2023年2月22日水曜日

惣目付臨検仕る〈四〉 内憂 

惣目付臨検仕る〈四〉 内憂 上田秀人 

 奥右筆、大奥の月光院に楔を打ち込んだ惣目付の水城聡四郎。幕政改革を進めようとする将軍・吉宗は、目付を目標にする。
 水城が勘定吟味役を務めた時、唯一味方をしてくれた老練な役人、隠居していた太田彦左衛門を引っ張りだした。 

 目付が、水城が大奥に入ったこと、刀を抜いたことを取り上げ訴追しようとしたことで正面切って敵対した。花岡琢磨以外は、病欠した。
 九人の目付を新しくつもりで探す。
 惣目付が大名の目付をすることにする。
 水城が、吉宗の怒りをかった目付・刑部津ノ介に切腹を言い渡しに行く。槍を持ち手向かいする。成敗された。

 元御広敷伊賀・藤川義右衛門は、水城の娘・紬を勾引かし、失敗し、江戸を逃れて尾張にいた。伊賀から敵対視され甲賀の忍を取り込み、尾張の裏社会を取り仕切ろうとしていた。

 入江無手斎は、箱根で木村暇庵の治療を受けた。西へ藤川を追って旅する。
 大宮玄蕃は、袖と婚姻する。
 月光院は吹上げ御殿に軟禁された。
 吉宗は、幕府の金蔵が空になったのは、中野にあった犬小屋のせいだと思っている。しかしこんなに要ったはずがない。潰された大名、旗本、御家人の禄、犬の餌代吾がものとした者、横領した者を突き止めるつもりだ。

 

 

2023年2月14日火曜日

入船長屋のおみわ ⑤ 紅葉の家

入船長屋のおみわ ⑤ 紅葉の家 山本巧次

 大家が買った家を買いたいという者が二組現れた。
 大家に頼まれみわは調べ始める。
 家の床下にお宝が埋まっているという瓦版まで出る。
 調べまわっている瓦版屋の若い者と、お宝のことを書いた瓦版屋を調べる。
 荷物を運んだ馬方の娘が殺され、側でみわの長屋の店子が寝ていた。

 本当に、十年前には二千両が埋められていた。
 抜け荷で捕まる前に、番頭に預けた二千両だった。
 番頭の娘婿が、自分の商売・筆硯墨などのために使ってしまっていた。
 娘婿が運び出しを偽装したことを感ずいた娘を殺した。
 みわに頼まれて娘を見張っていた男を寝かせて犯人に見せかけた。

 みわと一緒に調べていた瓦版屋の若い男は、抜け荷で闕所になった店の若旦那だった。
 

 

2023年2月10日金曜日

南星屋」シリーズ③ うさぎ玉ほろほろ

 「南星屋」シリーズ③ うさぎ玉ほろほろ 西條奈加

 饅頭くらべ 南星屋は、雲平が入って順調だ。
 鹿藏がいろんな大名行列に従って行った先でお菓子のいろんな情報を送ると言った。
 鹿藏が夜中、逃げろと言ってきた。火事が起き、あいつらまさか・・・と言い、手紙をおいて姿を消した。牛込の弟・五郎が住職をしている是現寺に逃げた。
 火事は麹町を焼いた。南星屋は残っていた。

 母子草 白粉屋・香仙堂の君の結婚が早まった。火事で焼け建築中の中にお雛さまを飾って最後のひな祭りをする。崎は自分を早く嫁がせ、母親は新しく入った八つも年下の男と一緒になると言う話を聞き怒っていた。母親は、夫が亡くなり苦しくなった店を、一緒に頑張ってくれたのは新しく入った手代だけだった。

 肉桂餅 治兵衛が君に見合い話があったことを話した。肉桂餅が売りの「唐木堂」の長男か次男との話だった。兄弟どちらを主人にするかでもめた。長男は算盤にたけ次男は職人だった。みんな長男が継ぐものと思っていたが、父親は唐木堂の主人は、職人でないとと父親が言い始めた。話は白紙に戻った。
 君は、おいまちゃんと唐木堂へ行った。次男が南星屋に来た。昔の南星屋の思い出を話した。
 長男は自分の希望の廻船問屋で働くことが決まった。

