2025年2月24日月曜日

とりもの 時代小説傑作選

とりもの 時代小説傑作選 細谷正充

雪花菜 梶よう子 商い同心 千客万来事件帖
   北町奉行所同心・澤本神人  妹の子・多代を育てている。
   稲荷寿司の屋台の親父が芝居小屋を倒した男。狐面を付けて稲荷寿司を売る。顔を隠しておからの稲荷寿司を売る。近所に我が娘と息子がいる。二人で暮している。縄を切ったのは弥助でないことがわかり、面を付けた親子で稲荷寿司の屋台を引くようになる。

庚申待 麻宮好
  作造は、娘を殺された。娘の殺された時の匂いをたぐり犯人を突き止めた。娘を殺した証し、作造の作った簪をとっていた。犯人の傍らにあった簪で、殺した。
 子どもを勾引かし絵を描き、殺し、簪を残した男が殺されて見付かった。一人だけ簪の無い絵があった。吾一親分と勇吉の足音が作造に近づく。
 庚申の夜、作造は娘に、話した。

寿限無 浮穴みみ
  父と母が亡くなり、武家屋敷を出た兄妹は、幼童手跡指南所を開いた。兄・数馬は体格も良く、武芸に秀でているが、学問を殊更好んだ。興味のあることに一途になる数馬ではなく、妹・奈緒で持っている指南所だった。京の陰陽道家の赤ん坊が江戸の武士の下で育っている。その赤ん坊を公家が探しているという。数馬ではないかと思われ調べられた。腰に火傷の後があると言うのだか、数馬には無かった。数馬は知っていた。奈緒だった。長寿を願うジュテム

だんまり 近藤史恵
  まげ切りが頻発していた。南町奉行同心・玉島千蔭と八十吉が調べていた。今までは北町だったが、四度目は南町になった。四度目は、今までと違うと考えた。
 鈴という女を預る。兄の借金のために売られるという女だった。鈴は身を売る決心をして紹介された吉原の店に行く。兄にお金を渡すが、兄は金を返し姿を消す。兄が四度目の髷切りだった。弱い男が強くなるために他人の髷を切る。そうすれば強くなれると教えられやったことだった。手向かわれた兄は、相手を傷つけた。殺してしまったと思って逃げた。兄・権三に教えた男は判った。権三は鈴に人を殺してしまったと手紙を書いて来た。

抜けずの刀 西條奈加 善人長屋
 梶新九郎、若い娘が殺され、新九郎が捕まった。新九郎が犯人ではないと善人長屋の者が犯人探しをする。捕まえてみれば新九郎が、身分を捨てなければならなくなった昔の事が関係していた。友達の妻になる人を誘惑し、関係を持ったと言われたために家をでなくてはならなくなった新九郎だが、誘惑も関係もなかったと話す新九郎。友達は知っていた。女がかってに新九郎を好きになっただけだということを。それを誘惑や関係があったとしたのはその男だった。そして今回、犯人が新九郎になるように女を殺していた。

2025年2月17日月曜日

新御刀番 黒木兵庫 ①無双流仕置剣

新御刀番 黒木兵庫 ①無双流仕置剣 藤井邦夫

 江戸表で水戸藩邸で何やら不穏な動きありとの知らせを受け御刀番・黒木兵庫は国許を発った。水戸藩主・斉脩の庶子・京之介とその母・眉の方が暮す向島の下屋敷に時の老中・水野忠成の懐刀・土方縫殿助が訪ねて来たという。土方は将軍・家斉の娘・蜂姫を斉脩の正室に輿入れさせた黒幕。しかも七年前に裏柳生を使って当時、虎松と名乗っていた京之介を亡き者にせんと企てた過去があった。阻止したのが黒木兵庫だった。

 京之介は土方は自分を値踏みに来たと思っている。土方が何を言っても笑っていた。黒木が連れてきた新八は、下屋敷に忍びが入っていることを掴んだ。
 京之介は遠眼鏡とオルゴールを持ってきた。

 中屋敷にいた蜂姫が上屋敷に入った。
 蜂姫の御広敷番に土方と通じるものがいる。夜、忍が進入した。黒木が忍の進入を阻止した。土方に通じる・沢井が、蜂姫を襲う。護衛の牧野が沢井を阻止した。兵庫は、沢井が土方の手の者と姫に話す。姫を害し、殿と水戸藩の責を言い募る道具にするため。蜂姫は土方は自分の味方と思っていた。
 兵庫は、土方の動きを探り、下屋敷で夜を過ごす日、忍び込む。土方の寝込みを襲い、眼前に胴田貫を何度も閃かせる。土方は意識を失った。鼾をかいていた。卒中になった。
 伊賀の平蔵が兵庫に挑んできた。倒した。

