2025年11月18日火曜日

新・問答無用 遺言書

新・問答無用 遺言書 稲葉稔 

 父・与兵衛の死により浅草の油屋を継いだ山形屋伊兵衛。遺された帳面の整理中、遺言書と書かれた書付けを見つけた。そこには、符丁のような文字や、絵と共に伊兵衛の知らない数千両もの金高が記されていた。亡き父の不正を疑った伊兵衛は町名主に相談を持ち込んだ。
 宗十郎に捜索が依頼される。
 以前、江戸で一緒に仕事をしていた吉蔵に出会う。
 名前はあるが、店は無いという店もある書付けを持って尋ねる。金の困った時は、書付けを持って行けとされている、由蔵を探す。早いうちに三人組に襲われる。四人組も由蔵を探していた。宗十郎の妻と永吉をしっていた。吉蔵に頼み、二人を別のところに移す。
 きぬが捕まり永吉に場所を教えられた宗十郎が、きぬを助け、侍一人を捕まえるが、舌を噛み切り死す。
 由蔵を見つけた。由蔵から話を聞くが、二人に押し入られ殺される。通りで宗十郎を倒そうとしたことで、一人は捕まる。一人は逃げた。
 篠山藩青山家の用人津々井は、成田屋に御用金調達を申し出た。断っていたが、番頭へ謝礼をし御用金を調達した。津々井は一部を抜いて藩に納めた。抜いた金を由蔵に守らせた。由蔵を那須屋と名乗らせ、他の店にも誘いをかけた。与兵衛にも声が掛かった。与兵衛は、由蔵の帳面を盗み見し遺した。由蔵の管理する金が多くなった。二千両を持ち逃げした後、宗十郎が調べることになった。三人は、由蔵を探し出すために用人に雇われていた。逃げた一人は、青山藩の目付に見付かった。

2025年11月16日日曜日

新・問答無用〈二〉 難局打破

新・問答無用〈二〉 難局打破 稲葉稔 

 江戸の町人たちの様々な諍いを治める町年寄の下で働くことになった柏木宗十郎が、内済に乗り出したのは、大八車から転がり落ちた酒樽で、足の指を潰大怪我を負ったお路に、償い金を払わせることだった。荷主と車宿が、出し合う比率で揉めていた。
 お路は藤沢の者だった。一年近く経ち、許嫁の貞助が江戸に来、宗十郎が中に入り、一旦車宿が全額・十五両を払い、貞助が受け取った。大八車を引いていた車力が殺され、貞助が疑われ足止めされる。貞助は、お路に金を送り、車宿の詫び状を送る。親には、宿役人の証明をもらって欲しい手紙を送った。
 
 貞助が犯人ではないと言っても聞き届けない同心に、宗十郎は、真犯人を見つけることにする。殺された佐平と最後に見られた半七を探す。半七の恋相手の花も殺された。二人の関連で侍も見付かった。半七も殺されていた。半七は押し込みを計画し、佐平を誘った。佐平は断り殺された。半七は、用心棒を誘った。用心棒は、最後には、雇い主を裏切らなかった。半七も殺された。計画を知っている花も殺された。用心棒は、宗十郎を狙った。そして捕まった。

 貞助の親とお路が江戸に着き、貞助が、藤沢にいたことが証明され、解き放たれた。
 

2025年11月14日金曜日

前略、山暮しを始めました。10

前略、山暮しを始めました10 浅葱 

 ニワトリ三羽と山暮らしを始めて、一年が過ぎた。ニワトリが一羽増えた。ポチ、タマ、ユマ、ヒヨコのメイ。

 六月中旬、みんなで墓に行く。メイを入れたポーチをポチが首から掛ける。メイはヤンチャだった。ポチの背にメイが飛び乗る。タマ、ユマと順に何度も背に飛び乗った。
 相川さんと大蛇二匹と、佐野家全員で山唐さんのレストランへ行く。ニワトリとテンとリンも山唐さんの前でしゃべった。山唐さんは、彼等に話をしなければいけないと言い、佐野と相川は、山唐さんの妻・花琳さんとレストランに入った。豪華中華を頂き、山唐さんのはなしを聞く。
 人が居なくなり消えそうな神を心配して生き物が集まった。消えていこうとする神に、生き物を大事にしてくれる者に引き渡そうと言う者がいた。神はその者に託した。動物たちは神の影響を受け、なりたい姿、もしくは供に過ごす者にとって都合のいい姿を求めた結果あのように成長したのだろう。彼らは供にありたいと願い、具現化した姿になった。進化したので元に姿には戻るのは不可能だ。山唐さんは会話は忘れてくれと言った。何かが抜け落ちた。
 山東さんの所は、隣村だが、ぐるっと廻らなければならないので、遠い。

