2023年8月29日火曜日

脳科学捜査官真田真紀⑰

脳科学捜査官真田夏希⑰  鳴神響一
 〜エキセントリック・ヴァーミリオン 〜

 警視庁サイバー特別捜査隊の真田夏希は、隊長・織田信和とデート中、織田が殺人容疑で逮捕される。
 江の島署の加藤に相談する。加藤は捜査一課の石田に事件のあらましを聞く。
 織田の高校時代の同級生を殺した容疑だった。現場の防犯カメラの映像があった。バーでの二人の悶着の証言があった。織田のアリバイの証拠になるタクシーが存在しなかった。
 夏希と加藤は聞き込みをするが、捜査本部と同じ答えが得られただけだった。
 翌日、サイバー捜査隊で、副隊長の横井とIT担当の五島雅史警部補に分ったことを話す。織田の無実を信じる二人は、ニセタクシーが作られたこと、ディープフェイク画像が作られ、防犯カメラをクラッキングし、動画を割り込ませたと考えた。
 五島は、織田が家にいたはずの時間に写された東神奈川駅近くの商店街の織田が映っている防犯カメラのサーバーにクラッキングの痕跡が見つけた。
 神奈川県警の三人の警視が、傷害事件、器物破損、窃盗事案でそれぞれ捕まった。三件とも防犯カメラの映像に犯行記録が残っていた。

 真田と横井と五島は神奈川県警の黒田刑事部長に会いに行く。商店街の防犯カメラへのクラッキングの痕跡を話し、三人の映像の解析を進言する。織田の現場映像をサイバー捜査隊から外部に出さない条件でコピーを送ってもらえることになった。
 加藤が、織田の事件の証言者・バーの店長と客が偽物だったことを調べた。現存しているが全く別人だった。
 織田の犯行の防犯カメラ映像のフェイク映像の解析は出来ないが、映像の挿入されたことは証明された。
 バーの店長は水谷を名乗っていたが、日系アメリカ人・カワムラだったことが、加藤の調べでわかった。
 捜査本部は一新した。織田が釈放され挨拶をした。
 加藤は五島に入手したUSBメモリーを渡した。

 織田や三警視を捕まえさせ混乱させた理由は何か。USBメモリーから、警視長官とパリ市警視総監、横浜市長の懇談する予定があることがわかった。狙いは誰か。警備はパリ市長に付く。小早川、真田は能勢長官に付いた。能勢長官は誘拐された。
 アリシアを投入し長官の監禁場所を見つけた。島津冴美班長のSISが突入し、長官は保護、二人は逮捕され、逃げた一人はアリシアが飛びかかり捕まった。
 織田が乗ったタクシーがあった。捕まったのは、店長とアルバイト従業員と客だった。
 カワムラへの接触は「ディスマス」だった。

 織田の同級生・福原は、織田に長官の略取計画を売ろうとしたが、怖くなって出来なかった。そして殺された。
 織田の慰労会が横浜中華街で行われた。三次会は「帆 HAN」だった。
 加藤は、織田にサイバー捜査隊に誘われた。加藤は所轄が好きだと断った。

2023年8月27日日曜日

畑の益虫とその増やし方

 畑の益虫とその増やし方 野菜だより編集部

 農薬に頼らず自然の力で野菜を育てる。

 ウリハムシ

2023年8月25日金曜日

忍びの副業上下

忍びの副業上下 畠中恵 

 戦国の頃、天下に忍びの一族として名を知らしめた甲賀だったが、世が治まり徳川の配下となり武家の身分を得られ、忍びとしての勤めを失っていた。
 甲賀は忍びの技を失ってはいなかった。家伝の技を受け継いでいたが、役に立たず使う場もなかった。
 上忍弥九郎、蔵人、十郎等三人は、猫探しのため江戸城の屋根に上ったことで西ノ丸様・家基と出会い、甲賀が警護の役に付いた。
 西ノ丸様の廻りに見慣れぬ忍が現れても、守りか敵か見分けがつかないため、弥九郎は甲賀が西ノ丸の守りをすることを辞めた。組屋敷で長から謹慎させられた。

 弥九郎は曲玉を見、襲われている籠を助け老中・田沼意次と顔を合わせ、一ツ橋家とも顔を繋いだ。警護に付いたり、根来も紹介したり。
 西ノ丸様も行く鷹狩りの予行で、熊がでたり食中毒があったり、四人が亡くなった事件が起こる。
 甲賀は事件の背景と犯人を突き止める。四人死亡の犯人が分らないうちに西ノ丸が鷹狩りで体調を崩し亡くなった。籠に運ばれる西ノ丸を見た弥九郎は、西ノ丸が病気であることを認めた。
 