 京之介は外に同年配の友達を作った。母子で野菜を売っていた。
 水戸藩士が斬られる事件が続く。目的は黒木兵庫だった。伊賀の平蔵の娘の敵打ちだった。
井上真改かと思った刀は折れた。
 

 

2025年2月15日土曜日

隠密船頭〈十四〉 鉄槌

 隠密船頭〈十四〉 鉄槌 稲葉稔

 南町奉行・筒井伊賀守に呼ばれた「奉行の隠密」沢村伝次郎は、「永尋ね」になっている五年前の事件の探索を命じられた。

 長屋の大家が殺され、下手人は長屋に住んでいた浪人・三枝甲右衛門とわかったが、三枝は消えていた。その後、見付かっていない。五人を殺し、金を奪っていた。
 探索していた同心・貞方は二年前に、賭場の取り締まりでいきなり短刀で腹を刺され亡くなった。一緒にいた松田が、刺した男を殺した。
 長屋に住んでいた者から話しを聞き、似顔絵を作る。三枝を何か月か前に見たと言う者がいる。三枝には入れ墨があった。風呂屋を探す。神田佐久間町あたりか範囲が狭まる。

 伝次郎の妻・千種は、桜川という小料理屋をやっていたが、火事で店が焼けた。

 与茂七は、遊び人だったが、伝次郎に拾われ探索の助けをしている。剣術を習っている。昔の悪仲間・佐吉と会う。佐吉は三枝が顎でこき使っていた者を知っているという。佐吉とは悪仲間だったが、佐吉は女房と赤ちゃんがい、今では指物師の職人になっていた。
  
 伝次郎は、犯人は一人だったのかと言う問いから始める。大家の家の女中が見付からない。三枝と事件前に話していたという情報もあった。三枝は探されていると知っていた。二年前、貞方が三枝を探していることを知っている者が殺したのではないか。

 湯屋から追いつめた三枝たち、賊だった者が逃げ込んだのは佐吉の家だった。与茂七は、身を呈して佐吉家族を護り、三枝達に説く。三枝たち三人は捕まる。
 三枝は、誰が調べているかを小者から調べさせていた。二年前、貞方を刺した男は、貞方が三枝を探していることを知っていた。すぐ、何の調べかも判らないうちに貞方を殺していた。
 犯人の仲間かと思われた女中は、仲間ではなかった。

2025年2月13日木曜日

風の市兵衛 弐 ㉞ 蝦夷の侍

風の市兵衛 弐 ㉞ 蝦夷の侍 辻堂魁

 西蝦夷地アイヌの集落に、江戸の武士がいるという。元船手組同心、瀬田宗右衛門は、蝦夷の武士が十二年前に刃傷事件で義絶した、長男・徹だと確信し、唐木市兵衛に徹の捜索を頼む。瀬田家の後を継いだ次男の明が成敗され、瀬田家は改易の危機にあった。宗右衛門は、何も問わず義絶した徹の事件と明の事件に疑念を持っていた。徹から話を聞く必要があった。

 両替商近江屋から瀬田家の依頼を聞き、近江屋の伝手で廻船で蝦夷へ行く。
 蝦夷で、ロシアからの交易による武器の密売を探るために蝦夷へ渡っていた弥陀丿介と会う。五六人で、金品を強奪する賊がいることを話す。
 コタンで暮す徹を見つける。徹は熊に襲われ、片足、左手が不自由で、左目は見えない、顔に傷跡が残る身体になっていた。コタンの首長の娘と一緒になり、子どもがいた。徹は狩にも行き、生活していた。熊に襲われ傷ついた徹の介抱をしたのが、首長の娘・レルラだった。
 話しを聞いた徹は、江戸へ帰る。
 松前に行く途中、賊に襲われるが、五人を倒し、並べて置いた。弥陀丿介が話した賊かは判らない。

 江戸へ帰った徹は、家族に会わないで、十二年前に自分が傷つけた男・此度、明を成敗した尾上陣介に果し状を出した。陣介は受けた。が、人斬りと言われる無頼の九竜十太郎と無頼の者を雇った。陣介は徹の同輩だった。陣介には何人かの同輩が件分役で付き、徹には唐木が着く予定だったが、明の事件の時、見て見ぬ振りして申し訳ないと言った二人の同輩が付くことになった。
 十太郎は唐木を襲い、徹は陣介と戦った。十太郎は倒れ、陣介も倒れた。
 船手組頭・田岡仙太郎善純は、十人目付筆頭・片岡信正の呼び出しを受け、明の成敗に事件と徹の果たし合いの事を聞かれる。終わった後、若年寄林様に何を送ろうかと考えながら、卒中で倒れ亡くなった。
 徹は、瀬田家の者と話し合い、蝦夷へ帰った。
 船手頭が新しくなり、瀬田家の逼塞は解かれ、優が、船手同心の見習に出た。

