2025年11月4日火曜日

新・問答無用〈一〉 凄腕見参!

新・問答無用〈一〉 凄腕見参! 稲葉稔

 佐久間音次郎ときぬは、静かに暮していた遠江から江戸に帰って来た。
 元幕臣で獄中死したことになっている佐久間音次郎だった。
 口書きを取ってしっかり調べられずお終いになる町人の死を、そのままにしておきたくない町年寄の喜多村家の彦右衛門は、強くて信用出来、頭が働く知恵者で度胸のある人を探していた。彦右衛門の目に留まった音次郎は、川で遺体で見付かった吉兵衛の死の真相を調べることを頼まれる。
 彦右衛門は、音次郎の過去を知っているようだった。音次郎は、町年寄の権力と財力と調査能力を知った。月、二十五両でという話もでた。音次郎は答えを出さず、吉兵衛のことは調べることにした。音次郎は、母の姓と父の名前を貰い、柏木宗十郎と改名した。きぬに相談し、彦右衛門の話を受けることにした。

 吉兵衛の死を調べ、五郎右衛門という八百屋が勾引かされ女房と娘が残されるという事件に遭遇する。話を聞いた伊智蔵はその後殺された。伊智蔵の話の中で出てきた松五郎を探し、博徒・新九郎一家を知ることになる。
 宗十郎の命を狙う者が現れる。
 旅姿の松五郎と 彦八を尾行する。二人は刺客に狙われた。刺客は宗十郎を狙った者たちだった。松五郎は助けた。伊智蔵を殺したことは認めたが、五郎右衛門のことは知らなかった。吉兵衛が源平一家のことを知っていた。松五郎を連れて行こうとした時、死んでいると思っていた刺客に殺された。四人供死んだ。
 宗十郎は、吉兵衛の死よりも、五郎右衛門を、母子に返すことの方が大事と考えている。
 源平一家の軍蔵に会った。吉兵衛と五郎右衛門のことを聞く。旅に出ていた軍蔵は、ちょっと調べてみると言う。軍蔵が、落ち目になった親分が、隠富のことを知っている五郎右衛門に絡繰りを指南してもらために攫ったようだと話、五郎右衛門がいるところを教えてくれる。行ってみるとひと足違いで一家に連れて行かれていた。乗り込んだ宗十郎の前で、五郎右衛門を捕まえ人質にする源平に、嫌気がさした軍蔵は、源平の腹に刀を突き入れた。軍蔵は、五郎右衛門を返した。
 吉兵衛は、心の蔵の発作ということになった。
  
 事件を調べる途中、掏摸をした少年に会った。宗十郎は捕まえ、擦った財布を返し、身寄りがないという少年を、家で預ることにした。きぬは読み書きが出来ない永吉に、字を教えている。

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