鬼役〈三十〉 暗殺 坂岡真
景清 矢背蔵人介は偶然であった牧田家の妻佐保が家慶の十男の御乳持になったと聞く。佐保は駕籠の下敷きになり亡くなった。背後を調べると、商家の持ち物を手に入れるため商家を闕所にする闕所奉行・中込がうかぶ。中込は闕所にした商品を掠めた罪で遠島になっていた。中込を密告したのが牧田だった。牧田を操るのは御旗奉行・雲井だった。手に入れた「石切丸」を水野に献上し御旗奉行になった。お筆の方の局・屋島は、雲井の養女だった。雲井は牧田が命令を拒まむよう妻佐保を人質にするため御乳持にした。蔵人介は薪能で景清を舞い、暗転になった時、雲井を殺した。
鬼追い鍾馗 禁漁の溜池で釣りをする蔵人介は、父を知っているという隠居・牛尾勘助と出会った。蜂須賀家家老と御用達の商家、勘定奉行・有重の抜け荷と調べていた役人殺しが浮かんでくる。有重に忠実な牛尾は蔵人介に有重の見逃しを頼みながら、蔵人介に挑み殺される。有重は牛尾に毒を盛られて死んでいた。天守守・牛尾の息子・勘一郎は、旗本に養子に入っており奥右筆になっていた。如心尼は勘一郎を情報をもたらす仲間にしようとしていた。
抜け弁天 蔵人介の養子・卯三郎は練兵館の師範代をしている。門弟・門脇杢太郎の姉・香保里と出会う。香保里は四千石の旗本と縁談がきまるが、卯三郎は旗本たちの悪巧みを聞く。門脇家に知らせに行くが相手にされない。
家慶や重臣がお忍びで水垢離を観覧しているとき、襲われた。水野忠邦が狙いのようだ。安全圏にいた蔵人介が只中に下り、水野を助け、門脇等番方を家慶警固に付けるよう促す。門脇は考えを改め、旗本に縁談を断る。香保里が勾引かされ、卯三郎が呼び出される。蔵人介等は香保里を助け出し、事件を起こした旗本と紀州新宮藩の片岡等を倒す。
矢背家と門脇家は家ぐるみの付き合いを始める。
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