口中医桂助事件帖⑯ さくら坂の未来(さき)へ 完 和田はつ子
桂助は妹・房の付添で横浜で虫歯治療の見学をする。旗本の嫡男の虫歯治療に行き、虫歯になっている子供の歯を全て抜いた。永久歯にも虫歯があり、抜くしか手がなかった。アメリカのエーテルでの麻酔技術とドリルでの虫歯を部分的に取り除く治療があることを知った。
横浜で阿片密売をしている男が殺された。男を敵と狙う使用人に成りすました三人による殺しだった。桂助は犯人に判ったことを告げる。犯人は置き手紙を残して居なくなった。桂助も隠された事件のことを言わないで帰った。
江戸で阿片のよると思われる普請死が多発していた。調べていた金五が付いている同心・友田達之助が心中を装って阿片で殺された。友田の遺体が岸田正二郎の屋敷に運ばれた事で、鋼次と金五は岸田の関与を疑う。岸田は桂助の出生の秘密を知っている。岸田が藤屋に桂助を預けた。
岸田の屋敷に呼ばれた三人は、岸田と桂助の養父・藤屋長右衛門から事件のあらましを聞く。長右衛門は家康の時代に植木屋から商家に替わった忠義の商人の元締めの子孫だった。忠義の商人の子孫たちの中に不平不満を持った者がいた。繋がり特権を利用して阿片を広めていった。老中たちに二代前の御側御用を勤めた岸田が頼りにされ、藤屋たちが忠義の商人であることを知った岸田が探索を手伝うことになった。全てを語った二人、裏切り者の西陣屋は阿片を呷って死んだ。
慶喜からの阿片を日本入れるなという手紙を見る。
志保は岸田に保護され、小石川の薬草園にいた。二人は祝言を挙げた。
虫歯の治療をした旗本の縁で、桂助夫婦と鋼次の家族は、虫歯治療を勉強するためアメリカ行きの船に乗った。
入れ歯師・本橋十吾は、桂助から日本の入れ歯は物が噛めることがすごいと褒められたと聞き、自分の技術を受け継ぐ人を作るために弟子をとり始めた。
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