2023年1月7日土曜日

へんろ宿

へんろ宿 藤原緋沙子

 江戸回向院前、「へんろ宿」には訳ありの旅人がやってくる。剣の達人で旗本の嫡男だった市兵衛と一弦琴の名手の佐和夫婦が安い宿賃ながら心を込めてもてなす宿。

へんろ宿 死期迫る浪人が最後の願いを遂げるべく投宿する。結婚話が持ち上がった女・れん。別な男と江戸に逃げた。二十年も前のことだ。浪人は江戸に出てれんを探す。れんは男に売られ首を吊って死んでいた。浪人は旗本の用人になっている男に果し状を出す。相討ちになり死ぬ。

名残の雪 父親が切腹になりそうだと聞いた娘が江戸に出てきた。許嫁と一緒に父親の無実の証拠を探す。国家老の娘を嫁にした用人の乱費・妾に使うの証拠を掴む。唐丸籠で運ばれる途中、江戸家老が来て、用人が蟄居になったことを伝えた。父は構い無しになった。

蝉の時雨 二世を誓った長次郎とたま。一年後に会う約束だったが長次郎が来ない。長次郎は畳み職人を辞めていた。長次郎は盗人に大店の間取りと教えていた。その盗人たちから逃げていた。長次郎はたまと甲州へ行った。

通り雨 紙商人の宗二郎が殺された。宗二郎が持っていた桜の木の絵から、一年前、火事場で見つけた瓶に入った三百両を桜の根元に埋めていたことがわかった。宗二郎は国で飢饉が続き、三百両を当てにして江戸に出てきた。一緒に埋めた男が、すべてを掘り返し自分の物にしていた。市兵衛は仲間を見つけ出し罠にかけ男を捕まえる。

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