 豊千代を次期将軍にしたい一ツ橋家に呼ばれた弥九郎は、家基が病死であることを将軍に伝えて欲しいと言われる。弥九郎は、家基が病死であることも言うが、豊千代の小姓が鷹狩場でフグ毒を試したことも伝えると言った。弥九郎は、小姓・伊藤の首を落とした。一ツ橋家は伊藤が出奔したことにした。弥九郎が伊藤を殺したことは無くなった。

 甲賀の長は弥九郎になった。昼間は百人番所のお役目で真っ当な顔で生きつつ、闇の中で技を生かして生きていこう。主を持たぬ、真の主は我ら自身。

 

2023年8月20日日曜日

えにし屋春秋  光のしるべ

えにし屋春秋  光のしるべ あさのあつこ

 摂津屋夫婦が五年前の火事で行方不明になった息子を探してほしいと頼んでくる。
初が調査を頼んだ御薦のみきが殺された。摂津屋から独立した吉蔵が死んだ。

 五年前、息子を連れ河内屋に泊まっている時に火事に遭い子どもがいなくなった。
摂津屋の妻・常、子どもが出来なくて攻められていた。幼馴染の河内屋の彦衛門と関係がし、平太が生まれた。三才になった。常は罪の意識が強く彦衛門に相談して平太を預けることにした。二人の話を聞いた吉蔵は、自分が連れ出し、彦衛門の乳母に預けると言った。
 計画の日、常は手放す気がなくなっていたが、火事が起こったために外に出てしまった。吉蔵は常から子どもを奪い連れて行く。常は何も言えなくなった。何も言わなければ平太は生きているとおどされた。そして五年が経った。
 彦衛門が、金を出さなくなった。困った吉蔵が摂津屋に迷子札を出した。摂津屋はえにし屋を頼った。
 吉蔵を動かしていたのは摂津屋だった。みきは摂津屋と吉蔵の話しを聞いてしまい殺された。みきを殺した吉蔵を、そろそろ邪魔になった摂津屋が殺した。
 平太は生きていた。乳母の娘が、本当のおっ母さんが迎えに来るかもしれないと伝えていた。
 常は摂津屋をできる限りきれいに畳んだ。奉公人に金子と次の仕事を手渡す。
 
 みきと一緒に御薦をしていた信太は、常が出会った火事の火元の小料理屋の行方知れずの一番下の男の子かも知れない。主夫婦と子ども二人は焼け死んだ。

2023年8月17日木曜日

四日間家族

四日間家族 川瀬七緒 

 四人の男女は、自殺願望があり集まった。死ぬ覚悟の話しの途中、女が来る。すぐ帰ったが、赤ん坊を捨てたことに気がつき赤ちゃんを助ける。
 誘拐事件にされたことで四人は警察に行けなくなった。女の仲間が戻ったことで四人の顔を見られSNSにさらされる。
 四人は赤ちゃんを捨てた女から組織の存在を知り、何が行われているか探る。

 赤ちゃん斡旋から臓器売買、事務所に行き全てを知った時、警察を呼ぶ。
四人もそれぞれ重い物を抱えた人たちだった。若い陸斗の死なないことにしたと言う言葉を聞いて安心する。


2023年8月14日月曜日

竃稲荷の猫 

竃稲荷の猫 佐伯泰英 

 竃河岸の裏店で三味線職人の父・伊那造と二人でくらしの小夏。父の弟弟子・善次郎が来る。伊那造は、親方の玄次店から離れ材料の材木管理をしながら三味線長屋で一人仕事をしていた。棹だけを作る。

 小夏は15才。親方から材料の材木管理を任される。雑然と置くのではなく誰が見ても何があるるか分るように、伊那造の頭の中の物を全て明らかにして管理するようにした。

 善次郎は伊那造の元で、何年も前に歌水師匠から注文されていた花梨材で三味線を作る。でき上がった三味線に歌水師匠は感激した。親方も自分たちが手を付けられなかった花梨材の三味線を仕上げた礼を言う。伊那造の見抜く眼にも、伊那造に頼んだ自分の眼にも功労があったと言う。
 善次郎が親方の下に帰っても厄介なので、善次郎の寝床と作業場を三味線長屋に作ることになった。善次郎は伊那造との二つの風の吹き込まない作業場と三畳の寝室と床の間と神棚を拵えた。
 正月三日、小夏は善次郎の実家に行く。