 初恋饅頭 五郎の寺に修業に入った時に出会った美緒さんの話を聞く。ひもじい思いの自分に本当にひもじかった美緒が分けてくれたせんべいの話し。今、美緒は大名の奥仕えをしていた。

 うさぎ玉ほろほろ かやという子どもが、永に三行半を書いてくれと言ってきた。若い男を好きになる母親が修蔵といい仲になった。修蔵は永に未練があるようで、かやは父親になって欲しくて別れてくれと言ってきた。修蔵が浮気をして永は別れた。時々通っていた永だったが、この頃は行っていない。修蔵にも見合い話があるという。
 見合いはどうなったか見に行った君。かやと修蔵は手をつないで歩いていた。かやに言われて見合いを止めていた。

 石衣 全く現れない鹿藏。鹿藏の妹と名乗る女が来る。手紙を取りにきた。渡さなかった。治兵衛たちは鹿藏を探すことにした。一年前に死んだ妹。妹の死にけりをつけようとしていた。治兵衛は、今考えてるお菓子の名を石衣にした。

 願い笹 治兵衛の実家・岡本家から呼び出しがあった。鹿藏は木暮周馬、小人目付けだった。鹿藏の妹は商家に嫁いでいた。中間と仲よくなり店に引き入れた。盗賊だった。自分を責め自殺していた。中間は柘植の妻吉。おいまに柘植の櫛を持って来た。同じ櫛を違うひとにあげるのを見た君はいまに付き合うことを止めた。妻吉は君を憎んだ。播磨屋の次に君の家に押し掛ける算段を聞いた鹿藏は治兵衛に逃げるように言いにきたのだった。
 七月、南星屋に押し込んだ盗賊が捕縛された。鹿藏が盗賊一味に入り込み動きを探り妻吉のお君憎しの気持ちと行きがけの駄賃に南星屋を襲った。

 鹿藏はお役を解かれた。お君の情報を持って平戸の河路金吾のところに行った。

 

2023年2月7日火曜日

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう⑧ 

大江戸科学捜査八丁堀のおゆう⑧ 山本巧次
  〜司法解剖には解体新書を〜
 
 三人、四人と長崎関係の商家の主や、長崎奉行の家臣などで、不審の死に方をした者があった。内与力・戸山から、鵜飼伝三郎とおゆうは内々に調べて欲しいと頼まれた。

 狙われていると承知していた者が殺された。家人も承知で解剖しようとした。が事前に止められてしまった。伝三郎は、謹慎させられる。
 
 また狙われた。宇田川が、生理食塩水で助けた。血液を採取した。
 日本にない生物毒。
 毒を入れたかもしれないと思われた、巫女に扮装している女を探り家に行くと殺されていた。薩摩の武士を目撃した。巫女の家から微細証拠を宇田川に渡す。
 おゆうは薩摩の武士を呼び出す。宇田川はフラッシュバンや高圧洗浄機、金属バットを用意して迎え撃つ。伝三郎はおゆうが危なかったと宇田川を攻めた。
 おゆうが世話になっている蘭学医・瑛伯の師匠は大槻玄沢だった。

 瑛伯は、薩摩の大殿に気に入られお金を貰っていた。薩摩藩は大殿の散財のため交易を増やしたいと思っていた。薩摩の交易の勝手を通すことを良く思わない人が出てきた。薩摩は不満分子を始末した。毒を手にして渋々手伝ったのが瑛伯だった。 
 
 おゆうは玄沢から著者サイン入りの重訂解体新書の試し刷りを貰った。
 

2023年2月5日日曜日

鬼役伝〈四〉 従者

鬼役伝〈四〉 従者 坂岡真

古着屋騒動  矢背家に婿入りし御膳奉行になった求馬は、初めて隠し部屋に赴き、橘主水から密命を与えられる。
 秋元家の用人・室井作兵衛に、矢背家の用人になるよう命じられたと、佐山大五郎が現れる。槍投げで半町先の的に当て、志乃に認められた。
 