 佐野はおじいさんの遺産で、マンションと駐車場を貰った。管理は母の弟・伯父さんに頼んでいた。姉からの連絡で、実家に帰り見に言った。五千五百円が七千五百円になり、一台分が狭くなり、止められる台数が増えていた。証拠を押さえて帰る。
 
 七月、七日、桂木リエの発案で、七夕祭と一日早いリエの誕生会をすることになる。佐野は笹を切りに行き、小学校の分の五本を切り、学校に持って行く。相川さんは食事を用意してくれる。佐野の家に集まる。次の日、小学校で一緒に燃やしてくれる。ニワトリたちに色とりどりのストールを掛け写真を撮る。
 最終週、実家に行き、伯父に管理は、管理会社に頼むことにしたと言い、勝ってな値上げ分は顧客に返すよう指示した。管理会社との契約まで姉に管理を頼むことにした。実家に帰るには一泊しなければならない。ニワトリが心配だし、ニワトリたちが一泊することをすんなり許さない。帰って来た早々、ニワトリがハクビシンを狩ってきた。相川さんを呼んだ。秋本さんにも連絡して、ハクビシンを6匹渡して貰った。相川さんは、泊まり、夕食を作ってくれる。朝、相川さんが食事を用意してくれていた。次の日、おっちゃん家でハクビシンの宴会をすることになった。ポチやユマは片言だけど、ややこしい事柄もタマはしっかり理解できる。
 
 八月、八日、夏祭りとゴミ拾いウォークの予定がある。今年は、八月九日神社周り、ポチとユマと 十二日松山さんの養鶏場周り、タマとユマとメイと 十四日桂木さんの山から相川さんの山まで、みんなでとなった。
 ゴミ拾いウォークにニワトリが着るポンチョの寸法を測りに桂木姉妹がタツキと一緒に来た。タツキと一緒に山に行ったポチとタマはシカ二頭を狩った。相川に連絡。相川は祭り担当の陸奥さんと一緒にいた。シカ二頭の内蔵はタツキとニワトリが取り、シカ肉は、祭りが買い上げ、祭で焼いて売られることになった。タツキは、山からそのまま家に帰った。
 実家に帰り、管理会社と契約をする。昇平の住んでいる山に行きたいという母親に、マムシがいるからと断る昇平。
 夕方、おっちゃん家で浴衣に着替え、桂木姉妹と祭に行く。ニワトリたちはおっちゃん家でお留守番。串ざしのシカ肉を買って食べる。相川作のシカ肉美味しい。おっちゃんとおばちゃんの分も買って帰る。
 神社のゴミ拾い前に不法投棄の二人を現行犯で、神社の稲林が捕まえる。朝早く、パンと牛乳を飲んだ後、ゴミ拾い、後BBQをしてお終い。
 相川さんから、緊急の相談を受ける。相川さんの従兄弟がゴミ拾いに参加すると言う。話を聞くと、桂木リエちゃんと知り合いの様子。従兄弟・隼也はリエがここにいることを知らない。偶然のようだ。リエにも聞いたが、佐野は合わせてから考えようということにした。
 養鶏場のゴミ拾いの日、松山さんの息子さんたちと顔を合わす。孫は参加した。
 ゴミ拾いの後、佐野の家に相川さん、本宮隼也、桂木姉妹が集まった。リエが同じ店の店員にストーカーされ急きょ逃げるため、バイトを辞め、姉のところに来た。その店の店長が本宮だった。何も言わず親に電話を頼み辞めたことは心に引っかかっていたリエと、急に辞めたバイトのことは、本宮も心に引っかかっていた。二人は許可をもらい二人で話した。佐野はユマを見張りに置いた。ユマは、リエーダイジョウブ。サノーオバカーと言った。
 最後のゴミ拾いの日、昨日、墓参りに来ていた山倉さん親子と、おっちゃんの孫も参加した。
 本宮とリエはいい雰囲気。

