北の御番所 反骨目録〈十〉 ごくつぶし 芝村凉也
ごくつぶし 古物商で、売れっこの岩海和尚の書を破いた者がいると捕まったのは旗本の三男だった。旗本は、破いた物の代金を払うと言い、古物商はいらないと言う。三男は何も言わず捕まっている。
裄沢に調べてくれと頼まれた。頼んだのは旗本だった。殿様は長男で、後添えが産んだ息子を跡取りにしたいがためあらゆる手を使った父と義母から家を守るため無頼を装った三男だった。
三男・隆次郎は、書画をたしなんだ。岩海の書も練習していた。無頼を装った時の仲間が、隆次郎の留守に部屋に上がり込みそれらの物を持ち去った。その後、岩海に落款を贈った。贈る前に、隆次郎の作に押していた。和尚の落款が認知されたころ売り出した。隆次郎は、友人の所に行ったが、売られた後だった。店で破くことになった。古物商も騙されたことは言えない。
裄沢が調べ上げた。隆次郎は毒を飲まされ殺された。殺されたことを調べている目付に全て話した。数年後、隆次郎の友人は切腹している。罪状は判らない。
島帰りの男 行沢が、介入し、奉行所の小者を辞め、増上寺界隈を縄張りにする香具師の元締・以蔵の所に身を寄せる三吉。以蔵にかなり重用されている三吉をよく思わない者がいるらしい。三吉を兄貴分と思っている六の字が裄沢に相談に来る。裄沢に恩を感じている三吉は、裄沢の調べの手伝いをする。六の字はそれを知っていた。
元の元締が島から帰った。遠島になる時、以蔵は頼まれ香具師の元締になった。次の元締を狙う音二郎が元元締に、三吉の悪口を吹き込んでいるという。何があったというわけではないが、心配でたまらないという。
裄沢は何も出来ないが、調べることはした。そんな時、露天商の争いから加賀鳶との争いになった。加賀鳶と話し合いをすることになっている。
裄沢は元元締・達五郎を訪ねる。仲神道を救う手助けをして欲しいと頼む。達五郎と増上寺の高僧との関係、増上寺と前田藩・加賀鳶との関係を話、達五郎なら出来るだろうという。
加賀鳶との話し合いに三吉と出掛けた以蔵。留守を預かった達五郎。達五郎は加賀鳶が頭をさげて終わったと帰ってきた。音二郎を連れて帰ると言う達五郎に、自分の後を継がせるつもりだから手元に置くと言った。達五郎は三吉に、いい人と巡り会えたようだね。大事にするんだぜと言い残す。三吉は裄沢が動いたことを知る。
昔の罪 裄沢のところで働く茂助。茂助だけが残り、今は茂助の甥・重次が、食事の用意をする。重次の死んだ友人の息子の事で相談があった。
兄は食器を扱う小間物屋に、弟・次助は太物問屋に奉公にあがった。次助がお金を落とした。相談された兄・初太は、持っていた金を弟に渡した。注文主が払ったはずと苦情を受け兄弟は奉公先に謝りに行った。二人の店は許したが、許さなかったのは苦情を言ってきた湊屋だった。小間物屋は庇ったが辞めさせないと得心しなかった。初太は店の助けもあって担い売りとして生活出来た。初太は、仕入れ先の店から娘の養子にと話しがきた。親戚が、店の金を盗んだ者を跡取りにするのかといわれていた。
裄沢に頼まれ貫太が調べた。親戚の後ろに店を潰した湊屋がいた。
親戚一同が集まった中で、昔の脅しまがいの湊屋の言葉を出しても、貫太の職業を言っても収まりがつかなかった。裄沢が出、どうにか収まった。初太はやはり婿になれないと言った。
来合美也が懐妊した。
裄沢が失踪した。
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