弥勒シリーズ⑪ 乱鴉の空 あさのあつこ
ニヒルな同心・木暮信次郎と、深い闇を抱える商人・遠野屋清之介。消えた信次郎の謎、火傷の痕をもつ死体、泡銭を夢見る者たち…。因縁の2人の行きつく先は? 『小説宝石』掲載を加筆修正して単行本化。
弥勒シリーズ⑪ 乱鴉の空 あさのあつこ
ニヒルな同心・木暮信次郎と、深い闇を抱える商人・遠野屋清之介。消えた信次郎の謎、火傷の痕をもつ死体、泡銭を夢見る者たち…。因縁の2人の行きつく先は? 『小説宝石』掲載を加筆修正して単行本化。
ぬくもり 時代小説傑作選 細谷正充編
父の声 小杉健治
地元を離れ、東京で暮らす娘・のぞみが、婚約者の本間を連れて帰省した。父親の順治は、二人を明るく迎えたが、娘の変化に不審を抱く。心配になった順治は、娘を追って上京する。のぞみは、覚醒剤に手を染めていた。のぞみは本間を愛していると父親の言葉に聞く耳を持たない。
おもみいたします あさのあつこ
梅17才は、目が見えない。もみ治療をしている。一年先まで予約がある。水茶屋の女将・筆が梅の治療の窓口になり、孫娘・昌8才が、段取りをし、お客に日時を知らせる。
早く治療の必要があると思われた瀬戸物屋今津屋の内儀・清のところに行く。何度も行きほぐしている間に、殺人事件に巻き込まれる。剃刀の仙と呼ばれる岡っ引きの協力をすることになる。
大岡裁き再吟味② 山桜花 辻堂魁
奉行所を外れてからも大岡越前は裁きが気にかかる。十七年前、雑司ヶ谷村本能寺の若い下男・直介12才が折檻され殺され、山桜の下に埋められた。父親が下手人御免の願いを出し、皆お咎め無しと決した。その事件に疑惑が浮かぶ。大岡越前は、鷹匠の息子・古風十一に探索を命じる。
新・酔いどれ小籐次〈二十五〉 御留山 完 佐伯泰英
小籐次親子は森藩の陣屋に着いた。小籐次は放ておかれた。驚いたことに、国家老が、藩主と同じ段通に座り脇息に悠然と上体を預け酒杯を手にしていた。国家老の側室がお艶の方と呼ばれ側にいた。
久留島通嘉は城を建てたく、御留山になっている角牟礼山の木を切り、石垣をつくっていた。藩主・通嘉の願いを知る国家老・嶋内主石は、小阪屋金左衛門と共に抜け荷で儲けた金の一部を使い藩主の希望を叶えていた。
通嘉は、将軍や老中に顔馴染の小籐次に取り成しを頼むが、小籐次は、嶋内を切腹に追い込む。嶋内は月代を切り、山奥の寺に預けられた。嶋内が溜めた金は藩の財政に入れられた。小坂屋は嶋内の罪状を記した書類を出し、藩の財政建て直しを助けることを約束する。小籐次は角埋山を御留山に戻すことのみが、森藩が生き残る道だという。
通嘉は報告を聞き、角埋山に城を築くことを諦めた。家臣を集めて告知した。宿願を奪った代償に、公儀幕閣諸侯に得心させよと手紙が届けられた。
四ヶ月の旅は終わり、江戸へ帰る。薫子が家族になった。新兵衛の葬儀が行われた。
突きの鬼一⑧ 鉄扇 鈴木英治
吼えろ道真 太宰府の詩 澤田瞳子
太宰権師 前右大臣・菅原道真は官職を奪われ太宰府に左遷されていた。慟哭と呪詛ばかり口にしていた道真が、管三道と名乗り博多津の唐物商・橘花斎で目利きを始めた。都から連れてきた娘・紅姫と南館に住んでいた。
大宰大弐・小野葛絃、大宰少弐・小野葛根28才、葛絃の甥。父が亡くなり8才のおりから葛絃に育てられる。
昨年京進唐物の中に紛い物が混じっていた。不審を持った藤原俊蔭は書面と実物を突き合わせ内偵した。半数近くが明らかに違っていたため、自ら太宰府に下向し、犯科人を捕らえるつもりで博多津に来る。一緒に、葛絃の息子・好古と阿紀が来た。
俊蔭は詳しい取り調べもなく公文所大典・秦折城を捕まえ京へ連れて行く。
葛絃は太宰府の調度品を検めさす。道真は倉廩を任された。二十年前から収めるようになった善珠が張本人だと判り、葛絃は折城の赦免を願う上申書を書き続ける。折城は帰ってこられるようになった。
阿紀は道真の書に関心を持ち、道真の所へ通い書を習う。京に帰ってからも毎日書いて送っている。葛絃と道真は阿紀の烏帽子名を道風にするかと言う話しをする。
蜜蜂と遠雷 恩田陸