岡っ引き黒駒吉蔵② 馬駆ける 藤原緋沙子
雪解け 吉蔵が子供の凧揚げを見ている時知り合った男は、葦簀張りの田楽の店を出している吉蔵が気にしている身重のおはるが、兄と慕う、呉服問屋富田屋の手代直次郎だった。
鬼のような取り立てをする金貸し・宇兵衛が殺された。直次郎が、三両借りていることが分る。富田屋の主人・鶴太郎が四百両借りていることがわかった。鶴太郎は自分は借りていないという。借りに来たのは直次郎だったと宇兵衛のおかみさんは言う。宇兵衛殺しの現場を見たという益之助が殺された。直次郎の行方が分らなくなった。
おはるが、子供を産んだ。直次郎が顔を出した。吉蔵が直次郎に話を聞く。吉蔵は自分が二人を殺したと言う。吉蔵は子供のころ先代富田屋に父親の死に際に世話になりそのまま育てて貰った恩があった。先代のためにと鶴太郎に言い含められていた。
鶴太郎は養子だった。先代と鶴太郎の母親との古い口約束の許嫁だった。鶴太郎は四百両を金遣いの荒い母親のために使っていた。母親を連れて逃げようとするところを吉蔵たちに捕まった。
馬駆ける 吉蔵を岡っ引きに引き上げてくれた金子十兵衛に、元岡っ引き妻五郎の娘を探して欲しいと頼まれる。妻五郎は病気で先がながくない。生きている間に娘と合わせてやりたいという。妻五郎の娘・まちと一緒になり岡っ引きをしていた弥七も探していた。探し始めて半年程した時、殺された。南町の調べで無宿人に殺されたとされ打ち切りになっている。
吉蔵は、南町に自殺で片づけられている材木問屋「吉野家」の主人の事件を調べようとしていた。
まちのことを調べていると、まちは、働いていた料理屋で、吉野家が潰れ仕事が舞い込んだ材木問屋・武蔵屋の未亡人と、頬に痣がある武家との密会現場を見ていたことがわかった。その翌日からまちは行き方知れずになっていた。頬に痣がある武家は、南町の与力・野呂富之助だった。事件を打ち切りにしている同心・雪見馬之助の背後にいる与力だった。
弥七が殺された時、懐に持っていた銀の簪から、女郎・おたかが浮かんできた。おたかを遊女屋に連れてきた女衒は、雪見が使っている岡っ引き・円蔵だった。
円蔵を捕まえ、まちの居所を聞き出す。
武蔵屋のはまに届いた文の返書を持って出た為七を追った。文を読んだ浪人は為七を殺そうとした。吉蔵は浪人を捕まえた。為七は文を読んだ。
菱田平八郎は雪見に会った。雪見は野呂にお前たちとは関わりがないと言われた。雪見は菱田に、妻に見下り半を書かせてくれと頼んだ。
野呂は品川に逃げた。品川から馬で逃げた。金子と吉蔵は馬で追いかける。吉蔵は追いつき凧糸を投げ絡ませる。野呂を捕まえた。
まちは妻五郎の看病をした。妻五郎は亡くなった。まちは落ち着いたら岡っ引きになりたいと言った。遊女屋にいた仲間のことを思うとああいう人たちのためには女の御用聞きが必要じゃないかと思うと言った。
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