2024年8月31日土曜日

旗本出世双六〈一〉 振り出し

旗本出世双六〈一〉 振り出し 上田秀人 

 書院番の新参がいじめに耐えかね三名の古参を斬り殺す刃傷事件が起きた。二百二十五石の小旗本で無益の北条志真佑は、番士を一新し再編された組・西丸書院番二番組に抜擢され、妹・幸や叔父・相模八左衛門と共に喜んだ。書院番の仕事は、外出時の将軍の警護。志真佑は西ノ丸の書院番なので家慶の外出時の警護。

 家斉の代参で、家慶が有徳院の忌日の供養に参加のため寛永寺に行く。志真佑は組頭のすぐ後ろに付くように言われた。敵に誘われても討って出ず、盾出なければならないと言われる。

 行列に浪人が絡んできた。先頭が当て落とされ志真佑は相手をする。一撃は止めた。浪人らは藩を潰された理不尽と潰した徳川への反感と浪人の暮らしのつらさをたらたらと言い放ち、刀を向ける。刀を受けた志真佑は、小普請には未来は見えぬ、我らには直参旗本という誇りがある。この誇りは何人も奪うことは出来ぬ。夢はいくつでも見られる。ひとつのことにとらえられてきたそなたたちと一緒ににするな。天下の泰平を守るのが旗本の役目じゃ。と志真佑は答え返す。守っている間に水戸家の援軍が来た。浪人たちは走りさる。
 志真佑は、家慶と目が合った。家慶は微笑んだ。
 家慶は志真佑に興味を持った。


0 件のコメント:

コメントを投稿