2025年2月11日火曜日

それでも空は青い

 それでも空は青い 荻原浩

スピードキング 藤島が死んだ。脳腫瘍
 父の影響で野球を始めた。ボーイズリーグで広島カープに入ることを目指して野球をする。五年生でレギュラーになった。父親が死んだ。ボーイズリーグに行けなくなり野球をやめた。中学で野球部に入り、ピッチャーを目指した。県立高校に入り野球部に入った。同じ一年に藤島がいた。投げる藤島を見て三年生の顔が引きつった。自分は野手になった。
 三年の夏、甲子園に行った。自分は、スタンドにいた。一戦一負。藤沢はドラフト四位でプロに行った。自分は、軟式野球部がある住宅設備会社に入った。
 藤島は四年め一軍に出場した。3回3分の2、被安打5 死球1 5失点
 五年目の大晦日、藤島に会った。休校になった中学校で三日間藤島の相手をする。
 六年目、ローテーション入した。11勝3敗防御率2.82 スピードキング藤島
 正月の練習を頼まれたが、断った。ずーと後悔している。
 翌年14勝、翌々年13勝
 九年目に故障した。翌年トレード。二年後、金銭トレード
 三十才で中継ぎ、三十五才でアメリカ。三十七才、中南米で、百マイルの球速を記録。日本の独立リーグでプレーするために帰ってきた。

 別れて暮す子どもに会いに行き、藤島が死んだ。キャッチボールしようと誘った。娘とキャチボール。

 妖精たちの時間
 卒業して二十周年の同窓会が案内がきた。十年前、羽振りのいい商社マンだった。3か月後に結婚式を控、絶好調だった。今、会社も変わり、離婚もした。桜井が来ると聞いて出席。
 桜井はオーストラリアからの転校生だった。始め、桜井に憧れの目を向けていた女子が、輪の外に放り出した。桜井は二人の時に妖精をみたことがあると言った。話さない間に帰った。二次会に行く途中、桜井に会って二人で別の店に行った。
 現代の自分を話す。桜井は輪の外に放り出したバスケのキャプテン江嶋優菜のことを話した。二人で暮していた。桜井の留守にお風呂場で酸性の洗剤と次亜塩素の漂白剤を混ぜて事故で亡くなった。誰もゆうの話しをしなかったと嘆く。
 悪酔いした彼女を介抱し、飛んでいってしまいたくなったら、電話してくれと電話番号を教えた。

 あなたによく似た機械 無口で何も話さない夫・拓人。いつも同じ物を食べる。
 結婚式が迫ったある日、家具を買いに行って交通事故にあった。3週間入院し、その後後遺症に悩んでいる、拓人はロボットかと思い始める美純。ロボットは美純だった。

 僕と彼女と牛男のレシピ 上林康祐は、バイク事故で入院した時の担当の看護婦さんと付き合っている。康祐はバーテンダー。彼女はバツイチで七才年上。徐々に間を詰めてきた。彼女の小学二年生の息子・牛男と動物園に行こうと誘う。野球が好きだと聞き、グローブを買う。牛男は潮だった。野球に誘う。
 もし新カクテルでグランプリ取ったら式を挙げようという僕に、彼女は、だめでもいいよと言ってくれた。

 君を守るために 田辺奈緒は、犬・ムクゾーを飼い始め、犬を見ているために見守りカメラを買った。映ったのはベットで寝ている男だった。家に帰る怖さのために後輩の杉原に一緒に部屋まで来てもらった。鍵を替えた。置き土産のDVDを見つけた。そして見つけたのは、同級生の本村だった。が、彼は先月、失恋して自殺していた。
 本村を呼び出し話す。ベットに寝ていたのは本村ではない。二人でDVDを見直し男が杉原だと断定した。杉原が来るだろう今日、本村に化粧を施し、杉原が見た瞬間消えるように頼んできた。昼、杉原が震えながら帰ってきた。
 本村の話を聞く。すきな子のつきまといをして、彼氏に橋から突き落とされた。ATM
でお金をひき出した時、隣にいた。奈緒は少女の名前で本村が殺された日付、状況、ATM
こと、本村の血が付いた指の跡が付いたパンツも同封した懺悔をしている文章を送った。
 男は逮捕された。本村は現れなかった。抱き上げたムクゾーが、本村と同じ笑い方をした。