 中村座の芝居小屋で歌水師匠の初御さらい会が行われた。花梨三味線初披露。
 三年後には、善次郎は昼間は三味線造り、夜は長屋に戻るそんな生活になってるかな。

2023年8月12日土曜日

神様の御用人 継いでゆく者

 神様の御用人 継いでゆく者 浅葉なつ

 継いでゆく者 御用人・萩原敏益のもとに久久紀若室葛根神の名が、宣之言書に現れる。彼はムキムキになりたいと言う。敏益はいろんな食べ物屋に連れて行く。
 その中に「洋食 ふじた」があった。フジタの店主と敏益は幼馴染だった。店主は年をとり店を閉める。フジタのグラタンが好きで通っていた一人のサラリーマン・城嶋が、フジタのレシピを継ぐことになった。ククキと敏益は、城嶋のフジタのグラタンの味の再現の試行錯誤に加勢する。味の再現に力を貸しながら、敏益は久久紀若室葛根神に、自分の役目の大事さを思い出し胸を張って下さいと言う。小さな胸という神に人の子には充分大きいと答える。神と人を繋ぐ。ムキムキでなくていいのです。宣之言書に現れてから一年が経っていた。
 グラタンの再現に協力し、味が完成した数日後、敏益は亡くなった。三年前だった。
 bistro JYOSHIMA  に入った良彦は、久久紀若室葛根神と会う。敏益の孫と知った店主とククキからフジタのグラタンの味の再現話しを聞く。良彦にも懐かしいフジタのグラタンの味だった。

 永遠の相槌 良彦は、一条天皇の時代に、三条小鍛冶宗近と一緒に小狐丸という刀を打った稲荷明神の行方を探して欲しいと言われた。その時の槌を返したいと言う。
 探し回った良彦が知った。宗近が助け飼っていた犬だった。槌麻呂と名付け九年共に暮らし死んだ犬だった。
 そして良彦は向かいの家のチョコが、稲荷の元で働いていることを知った。給金を幸運に換えて斎藤家に届けてから冥界に行こうと思っていることを知った。

 ありふれた日常 穂乃香がアルバイトを始めた。良彦が神職になった時何か贈り物をしたいとアルバイトを始めた。
 御用人の友人・天眼の娘がアルバイトを始めたと、神様の間に広まった。面識のある神様が現れる。良彦は孝太郎を誘って行く。孝太郎に神職になる相談する。
 お金を貯めるためバイトのシフトを増やしてもらう。

 御用人になりたい桐堂院桜士朗。三峰の狼を連れている。
 

2023年8月10日木曜日

神奈川県警捜査協力員担当細川春菜⑤ 

神奈川県警捜査協力員担当細川春菜⑤ 鎮魂のランナバウト 鳴神響一

 神奈川県西南部の震生湖で自動車評論家・天童頼人の遺体が発見された。
 春菜は旧車愛好者から話しを聞く。

 二年前の撮影時の事故の話題が出る。事故だ亡くなったカメラマン。事故を起こした運転手は自殺していた。事故を起こしたのは天童と考えられた。天童は気を失うことがある病気だった。自殺した運転手の兄が、天童の車の整備点検をしている店のオーナーだった。

ルノー・キャトル

聞き取りにどんなところにも行くのに、今回、電話で済ませたところがあった。結局それが犯人だった。何故?



2023年8月8日火曜日

総目付臨検仕る〈五〉 霹靂

総目付臨検仕る〈五〉 霹靂 上田秀人

 水城聡四郎は、目付坂崎左兵衛尉に評定所にかけられることになった。評定所に出頭前に久世大和守の家来に狙われるが倒して時間までに入る。
 大岡越前に助けられる。

 入江無手斎は、医者と尾張に入った。 

2023年8月6日日曜日

貸し物屋お庸謎解き帖③ 五本の蛇目 

貸し物屋お庸謎解き帖③ 五本の蛇目 平谷美樹
 
 能管の翁 横笛を借りに来る翁がいる。神降ろしの笛を湊屋に預けてしまった能管吹きのために、季節が来ても降りられない神様が、気付かせるために出てきていた。湊屋九段下出店だった。本店清五郎に言わずに儲けを考えていた。

 魚屋指南 呉服屋の若旦那が、水茶屋の好意を持った女・かつに、魚屋になれと言われて、担ぎ魚屋道具の一式を借りに来る。一日ついて廻り、自分が魚屋になるのは無理、かつは自分を好きではない。どうしようもないことが分った。どうしようもないことを認めるのは諦めること、認めなきゃ次に進めない。

 五本の蛇目 何故五本の蛇目を借りにかたのか。魔除けだった。お庸が聞き出す。善太郎が女に誘われ関係を持った。気がつくと荒れ果てた小屋で寝ていた。傍に骨があった。女が迎えに来る。お札を張っていたが札が破れた。庸は、荒れ果てた小屋を探し、弔いをしてもらえる所を探す。弔って貰って女が礼に来る。父親と関係があった女のようだ。父親に言い、墓を建てると言う。

 野分の後 馬を何かされると猿を借りにきた馬子がいた。庸は男の後を付け夜の様子を見る。歩いたような後を付け流された道祖神を見つける。村人が掘り出し、流される前の場所に備え直す。

