紅雲町珈琲屋こよみ ⑩ 薔薇色に染まる頃 吉永南央
杉浦草は、一度は売ったものの、手放したことを後悔していた帯留が戻ってきたと連絡を貰った。京都に行く予定の草は、東京の店に向かう。店の向かいのバーの雇われ店長が殺されたらしいという話だった。草は、以前に彼から頼まれていた。彼の店の隠し棚から包みをとり出し所定の場所に持って行く。二千万円だった。何も知らない方がいいと言われ、予定通り京都行きの新幹線に乗る。
隣り合った親子の母親が刺され、黒服の男たちから男の子を庇い隠れる。事件が放送される。草は男の子を誘拐したことになっており、窓からホームを見ている草と男の子の顔がぼんやりと映っていた。着物姿の老婆と十才ぐらいの少年を車掌は探していた。
草の判っていることは、バーの店長・ユージンが、キョウカとジュンをムロハシから逃がそうとしている。ムロハシはユージンの父親でありジュンの父親でもある。キョウカは、草にジュンを匿ってと言った。草のことを知っているということ。ムロハシは、少年だったユージンを情け容赦なく殴っていた父親だった。
草は米原で下車し、滋賀に窯場を持つ器作家・丹山慶悟に連絡し長期滞在型ホテルに匿って貰う。
ニュースを見て草だと判った森野久実と一ノ瀬公介と寺田は、夜、草の自宅で草の在宅を装う。丹山と連絡が取れ、公介は、元警官で探偵事務所をしている辺見と一緒に自動車で京都に向かう。
1時、丹山は草とジュンを乗せ長野に向かう。飯田で高速を降り落ち合った。
7時、草は普段通り、ゴミを拾いながら挨拶をし、散歩をする。ジュンは由紀乃のところにいた。
17時 ジュンがいなくなった。マーブルチョコレートが落ちている。草が辿ると、神社の奥にユージンとキョウカとジュンがいた。制裁を加えられた場所を殺人現場に仕立て、ユージンは姿を消した。キョウカも自演だった。三人は兄弟だった。贋パスポートで海外に行く。ムロハシは警察に追われる。警察が動かなければマスコミとネット。報復を受けるか逮捕されるか。自分の首を絞めた。
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