鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿② 由比ヶ浜協奏曲 鳴神響一
七月下旬の土曜日、鎌倉海浜芸術ホールで、新日本管弦楽団の演奏会中に、第一バイオリンのコンサートマスター・三浦の頭上に鉄球が落下し死亡する事件が起こった。超小型ロボットアームが取り付けられスマホで捜査されたものだった。
鎌倉署刑事課強行犯係の巡査部長・小笠原亜澄と神奈川県警捜査一課・吉川元哉巡査長は組み、鑑取りに回った。
指揮者・里見は、36年前、チェコ響のバイオリンで駄目だしされ解任され失業し一年も経たないうちに病没した三浦倫安の12才の遺児のために多額の経済援助をした。遺児は楽団のコンマスになった。今回亡くなった三浦倫人だった。
里見は、難聴だった。12年隠していた。
里見が、楽団の事務局長の石川が、楽団の経費の着服をしていることを知った。石川に自首を進めた。
三浦は、四か月前、父親の解任のきっかけが里見だという話を知り、敬愛が憎しみに変わったと、ピアノの椎名は言った。
石川は、ライトの台にアームを取り付けケトルベルを付けたことを認めた。経費の着服を知られた里見を殺すために。スイッチを入れて亡くなったのは三浦だったので驚いた。三浦は殺していないと言う。石川は逮捕された。
アラームが解除されたことに不信をもっている小笠原は、三浦を殺した犯人と思っている人に罠を仕掛けた。同じように上から物を落とした。ケトルベルとそっくりな素材が柔らかいもので出来ていた。椎名は自分がやったと自供した。石川が仕掛けるのを見た。敬愛する里見を憎むようになった三浦を殺そうと思ったと言った。それを聞いた里見の娘は、里見の難聴のことを暴露しようとした三浦を殺したのだと言った。里見の推薦で賞がとれる寸前だったから。
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