長屋道場騒動記【六】迷い熊匿す 芝村凉也
間野生馬は仁蔵親分に頼み、自分たちが巻き込まれている大名のことを探ってもらった。同心・反町は、仁蔵に「お前は好きにしな」という言葉を掛けていた。恵比寿屋・与惣兵衛の頼みでもあった。娘・君は十河藩の姫様だと思われた。
十河藩の先々代の殿様は身体が弱かった。嫡男が居たが身体が弱く、心配した殿様は養子を迎えた。嫡男が元気に育ち殿様に就いた。養子には三嶽藩の殿様になった。十河藩の殿様には妾の子・耕太郎がいたが実子と認められていないうちに殿様が亡くなった。三嶽藩の殿様の次男を養子にする話が起った。耕太郎は藩邸をでて跡目争いから身を引いたが、十河藩は二つに割れた。三嶽藩からの養子が十河藩の現殿様だ。耕太郎に付いていたのが剣術指南役だった生馬の父親・源心だった。生馬の父親から与惣兵衛が預かったのが君だった。二十年前の話だ。耕太郎が亡くなり源心は恵比寿屋を守り道場を開いた。
十河藩の殿様は今、体調が思わしく無い。子供もいない。また三嶽藩から養子の話が起った。十河藩は揉めている。三嶽藩からきた家来の評判が良くない。三嶽藩へのお金の援助が多い。金食い虫になっていた。十河藩は二万一千石だが、名産は煙草、杉や檜を売り、牛を育て、銅山まであり財政は豊かだった。三嶽藩には養子に入ることは藩の存続がかかるほどの重大事だった。
何者かが、与惣兵衛を狙い、生馬に真剣勝負を挑んでくる。十河藩の御国派は知ったところだ。十河藩には御国派と御為派に別れていた。三嶽藩の名を使い画策しているのは御為派か。三嶽藩の江戸家老と留守居役が君の存在を知った。姫だと思っている。
生馬も与惣兵衛も大名家の凡を知った。
生馬は千葉周作から、不安を晴らす助言を貰う。
御為派は三嶽藩が動くように画策する。三嶽藩は君を勾引かそうとするが、生馬と千葉兄弟に阻止され捕まる。
御為派は何か切り札を持っているようだ。
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