2023年12月10日日曜日

柳橋の桜〈四〉 夢よ、夢 

柳橋の桜〈四〉 夢よ、夢 佐伯泰英 

  波乱万丈の旅を経て、二人は江戸に帰って来た。

 二人の祝言が挙げられる。
 コウレルが描いた、長崎から江戸までの素描画五十五枚、真ん中に「花びらを纏った娘」と「チョキ舟を漕ぐ父と娘」が展示された。十六年前の柳橋の桜と三才の小春。広吉と小春の絵だった。北州斎霊峰絵師が白壁一面に小春の花嫁姿と小龍太の紋付き袴姿を描いた。

 小春は船頭を続けることを決めた。
 小龍太は、自分の棒術が大内家が教えてきた香取流棒術ではなくなっていることを知る。携えていた刀を返した。自分は何をしようか迷う。
 長崎会所から貰った刀を差す。江ノ浦屋五代目彦左衛門が隠居し、海外貿易、長崎会所とおなじものを江戸会所として作ろうとしたが、性急過ぎた。長崎会所の江戸店ということで始められた。小龍太は彦左衛門の右腕として長崎に向かった。

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