 ダブルトラブルギャンブル 十九年前、双子で生まれた。礼と仁。そっくりな二人。
はじめて気が付いた。四年生の夏休み、ラジオ体操の皆勤賞を狙っていた仁は、最後の日、熱を出した。礼が仁の出席カードを持って体操に行った。皆勤賞は遊園地の招待券だった。
ピーナッツパーク。
 九月、礼のクラスで分数のテストがあった。50点以上取れないと昼休みのサッカーが禁止される。仁がテストを受けた。礼は国語が得意、仁は数学が得意。
 中学校に入った。仁が入ったサッカー部はマラソン大会で三十位までに入らないとサッカー部に入れなかった。礼は前日から学校を休み、五キロの途中で交代した。ぎりぎり二十九位だった。
 大学を諦めていたが、母親が三年生の時、行きたいのなら行きなさいと言った。仁は理系の国立大。礼は奨学金制度が充実している私立大。同じ大学に二人とも願書を出し、二人ですり替わって試験を受けた。二人とも大学に合格した。
 私大に入った礼は、最高。理系に入った仁はレポートに追われ最悪。
 礼はコンビニの女子に声を掛け、ライブに誘う。バイトで行けなくなった礼は仁に代わりを頼む。ライブの後、翌日も会う約束をする。行く用意をする仁に代わり礼が行く。礼は話しがかみ合わない。礼は気付いた。礼とデートしているが、彼女は仁が好きなのだ。
 礼と仁は殴り合った。カードでも決まらなかった。
 今度、地元で三人で会って、今までのことを正直に話すことにした。場所はピーナッツパーク。

 人生はパイナップル 人生はパイナップルと言ったじいちゃんとキャッチボールをする。じいちゃんの人生を聞く。台湾でパイナップルの缶詰めを作っていたじいちゃんの父親。じいちゃんは中学生の時、甲子園に出場した。控のピッチャーだった。エースとして出場しようと思った年、突然中止になった。軍事教練で手榴弾を投げさせられ肩を壊した。「自分の頭で考えない馬鹿になるなよ」と言った。じいちゃんトスバッテングしながら、三年先、十年先の練習をしろと言った。自分のことは自分で決めろ。そしたら後悔しない。野球の強い商業高校か普通の県立か迷って、普通の県立高校に進んだ。三年生四回戦で負けた。父親がじいちゃんの遺景を持ちスタンドにいた。
 大学四年、先発ではじめて勝ったウイニングボール。就職は食品加工会社。

2025年2月8日土曜日

大人おでかけ絵日記

 大人おでかけ絵日記 あまがいしげこ
 〜素敵な毎日が増えて行く!〜
    こんな絵が描けたらいいな。

 

 



2025年2月5日水曜日

奥様姫様捕物綴り〈一〉 甘いものには棘がある

 奥様姫様捕物綴り〈一〉 甘いものには棘がある 山本巧次

 美濃国御岳、四万石 牧瀬内膳正忠基の妻・彩智と、娘・佳奈母子は、甘い物が大好き。
 新作を持って来てくれる満月堂の羊羹を食べる。その満月堂の菓子を食べ、病になった者が幾人も出て、奉行所の調べが入り店を閉めていると聞いた二人は、近衆の、板垣隆之介に調べさせる。二人と交流のある常陸谷原三万石の久保田家の側室・初音が、菓子を食べ臥せっていることが判った。
 二人は、若衆姿で町に出、満月堂のことを調べる。満月堂が強請られる現場を見、無頼の髷を切り、病人でないことを暴く。彩智は北辰一刀流免許皆伝、佳奈も腕が立った。
 こっそり初音の見舞いに行き会った。久保田家御典医の松原瑞仙にも会った。長屋住まいの腹を下した町人にも会った。一人亡くなった老人の家族にもあった。子どもがこっそり分け与えた同じ長屋の子どもたちは、お腹を壊してはいなかったことを知った。
 何度も二人で調べているうちに、北町奉行所定町廻り同心、萩原藤馬と知り合う。情報を得た。
 瑞仙が襲われ重傷を負う。初音は懐妊していた。初音のお付きの女中・久仁江も殿様の子を懐妊していた。久仁江が、初音の子を殺し、自分が後に収まりたいと企てたことだった。
 久保田家江戸留守居役次席・谷山玄右衛門が、久仁江にこのままでは子どもを取り上げられ屋敷を追い出されるが、初音を亡き者にして久仁江が後釜に収まると囁かれ、計画が勧められた。久仁江の実家に雇われた者が、満月堂で買った人の後を付け、家の水がめに、下剤を入れる。何軒かおなじことをする。同じ時期、初音も菓子を食べ、薬を少しずつ与えられて身体を壊すことになった。
 久仁江と父親を捕まり、久仁江と母親は江戸十里四方払いになった。父親は死罪だろう。谷山は切腹した。当主は謹慎した。
 北町奉行遠山佐衛門尉が屋敷を訪ねてきた。二人の行動を良く思わない者がいるので注意するようにと言われた。