 湯屋の客 湯屋に初見の客が来る。庸の背中を見るためのようだ。みんなで阻止される。「みずら」を見たいらしい。庸の背中の文字を消されたのだろう。清五郎は庸にきずかれないように護っている。


2023年8月3日木曜日

乱菊

 乱菊 辻堂魁

 両国大橋 別所龍玄の妻・百合が、子どもの大きい子が小さい子をいじめる場を目撃し仲裁に入る。子供たちの親の申し出で礼に来た寺子屋の先生・深田匡を知った。
 匡が切腹の介錯を龍玄に頼んできた。
 匡は女敵撃ちをした。相手が、千九百石の旗本の中間になっていた。強硬な申し入れで、南部藩は、大目付に付く大城家の横槍を取り合わないわけにいかなかった。
 龍玄は介添えを果たす。匡は、紀代にすまなかったと言葉を残して逝った。
 龍玄は紀代に会う。紀代には志まという子がいた。見届けたこと、言い残した言葉を伝える。深田さんは何もかもご存知でしたよと。

 龍玄は両国橋で深田を見る。

鉄火と傳役 龍玄の剣術の師匠・大沢虎次郎の同郷の誼み、生野清順の頼みで、清順が傳役をした家禄五千八百石の長尾家長男・京十郎の介錯をすることになった。
 京十郎は嫡男だが、高家禄の後添えの母の弟がいた。京十郎は廃嫡された。町方が強請集りを働く一味を一網打尽にした中に京十郎がいた。評定所での裁きの前に切腹させようとしていた。
 時間に長尾家の別邸に着いた時、家人は殺されていた。清順も殺されていた。龍玄は京十郎の膝を斬り、介錯した。
 龍玄は大沢に報告した。

 弥右衛門 龍玄は水戸家家臣・手塚家次男・弥右衛門の介錯を頼まれる。弥右衛門は陰間を生業としたため縁を切られていた。
 弥右衛門の友・御家人・真崎新之助が旗本の三人組に追いかけ殺された。三人は酔った喧嘩の結果だと言い叱りのお咎めだけで終わる。新之助がいじめ殺されたことを知った弥右衛門は三人の旗本を殺した。水戸家家臣手塚家次男と名乗り出頭する。
 父親は息子と認め切腹が決まった。弥右衛門は一度出会った龍玄に介錯を頼む。
 父親も来ていた。弥右衛門の遺体を運んだ。良き最後であった。

 発頭人狩り 百合の幼友達・かな江が中条流の医者を知らないかと訪ねてきた。母・静江の実家・竹内家の兄・好太郎の知り合いの医者・白井堂安を紹介された。
 龍玄は刀剣鑑定の依頼があった都築家の用人・雨宮左内から、福山藩の横目付けが別所家を探っていると教えられた。龍玄は好太郎に話す。好太郎は白井に知らせる。
 白井堂安は、福山藩領で医者をしていた。百姓一揆の際、一揆勢に加勢した土地の侍衆の一人だった。白井は好太郎を頼り江戸に出てきた。三年半経つが、福山藩の横目は白井を探していた。
 好太郎、息子・専太郎、龍玄は白井の元に駆けつけるが、白井は捕まっていた。駆けつけ助けようとする龍玄の前で白井は斬られた。龍玄は横目の首を刎ねる。白井は亡くなった。専太郎は龍玄の手を借り一人を倒した。
 専太郎は龍玄のように強くならねばと道場に行くようになった。三人の横目は国元に帰ったことになっている。

2023年8月1日火曜日

日暮坂右肘斬し

日暮坂右肘斬し 門田泰明

 戟戦 芳原竜之助頼宗56才の剣友・具舎平四郎満行が、平四郎の得意技・右肘斬しで殺された。傍にいた妻・早苗は傷を負ったが命は助かった。竜之助は、右肘斬しで仇を討つつもりで右肘斬しの訓練をする。 
 平四郎は二十過ぎの頃。信河数右衛門高時と料理屋で喧嘩をし、階段から転がり足を骨折した。喧嘩の後、平四郎は無役になった。
 竜之助は平四郎の家に寄ったところ三人組の浪人に襲われた。右腕を斬り落とした。辻斬りだった。平四郎を殺した張本人だった。

 夢と知りせば 
 六百石の鷹野家当主・九郎龍之進と七百石信河家三男・和之丈高行が、旗本家武徳会・剣術決勝戦を戦っていた。勝ったのは龍之進だったが、判定直後高行が側頭部を木刀で殴り龍之進は怪我を負い、亡くなる。
 龍之進が自分の息子だったと知った竜之助は和之丈高行に挑む。右肘斬しを放つ。名前を名乗り、龍之進の父だと名乗り、高時と喧嘩した平四郎の友だと名乗った。