている場所へ連れて行く。全てを終えると魂は消え、吉富は普通に戻っていた。吉富は魂の里があることを誰にも言わなかった。竹は薄々知っていた。
 富次郎は木賃宿かめやの看板を書いた。

 ちかに子供が産まれる。富次郎の夢にちかに縁のあった者だという男が現れた。


0 件のコメント:

コメントを投稿