 密命は古着屋惣代・睦屋与平の始末だった。理由なき人は殺めずの信念の求馬は、佐山に調べさす。佐山は室井に会うまでは、古着屋の用心棒をしていた。睦屋の悪仲間は北町奉行所の年番方与力・羽鳥敬吾と勘定組頭・喜多見織部と判った。
 古着屋から上がる運上金の額が多く、刷新に踏み込めない現状があった。
 陸屋は刺客に殺され、二人は求馬たちが殺した。後ろにまだ誰かいると思った。

 差腹  小姓いじめを知り、小姓が腹を切った。調べていくと借金をさせ壺や経典を買わしていた。小姓たち、道林そして護持院の隆光に繋がった。道林もいじめの大将の小姓も柳沢の家臣の息子だった。切腹に持ち込まれた。

 手向けの槍 大名の前を通り抜けた小姓がどんな処分になるか注目した。佐山がいなくなった。佐山は五年前、前を通られ、藩を潰された伊達本家の弟が藩主の中津山藩の家臣だった。
今回も同じ、仙台藩の支藩・一関藩だった。藩主・田村右京太夫は奏者番を拝命し、費用がかさみ伊達本家が立て替えていた。一関藩はお荷物だった。
 同じように計画したのは、伊達家家臣・天野弾正だった。天野は隆光と繋がっていた。
 佐山は隆光の命を狙っていた。窮地に陥った時、目付けに助けられた。
 求馬は、皆藤左近の指図で炭置部屋で小豆を箸で摘んで大笊に移す。
 佐山は槍を投げ、天野を殺した。
 

 

2023年2月3日金曜日

紅雲町珈琲屋こよみ ⑩ 薔薇色に染まる頃

紅雲町珈琲屋こよみ ⑩ 薔薇色に染まる頃 吉永南央

 杉浦草は、一度は売ったものの、手放したことを後悔していた帯留が戻ってきたと連絡を貰った。京都に行く予定の草は、東京の店に向かう。店の向かいのバーの雇われ店長が殺されたらしいという話だった。草は、以前に彼から頼まれていた。彼の店の隠し棚から包みをとり出し所定の場所に持って行く。二千万円だった。何も知らない方がいいと言われ、予定通り京都行きの新幹線に乗る。

 隣り合った親子の母親が刺され、黒服の男たちから男の子を庇い隠れる。事件が放送される。草は男の子を誘拐したことになっており、窓からホームを見ている草と男の子の顔がぼんやりと映っていた。着物姿の老婆と十才ぐらいの少年を車掌は探していた。

 草の判っていることは、バーの店長・ユージンが、キョウカとジュンをムロハシから逃がそうとしている。ムロハシはユージンの父親でありジュンの父親でもある。キョウカは、草にジュンを匿ってと言った。草のことを知っているということ。ムロハシは、少年だったユージンを情け容赦なく殴っていた父親だった。

 草は米原で下車し、滋賀に窯場を持つ器作家・丹山慶悟に連絡し長期滞在型ホテルに匿って貰う。

 ニュースを見て草だと判った森野久実と一ノ瀬公介と寺田は、夜、草の自宅で草の在宅を装う。丹山と連絡が取れ、公介は、元警官で探偵事務所をしている辺見と一緒に自動車で京都に向かう。
 1時、丹山は草とジュンを乗せ長野に向かう。飯田で高速を降り落ち合った。
 7時、草は普段通り、ゴミを拾いながら挨拶をし、散歩をする。ジュンは由紀乃のところにいた。
 17時 ジュンがいなくなった。マーブルチョコレートが落ちている。草が辿ると、神社の奥にユージンとキョウカとジュンがいた。制裁を加えられた場所を殺人現場に仕立て、ユージンは姿を消した。キョウカも自演だった。三人は兄弟だった。贋パスポートで海外に行く。ムロハシは警察に追われる。警察が動かなければマスコミとネット。報復を受けるか逮捕されるか。自分の首を絞めた。