新・酔いどれ小籐次〈二十五〉 御留山 完 佐伯泰英
小籐次親子は森藩の陣屋に着いた。小籐次は放ておかれた。驚いたことに、国家老が、藩主と同じ段通に座り脇息に悠然と上体を預け酒杯を手にしていた。国家老の側室がお艶の方と呼ばれ側にいた。
久留島通嘉は城を建てたく、御留山になっている角牟礼山の木を切り、石垣をつくっていた。藩主・通嘉の願いを知る国家老・嶋内主石は、小阪屋金左衛門と共に抜け荷で儲けた金の一部を使い藩主の希望を叶えていた。
通嘉は、将軍や老中に顔馴染の小籐次に取り成しを頼むが、小籐次は、嶋内を切腹に追い込む。嶋内は月代を切り、山奥の寺に預けられた。嶋内が溜めた金は藩の財政に入れられた。小坂屋は嶋内の罪状を記した書類を出し、藩の財政建て直しを助けることを約束する。小籐次は角埋山を御留山に戻すことのみが、森藩が生き残る道だという。
通嘉は報告を聞き、角埋山に城を築くことを諦めた。家臣を集めて告知した。宿願を奪った代償に、公儀幕閣諸侯に得心させよと手紙が届けられた。
四ヶ月の旅は終わり、江戸へ帰る。薫子が家族になった。新兵衛の葬儀が行われた。
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