竃稲荷の猫 佐伯泰英
竃河岸の裏店で三味線職人の父・伊那造と二人でくらしの小夏。父の弟弟子・善次郎が来る。伊那造は、親方の玄次店から離れ材料の材木管理をしながら三味線長屋で一人仕事をしていた。棹だけを作る。
小夏は15才。親方から材料の材木管理を任される。雑然と置くのではなく誰が見ても何があるるか分るように、伊那造の頭の中の物を全て明らかにして管理するようにした。
善次郎は伊那造の元で、何年も前に歌水師匠から注文されていた花梨材で三味線を作る。でき上がった三味線に歌水師匠は感激した。親方も自分たちが手を付けられなかった花梨材の三味線を仕上げた礼を言う。伊那造の見抜く眼にも、伊那造に頼んだ自分の眼にも功労があったと言う。
善次郎が親方の下に帰っても厄介なので、善次郎の寝床と作業場を三味線長屋に作ることになった。善次郎は伊那造との二つの風の吹き込まない作業場と三畳の寝室と床の間と神棚を拵えた。
正月三日、小夏は善次郎の実家に行く。
中村座の芝居小屋で歌水師匠の初御さらい会が行われた。花梨三味線初披露。
三年後には、善次郎は昼間は三味線造り、夜は長屋に戻るそんな生活になってるかな。
0 件のコメント:
コメントを投稿