2025年11月11日火曜日

湘南起動鑑識隊 朝日奈小雪③ 黒の洞門の呪い

湘南起動鑑識隊 朝日奈小雪③ 黒の洞門の呪い 鳴神響一

 鎌倉の有名な幽霊トンネルで動画配信者が殺害された。新米鑑識員の小雪は現場で、奇妙な痕跡を二つ発見した。被害者の上着に付着した土、トンネル内の祠で採取した光る樹脂。
 犯人に繋がるような証拠品は、被害者を追いかける靴後、被害者の首を絞めた釣り糸。
 捜査一課匿名係・向井勝太郎警部補は、非番の朝日奈小雪を誘いにくる。向井は、朝日奈の見識・直感を参考にすると言い、小雪を、聴取に連れて行く。
 被害者・寺島の動画配信の被害を受けている、サーフショップ経営の赤沢さんと、アウトドアショップの藤橋さん、二か月前まで交際していた小学校の教員・牧村の三人の聴取に行った。牧村の家で、銀行員の兄とも会った。
 靴後、釣り糸は藤橋の店で扱っているものだった。藤橋が連行される。
 被害者の上着の土は、犯人が付けた物に違いないが、藤橋に繋がりがなかった。
 小雪は、鎌倉周辺の地図を見ていて気が付いた。牧村の兄が住んでいるところも同じ土だった。向井は牧村の兄の家宅捜査を行ない、兄を連行した。
 証拠はサーフィン・グローブとパーカーのポケットから検出されたサーフボード・ワックスだった。
 兄・利光は、藤橋に罪を着せようとした。
 妹・美穂は、動画配信をする寺島の道徳観念のなさに嫌気付いた。人の事を考えない自分勝手な人だった。美穂が、前に妻子ある人と付き合いがあったことを、寺島は知っており、別れを言い出した美穂に、小学校に不倫していたことを言うと脅していた。利光は、両親を亡くし、二人きりの妹のために寺島を殺した。後悔はないと言い切る。

2025年11月9日日曜日

前略、山暮らしを始めました。9

前略、山暮らしを始めました。9 浅葱 

 GWが明け落ち着きを取り戻した佐野とニワトリたち。
 佐野は、ニワトリの抱卵を用意した。ユマが卵を抱き始めた。ユマは大好きなお風呂にも入らず、食事の量も減る。立ち上がるのは、排泄の時だけという有り様に佐野は心配する。木本医師も診察に来てくれる。佐野はこんなに大変だと思ってなかった。
 相川さんもやってきて、ポチのため端午の節句をした。
 スズメバチを見つけた佐野は、いつも湯本さんに頼んでは悪いと思って役場に行くが、結局湯本さんに連絡が行き、防護服を借り、相川さんと湯本さんと三人で退治することになった。
ニワトリたちは大活躍だった。湯本のおっちゃんは、ニワトリたちに、カタコトでも俺の前ではしゃべってもいいからな。と言った。佐野を見てにかっと笑った。バレてた。
 相川が、N町でのお礼と桂木姉妹を佐野の家に誘った。佐野の家で相川の手料理が振る舞われた。
 五六個抱かれている卵を見て、複数生まれたら一羽欲しいと姉妹に頼まれた。
 仮想通貨が上がり、風呂の改築出来そうだと相川に言われる。
 五月末、ひよこが生まれた。メイと名付けられた。
 神様の所へ行き、祠を供え付けるために、圭司さんと将悟君が来た。メイも連れて行くために、メイをメッシュの袋にいれ肩掛かばんに袋をいれぶら下げた。ポチがかばんを掛けた。
山頂で、祠を置き、石を収めた。風が何度も吹いた。
 みんなから誕生おめでとうが何通も来た。
 メイの家の段ボールを居間に置いている。メイは段ボールを抜け出し、居間の畳にうつ伏せでジタバタしている。
 みんなが順番にメイを見に来る。メイの尾は羽ではなかった。メイは居間から土間に降りようとする。それをユマが身体でうけとめていた。ユマの背の羽の中に埋もれている。夜は、居間で寝ることをタマに阻止される。夜は自分たちが面倒を見るから自分の部屋で寝ろと言うように。

