うぽっぽ同心十手綴り 坂岡真
眉間の黒子に福々しい頬。暢気に歩き回る姿からうぽっぽと呼ばれる、臨時廻り同心、長尾勘兵衛。目こぼし料を受け取らず、野心の欠けらもないが、人知れずところで無理難題を小粋に裁く。
いれぼくろ 文化元年夏 52才 定廻り三十年、今春から臨時廻り、二十年前、娘・綾乃が一才になる前に、妻・静が家出していた。
末吉鯉四郎24才。 薊の隠居・南町奉行根岸肥前守鎮衛から新参者の定町廻りの面倒をみることを頼まれた。
八年前、四人が女に暴行を働き人足寄場送りになった。四人が次々と殺される。犯人は女の亭主かと思われたが、本当は五人いた。旗本の息子だったため隠ぺいされた。四人が御書院番になった息子を強請り出した。親・勘定奉行・山科刑部は四人を殺させた。鯉四郎は山科家に直談判に行った。鯉四郎を連れてこいという山科家に、目隠し猿わぐつで連れて行った。彼は成敗された。彼は山科の息子だった。
ゆうかげ草 侍同士が刃傷沙汰をお越し、香具師の娘・しのが殺された。刀の持ち主は水戸藩の者だった。香具師・万蔵は勘兵衛が目こぼしした元巾着切りだった。万蔵は敵討ちをしようとする。水戸藩の栗原和馬が、矢で射殺された。女が前で楊弓を持って死んでいた。相討ちのよに見えるが、勘兵衛は万蔵を追った。
霧しぐれ もう一人の臨時廻り、山田多門が殺された。川に戸板に貼り付けられて浮いていた。山田は女んい恋をした。その女から、十年前に捕まえ損なった懸巣小僧の首魁の話と隠し金の話を聞いた。女が殺された。女のいた遊女屋の主人が殺された。鬢付け油に毒を混ぜ時間が経ってから死ぬ。鬢付け油屋の主人が懸巣小僧の首魁だった。
かごぬけ鳥 京都島原から遊女・こまが逃げて江戸へ来た。遊び人の扇屋の息子が京で遊び、真に受けた遊女が逃げ出した。勘兵衛が助け、寺守りの雁次郎に助けられる。こまは雁次郎を好きになる。京からきた追っ手に、扇屋からお金を出させ、こまは雁次郎と一緒に住んだ。
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