2023年3月14日火曜日

貸し物屋お庸謎解き帖② 百鬼夜行の宵

貸し物屋お庸謎解き帖② 百鬼夜行の宵 平谷美樹 

 凧、凧揚がれ 十才ぐらいの少年が凧の骨を借りに来る。破れ凧を貸す。庸は後を付けて見る。長太は、亡くなった父に自分と母親を書いた絵を見せるために凧にして揚げていた。薮入りにまた借りに来ることを予約して帰る。

 貸家と散り桜 家を貸したいと仲介をしてくれと依頼される。庸は家を見に行く。閉じこめられる。お守りの中から姉が動くなと教えてくれる。何人もの亡魂がいる。瑞雲を待つ。瑞雲が払いいなくなる。一年二十両の十年払いを要求される。

 百鬼夜行の宵 僧着を借りに着た男を付ける。長屋で亡くなり成仏していない男の幽霊にお経を唱えていた。この長屋は成仏させてくれると亡魂が集まっていた。お金がない長屋の者に替わり瑞雲と交渉し亡魂を連れてくればただで払ってくれると言う。庸は成仏させてやるとお守りを掲げ導く。同心・熊野五郎左衛門が心配することはないと言いながら、庸は浅草の東方寺にゾロゾロと亡魂を連れて行った。見える人には見えるらしい。翌日の瓦版を賑わせた。

 貸し物卒塔婆 評判の悪い若旦那三人組が、卒塔婆を借りに来る。庸をいたぶる算段だった。湊屋本店の清五郎が動いた。庸をおびき出した破れ寺に熊野と手下、綾太郎と陰間十人が張り込んだ。若旦那二人は、亡霊に脅え飛び出したところを熊野に捕まった。清五郎は店の主・父親たちに金で解決することを止めた。他の娘が訴え二人は三十日の戸締めになった。
一人は反省して庸の件には参加しなかった。お咎めなしだったために、一軒一件誤って廻った。
 
 信輔と十人 綾太郎の発案で、陰間長屋の住人を店の裏の小部屋で待機したもらうことになった。仕事の無い日は二食、仕事のある日は駄賃を出す。不審の客を調べる時のためだった。布団を十組借りにきた。信輔は元女衒、病気になりもう少しで命が尽きることが分かり内藤新宿の最も女郎にきつい店の女郎を足抜けさせようとしていた。信輔は庸に手を出すなと言う。
庸は最後まで遠目に見ていた。順に遊女を逃がした後、信輔も江戸を出た。
 
 雪と綿帽子 庸を女中に雇いたいと言ってきた陸奥国神坂家二万石の江戸家老・橘喜左衛門が、腰元の輿入れのための花嫁衣装を借りにきた。庸と同じような体型なので庸が品を納め仮着して選ぶという。庸は背中の傷を見るためではないかと思う。見たいなら見せてやればいいと思うが、庸はそこまで覚悟が出来ていなかった。着付けの留と綾太郎と二人で着付け部屋に入り二人に隠されて着替えをする。庸は背中全身晒しを巻いていた。
 どうして神坂家が庸を女中に雇いたいのか理由が判らない。清五郎は知っているだろうけど話してくれない。庸は綿帽子姿を清五郎に見て欲しかった。

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