 実家から、マンションと駐車場など、のことで話があると連絡がくる。
 ニワトリがシカを二頭狩った。相川さんに連絡。湯本のおっちゃんに連絡。秋本さんに連絡。明明後日、おっちゃん家で宴会。
 神社に神様のことで相談に行くと、窓口は湯本のおっちゃんだった。おっちゃんに、山の神様が親切なのはどうしてだろうと相談した。戸惑ってる。返事は待っていれば来るということだった。
 ポチとタマが山にシカが三頭いると言う。明日、おっちゃん家に行くから狩るなと言った。ニワトリはしぶしぶワカッターと言う。
 オッチャン家での宴会の次の日、山唐さんが佐野の家に来た。
 神様と話して山唐さんが言ったのは、存在が消えそうになっていた神様だったが、佐野が見つけてくれたことで、いろいろ思い出すことができ、また山を含めて見守れるようになった。神は見守るだけしかできない。
 山東さんにレストランに食べに来て欲しいといわれた。友達と、ニワトリと後にLINEで、相川氏と大蛇たちをお連れください。と。誰にも存在を知らせていないテンのことを知っていることに驚いた。
 三頭いるシカを狩ることになった。相川が、ポチとタマと一緒に行く。三頭狩れれば一頭は相川が欲しいということになっている。リンが一緒に来て川でザリガニを捕る。シカが狩れればリンが持って帰るということになった。
 三頭狩れた。一頭は足を折り、西側に追い落とした。タマがリンを案内する。
 秋本さんに二頭狩ったと連絡を入れる。明明後日宴会。
 メイは、佐野の頭の上に乗る。
 宴会日、おっちゃんと、相川さんと陸奥さんは、佐野家の風呂の話をしている。百万までです。資材も全部合わせてだと言い切った。

2025年11月6日木曜日

徒目付勘兵衛〈十一〉 天狗面

 徒目付勘兵衛〈十一〉 天狗面 鈴木英治

 南町奉行所同心・稲葉七十郎と早苗の祝言の最中、殺しの報せが入り、七十郎も婚礼衣装のまま現場に駆け付ける。殺された男は、背後から刺され、遺体の傍らに天狗面が置かれていた。

 勘兵衛が通った犬養道場と徳島道場との間で三年に一度行われる剣術の勝ち抜き試合の日が近くなった。そんな中、徳島道場の、副将・佐古山が殺される。勘兵衛と修馬が調べる。
 修馬は、早苗との見合いはなしがあったが、早苗が七十郎を気に入り、頭・飯沼麟蔵に姪の夕希を紹介された。夕希は、犬養道場の勘兵衛の友人・岡富左源太を気に入ったようだ。
 犬養道場と徳島道場の試合は賭の対象になっているらしく、徳島道場の主将の腰巾着・柿岡が百両を掛けていた。佐古山が殺され犬養道場が勝利に近づくようにしたのかと思われたが、柿岡では、佐古山を殺せない。また、佐古山は、四百両が必要で、二百両では駄目なこともあり、見込み違いと判った。
 試合が行なわれた。左源太が勝ち、犬養道場の勝ちとなった。勘兵衛は見ていた。徳島十蔵の顔に笑みを見た。十蔵は捕らえられた。冷静な佐古山がおれば、負けることはなかったと思う。道場を閉めたかった。土地を買う者も現れた。五十両が百両になった。

 天狗面が置かれた遺体が見付かった。先に殺された男の父親だった。二十年前、息子が、虐めのために自殺した復讐だった。息子を追い込んだ男を許せない父親は出家した。見事な仏像を見て仏師になった。今運慶と言われる程の仏師になった。虐めた男に会った。男には息子がいた。十七才。陰湿な虐めをしていた。息子を殺した。親には判るように天狗面を置いた。親を呼び出した。現れた親は、殺すためにやって来た。三十七才と六十才だが六十才が勝った。気持ちは晴れなかった。後悔があった。捕まった。心に平安が来ると思った。
 左源太の祝いが行なわれた次の日、祝言が行なわれた。

2025年11月4日火曜日

新・問答無用〈一〉 凄腕見参!

