うぽっぽ同心十手綴り② 恋文ながし 坂岡真
恋文ながし 型紙商白子屋の主の妾・とせが、水死体で見つかった。長尾勘兵衛は、遺体に傷がないことを見届けていた。にも関わらず本所廻方同心の宍戸馨之介は、近くにいた白子屋の手代・長次を殺人の疑いで捕まえ拷問にかけた。長次もなぜ近くにいたか言わなかった。勘兵衛は、宍戸に、犯人に頼まれ長次を犯人に仕立て上げたのかと聞き、本当の犯人が捕まれば拷問は問題になると言った。
紀州家の横目付け・野口兄弟が勘兵衛を襲う。鯉四郎と二人で捕まえる。
野口兄弟の弟が、とせと深い仲になった。白子屋の主の金が目当てだと分かったとせが、主に話すという。野口は顔を水につけ殺してしまった。宍戸は野口のために替え玉犯人を作ろうとした。野口兄弟は、紀州家で詰め腹を切らされた。
長次は紀州家に奉公に上がっている・白子屋の娘・さやがたらようの葉の裏に文字を書いて恋文を溝から流してくるのを待っていたのだった。
めぐみの纏 火消しのめ組と相撲取りとの喧嘩が終わったあと、め組の纒が無くなった。勘兵衛は表沙汰にしないで探すことを頼まれる。
怪しい者が二人。去年の火事で大火傷を負いめ組の纏持ちを辞めた龍二。鳥追の母娘を使って美人局をしている元相撲取り・神室山の捨六。一年前の火事の付け火犯が、定火消の与力・村越と同心二人・旗本の次男と判ったが内密にされ、永尋になったことがわかった。同心・亀島は無念の思いを飲み込んでいた。勘兵衛は亀島の無念を蘇らせる。
鳥追の母親が、元妻・静に思える勘兵衛は、鳥追女を調べる。美人局の鳥追を追いかけてきた村越たちを亀島は捕まえる。鳥追が住まいとしているお堂の中に纒があった。龍二が隠していた。龍二は火事が起これば纒を持って火事場に立ちたかった。
纒はめ組に帰った。芝伝は、火事になれば龍二に纒を持たせるだろうと思った。
鳥追は静ではなかった。捨六たちは江戸を出た。旗本の息子は病死となるだろう。
こがね汁 四人で妾を囲っている四人が殺された。妾・みのに惚れた・元板前の佐太郎と思われたが、姿を消していた。
勘兵衛は調べの結果、四人の内の一人・庵崎の名主・川上の大名屋敷の下肥の汲み取り権利で競い相手・寺島村の名主・稲垣庄左衛門、客人の九戸玄蕃と判明した。
競りで落札でき上機嫌の稲垣を捕まえる。
佐太郎は、殺されるところを見て逃げていた。妾斡旋所の女将・もんに匿われていた。もんの助けで、みのと一緒に寿司屋台を出した。
あばら一寸 勘兵衛は印地打の練習をする少年にあった。
寺の七面天女が盗まれた。追って行くと妹が病で寝込んでいる義兄妹にたどり着いた。二人は女敵討ちをするつもりだった。追っているのは少年の父・吹越平内だった。
十三年前、因幡で、藩士十三名に陵辱されている佳枝を助けた。二十才の佳枝は夫の元に帰れないと言った。吹越を佳枝と一緒に因幡を離れた。荘内で十二年を過ごし、地震で佳枝が亡くなり、被害があった荘内を離れ江戸に来た。
因幡では、吹越に恥知らずな行為を止めるよう言ったところ三人が斬られたと作事奉行の次男が訴え、二人は女敵討ちを認められた。作事奉行の次男は馬に蹴られ死んだ。佳枝の妹だった。二人は真相を知った。
勘兵衛は、女敵討ちの行事役をする。
吹越は討たれた。馬場重右衛門と船岡和枝は本懐を遂げ・・・と南町奉行所に届けられた。吹越は苗字を捨てた。平一郎は二人の養子となり因幡へ行く。
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