吉原裏同心抄〔五〕 夢を釣る 佐伯泰英
吉原の用心棒・神守幹次郎は姉妹の売れっ子見番芸者が、禁忌を犯し客と床入りしているという噂を聞く。噂は本当だった。老舗引手茶屋浅田屋が潰れた。
吉原の女用心棒・嶋村澄乃が捕まえた二人の掏摸を、吉原面番所に詰める南町隠密廻り同心・村崎季光が護送中に奪われる。二人は殺されて見つかった。二人が中山道を荒らし回る盗賊・赤城の十右衛門一味に加わったと言う情報を得た幹次郎は、二人が吉原で捕まったことを重要視する。漠然と三日の内に質屋・長楽庵に賊が押込むと考えた幹次郎は、謹慎を命じられている村崎を連れ出し一緒に張り込む。潰れた浅田屋に入り込んだ賊は長楽庵に忍び込む寸前に村松や吉原会所に捕まる。吉原面番所に村崎以外の同心が来ることを拒んだ幹次郎等は、掏摸を逃がしたのは十右衛門の情報を得るためだったと奉行に伝える。村崎は面番所詰めのままになった。
幹次郎は南町定廻り同心・桑平市松の手を借りて、金貸しと話し合いを付け、浅田屋の沽券を取り返した。
幹次郎は七代目四郎兵衛から八代目を継いでくれないかと打診されていた。幹次郎は廻りの人々の同意を得、吉原会所八代目四郎兵衛を継決心をする。
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