2023年8月3日木曜日

乱菊

 乱菊 辻堂魁

 両国大橋 別所龍玄の妻・百合が、子どもの大きい子が小さい子をいじめる場を目撃し仲裁に入る。子供たちの親の申し出で礼に来た寺子屋の先生・深田匡を知った。
 匡が切腹の介錯を龍玄に頼んできた。
 匡は女敵撃ちをした。相手が、千九百石の旗本の中間になっていた。強硬な申し入れで、南部藩は、大目付に付く大城家の横槍を取り合わないわけにいかなかった。
 龍玄は介添えを果たす。匡は、紀代にすまなかったと言葉を残して逝った。
 龍玄は紀代に会う。紀代には志まという子がいた。見届けたこと、言い残した言葉を伝える。深田さんは何もかもご存知でしたよと。

 龍玄は両国橋で深田を見る。

鉄火と傳役 龍玄の剣術の師匠・大沢虎次郎の同郷の誼み、生野清順の頼みで、清順が傳役をした家禄五千八百石の長尾家長男・京十郎の介錯をすることになった。
 京十郎は嫡男だが、高家禄の後添えの母の弟がいた。京十郎は廃嫡された。町方が強請集りを働く一味を一網打尽にした中に京十郎がいた。評定所での裁きの前に切腹させようとしていた。
 時間に長尾家の別邸に着いた時、家人は殺されていた。清順も殺されていた。龍玄は京十郎の膝を斬り、介錯した。
 龍玄は大沢に報告した。

 弥右衛門 龍玄は水戸家家臣・手塚家次男・弥右衛門の介錯を頼まれる。弥右衛門は陰間を生業としたため縁を切られていた。
 弥右衛門の友・御家人・真崎新之助が旗本の三人組に追いかけ殺された。三人は酔った喧嘩の結果だと言い叱りのお咎めだけで終わる。新之助がいじめ殺されたことを知った弥右衛門は三人の旗本を殺した。水戸家家臣手塚家次男と名乗り出頭する。
 父親は息子と認め切腹が決まった。弥右衛門は一度出会った龍玄に介錯を頼む。
 父親も来ていた。弥右衛門の遺体を運んだ。良き最後であった。

 発頭人狩り 百合の幼友達・かな江が中条流の医者を知らないかと訪ねてきた。母・静江の実家・竹内家の兄・好太郎の知り合いの医者・白井堂安を紹介された。
 龍玄は刀剣鑑定の依頼があった都築家の用人・雨宮左内から、福山藩の横目付けが別所家を探っていると教えられた。龍玄は好太郎に話す。好太郎は白井に知らせる。
 白井堂安は、福山藩領で医者をしていた。百姓一揆の際、一揆勢に加勢した土地の侍衆の一人だった。白井は好太郎を頼り江戸に出てきた。三年半経つが、福山藩の横目は白井を探していた。
 好太郎、息子・専太郎、龍玄は白井の元に駆けつけるが、白井は捕まっていた。駆けつけ助けようとする龍玄の前で白井は斬られた。龍玄は横目の首を刎ねる。白井は亡くなった。専太郎は龍玄の手を借り一人を倒した。
 専太郎は龍玄のように強くならねばと道場に行くようになった。三人の横目は国元に帰ったことになっている。

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