忍びの副業上下 畠中恵
戦国の頃、天下に忍びの一族として名を知らしめた甲賀だったが、世が治まり徳川の配下となり武家の身分を得られ、忍びとしての勤めを失っていた。
甲賀は忍びの技を失ってはいなかった。家伝の技を受け継いでいたが、役に立たず使う場もなかった。
上忍弥九郎、蔵人、十郎等三人は、猫探しのため江戸城の屋根に上ったことで西ノ丸様・家基と出会い、甲賀が警護の役に付いた。
西ノ丸様の廻りに見慣れぬ忍が現れても、守りか敵か見分けがつかないため、弥九郎は甲賀が西ノ丸の守りをすることを辞めた。組屋敷で長から謹慎させられた。
弥九郎は曲玉を見、襲われている籠を助け老中・田沼意次と顔を合わせ、一ツ橋家とも顔を繋いだ。警護に付いたり、根来も紹介したり。
西ノ丸様も行く鷹狩りの予行で、熊がでたり食中毒があったり、四人が亡くなった事件が起こる。
甲賀は事件の背景と犯人を突き止める。四人死亡の犯人が分らないうちに西ノ丸が鷹狩りで体調を崩し亡くなった。籠に運ばれる西ノ丸を見た弥九郎は、西ノ丸が病気であることを認めた。
豊千代を次期将軍にしたい一ツ橋家に呼ばれた弥九郎は、家基が病死であることを将軍に伝えて欲しいと言われる。弥九郎は、家基が病死であることも言うが、豊千代の小姓が鷹狩場でフグ毒を試したことも伝えると言った。弥九郎は、小姓・伊藤の首を落とした。一ツ橋家は伊藤が出奔したことにした。弥九郎が伊藤を殺したことは無くなった。
甲賀の長は弥九郎になった。昼間は百人番所のお役目で真っ当な顔で生きつつ、闇の中で技を生かして生きていこう。主を持たぬ、真の主は我ら自身。
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