2023年1月5日木曜日

太宰府の詩 泣くな道真

太宰府の詩 泣くな道真  澤田瞳子

 右大臣だった菅原道真が太宰府に左遷された。悲憤慷慨する道真のお相手役に龍野保積が命じられる。お手上げ状態だった。
 美貌の歌人・小野恬子が現れ、博多津の唐物商へ誘う。道真は書画骨董の目利きの才を発揮し、生気を取り戻す。
 朝廷に差し出す書類の不正が発覚。六年で年間予算の一割を超える横領が見つかった。
 道真は「裴休の偈文」四巻を書き上げ、千五百貫で売った。千五百貫は横領の穴埋めに使い、道長はどこの寺が買うかほくそ笑む。
 恬子が東北の地に旅立った。葛絃の姪、葛根の妹、小野小町。

 京から奉幣使・藤原清貫が来た。大宰大弐・小野葛絃と共に来る。殺風景だという清貫に葛絃は、不遇の身に慰め一つ許さぬ時平様は、とんと風雅を解されぬのですな。と言い、右丞相の座におわした方を太宰権帥に任じるとは人の使い方をご存知ないと見えますな。西国の鄙の地に道真様ほどの人に来ていただくのはありがたい限りだ。と言う。
 道真はわしは長くはあるまい。骨は西国に埋められようとも、魂は宙を翔け京に立ち戻ろう。あの雷のように・・・轟音とともに雨が降り出した。清貫は大慌てで帰った。
 葛絃は道真のしたことを知っている。

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