武士はつらいよ② 蔵元の娘 稲葉稔
夏目要之助 徒目付下士、家禄三百石。藩主・藤田伊勢守氏鉄
藩主の墓参の行列に付いた。町中で「要さん、要さん」と幼馴染の清に声を掛けられた。
清の実家は造り酒屋で、「星泉」が評判で江戸にも出し、二年前に家を建替え大きくなっていた。藩のご用足しにもなっている。要之助は、城下で声を掛けてはならないと言いに行った。
清は奇麗な娘になっていた。
清から相談を受ける。江戸に下ろしている酒問屋から、別の問屋にも下ろしているようだから、もう取引をしないと言われていた。清水屋は、常磐屋にしか下ろしていない。どう証明すればいいのか分らなかった。
要之助は、同じ幼馴染の源吉と、清兵衛に相談する。川荷置き場に出入り出来る者から順に、同じ町の造り酒屋の、樽作る者、樽の材料となるものあたる。一軒の造り酒屋に、清水屋と焼き印を捺す樽屋があった。
同じような樽に自分の作った酒を入れて江戸の組合に入っていない店に卸していた。清水屋は常磐屋に証拠を付けて番頭を送る。今年も同じように卸すことになった。
清は手代・幸吉と一緒になって店を継ぐことを決めた。
0 件のコメント:
コメントを投稿