源氏物語アンソロジー 君を恋ふらむ
やんちゃ姫玉かつらの巻 田辺聖子
私十五才、源氏の素敵なお邸きらびやかな六条院に来て三ヶ月経った。流し目で見られると背中がゾクゾクする。私を連れてって。筑紫へ早く。
髪 瀬戸内寂聴
横川の僧都が御遷化されたと聞いたのは陸奥の海辺の村だった。
宇治の院で死にかけた女を助けた。後にもあのまま死なせて下さっていたらと言われ、出家を願う人。
助けた時の濡れそぼった髪の感触、目に焼き付いた清浄の裸身。
僧都が出家させたことの後悔の手紙を書かれたことで、彼女が出家を貫けまいと感じ、僧都の手紙は仏への裏切りだと思い、横川を出奔した。長い流浪の中で、僧都を生き菩薩と言う認識に至った。
彼女は薫大将と匂宮の愛を受け板挟みに悩んだ結果だった。還俗せず、出家を遂げきり五年後流行り病で亡くなったと聞く
桜子日記 永井路子
和泉式部に憧れ屋敷に上がった。私を桜子と呼んで下さった。道貞との間に娘がいた。道貞が。伊勢に行く時、式部は行かなかった。
弾正宮為尊親王が来られる。弾正宮は亡くなる。
弟・帥宮敦道親王が通う。帥宮も亡くなる。
弾正宮と帥宮に付いていた桜子のお相手・桂丸も亡くなった。
帥宮との思いでを書きながら、藤原保昌ともお付き合いしている。
朝顔斎王 森谷明子
娟子は元斎王。父親が亡くなり斎王から下りる。俊房がたびたび訪れる。俊房が訪れる度、いろんなことが起きる。鳥の巣が壊されたり、犬のしっぽが投げ込まれたり。少納言が娟子に付くようになった。
一滴も雨が降らない夏、帝から娟子に祈祷せよと言われた。数日後、貴船で祈祷を行なった。夜雨が降った。
朝、朝顔が根こそぎ引き抜かれた。俊房は毎日訪れる。
火事が起きた。少納言が娟子を非難させた。娟子は鎮火の祝詞をあげる。「鎮火の祝詞を捧げるとはゆるさない」の声が聞こえた。俊房が駆けつけた。
屋移りの日、少納言が現れ、今日無事に屋移りが終われば全てを話すと言った。
屋移りの途中、液体を掛けるという女が現れる。少納言が抑え、娟子は、構うな と命を下し新しい屋敷に移る。
少納言は、現れ全てを語る。いろいろ悪さをしていたのは次の斎王・現斎王・三輪だった。俊房が好きで、斎王・娟子の元に行く俊房が、自分が斎王になったから来てくれると思っていた。俊房が行くのは娟子の所だった。抜け出し娟子に悪さをした。そして調べるために少納言を娟子の下に置いた。少納言は三輪から娟子を護るためにいるようになった。
自分が雨ごいをしても雨が降らなかった。帝は娟子を頼る。三輪は火を付けた。そして汚れた血を掛けようとした。
少納言は、俊房に娟子に代わって歌を残した。
君こずは 誰に見せまし わがやどの かきねにさける 朝顔の花 読み人知らず
照日の鏡ー葵上 澤田瞳子
醜いが理由で照日の前に雇われた。吉野の山中に二年籠ったよりまし憑坐として。
照日の梓の法でも葵上は助からなかった。生霊の怨念がわが法を上回っておりました。
生霊などいないのではないか。何もかも承知の上で生霊がいると思いたい人に寄り添っているのではないか。
栄華と影と 永井紗耶子
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