大岡裁き再吟味② 山桜花 辻堂魁
奉行所を外れてからも大岡越前は裁きが気にかかる。十七年前、雑司ヶ谷村本能寺の若い下男・直介12才が折檻され殺され、山桜の下に埋められた。父親が下手人御免の願いを出し、皆お咎め無しと決した。その事件に疑惑が浮かぶ。大岡越前は、鷹匠の息子・古風十一に探索を命じる。
十一は寺の関係者、御先手鉄砲組与力を引退した父親、父親が通った直介の母親・雪を探し聞き廻る。元読売屋のネタ探しをしていた金五郎の手を借り、折檻した17才と18才の所化二人が手代として務める銭屋を突き止め話を聞きに行く。
次の日、二人の手代はいなくなった。
十七年前、本能寺の墓参りにしばしば訪れる武家の内儀がいた。同じ頃本能寺の参詣に訪れる侍がいたことがわかった。
大岡と敵対する商家・本両替商の海保半兵衛に頼まれ同じ事件を調べている半と出会い話を聞く。
銭屋は十七年前に開業した。主・角兵衛は中間をしていた。
雪は息子の墓に参った。息子の父親・一色半四郎に会った。
一色半四郎は大岡に手紙を書き、下男に大岡が登城する前に届けるように言われた。読んだ大岡は手紙を城中に持って行った。
一色半四郎は切腹した。大岡に当てた手紙があることが判明。手紙の内容は将軍にも知らされた。
直吉は家禄五千五百石の鉄砲百人組の頭野添家の奥方と評定所留役・水下籐五の密会を見たために殺された。野添家の息子が、鉄砲を持ち出し、誤って百姓を殺した事件のもみ消しを水木に頼んでからの関係だった。半四郎は上役から金を貰い下手人御免を出した。水木家の中間が店を出し犯人とされた二人を引き取った。
角兵衛は十一の命を狙った。直吉を殺したのは角兵衛だった。手代二人も殺された。角兵衛は十一の元から逃げたが、河原で遺体で見つかった。
水下籐五は病のため急逝した。家督は倅が継いだ。
鉄砲百人組之頭野添泰秀が役を解かれ、家禄三千石に減封、無役になり屋敷替えになった。
十一は雪に話した。雪は菩薩を部屋に置き祀っていた。
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