新・問答無用〈一〉 凄腕見参! 稲葉稔

 佐久間音次郎ときぬは、静かに暮していた遠江から江戸に帰って来た。
 元幕臣で獄中死したことになっている佐久間音次郎だった。
 口書きを取ってしっかり調べられずお終いになる町人の死を、そのままにしておきたくない町年寄の喜多村家の彦右衛門は、強くて信用出来、頭が働く知恵者で度胸のある人を探していた。彦右衛門の目に留まった音次郎は、川で遺体で見付かった吉兵衛の死の真相を調べることを頼まれる。
 彦右衛門は、音次郎の過去を知っているようだった。音次郎は、町年寄の権力と財力と調査能力を知った。月、二十五両でという話もでた。音次郎は答えを出さず、吉兵衛のことは調べることにした。音次郎は、母の姓と父の名前を貰い、柏木宗十郎と改名した。きぬに相談し、彦右衛門の話を受けることにした。

 吉兵衛の死を調べ、五郎右衛門という八百屋が勾引かされ女房と娘が残されるという事件に遭遇する。話を聞いた伊智蔵はその後殺された。伊智蔵の話の中で出てきた松五郎を探し、博徒・新九郎一家を知ることになる。
 宗十郎の命を狙う者が現れる。
 旅姿の松五郎と 彦八を尾行する。二人は刺客に狙われた。刺客は宗十郎を狙った者たちだった。松五郎は助けた。伊智蔵を殺したことは認めたが、五郎右衛門のことは知らなかった。吉兵衛が源平一家のことを知っていた。松五郎を連れて行こうとした時、死んでいると思っていた刺客に殺された。四人供死んだ。
 宗十郎は、吉兵衛の死よりも、五郎右衛門を、母子に返すことの方が大事と考えている。
 源平一家の軍蔵に会った。吉兵衛と五郎右衛門のことを聞く。旅に出ていた軍蔵は、ちょっと調べてみると言う。軍蔵が、落ち目になった親分が、隠富のことを知っている五郎右衛門に絡繰りを指南してもらために攫ったようだと話、五郎右衛門がいるところを教えてくれる。行ってみるとひと足違いで一家に連れて行かれていた。乗り込んだ宗十郎の前で、五郎右衛門を捕まえ人質にする源平に、嫌気がさした軍蔵は、源平の腹に刀を突き入れた。軍蔵は、五郎右衛門を返した。
 吉兵衛は、心の蔵の発作ということになった。
  
 事件を調べる途中、掏摸をした少年に会った。宗十郎は捕まえ、擦った財布を返し、身寄りがないという少年を、家で預ることにした。きぬは読み書きが出来ない永吉に、字を教えている。

2025年11月2日日曜日

湘南起動鑑識隊朝日奈小雪② 殺意の断片

 湘南起動鑑識隊朝日奈小雪② 殺意の断片 鳴神響一

 湘南地域で発生した事件に二十四時間対応する最強の鑑識部隊「MFU」。朝日奈小雪が所属する第二班に出動命令が下った。江の島署館内の片瀬画廊で撲殺体が発見された。被害者は画廊のマネージャー。現場保存を進める中で、小雪は、遺体周辺に撒かれた破片を見つける。
 破片が絵画、油絵、アブストラクト・ペインティング、インパクト技法によるマチエール。キャンパスの三分の一を九つに切ったものだと判った。絵は十年位前に描かれた物。描いたのは「A・Y」。絵は、波濤の叫び。作家は山本彩花。小雪の大学の先輩と判る。十年前に自殺していた。
 10年前、片瀬画廊で「湘南アート・ライジング」というイベントがあり、詐欺罪で訴えられていた。新人画家たちが何人も訴えていたが、美味しい文言は契約書には無く、口約束で証拠がなかった。と言う事実が判明。
 その中で、片瀬画廊のキュレーター・小峰美樹が撲殺された。現場で保存作業をしていた小雪は、また絵画の断片を見つける。そして、被害者の血痕や汗や唾などを奇麗にふき取り絵画の断片を撒いたことに気が付いた。モップの後、モップの糸ゴミを見つけた。
 10年前、調べられたのが片瀬画廊の、マネージャー、キュレーター、社長の三人だったことで、今度狙われるのは今、入院中の社長だと思われた。
 刑事部は違った観点で動いているため、小雪を連れて聞き込みに廻ってくれた向井と一緒に罠を仕掛け今夜という日に待つ。社長を殺そうとする男を捕まえた。
 彼は、詐欺に遇い自殺した恋人・彩花の復讐のため、清掃会社に入り、片瀬画廊の清掃に携わりながら機会を狙っていたのだった。