2023年7月26日水曜日

吉原裏同心〈39〉 晩節遍路

 吉原裏同心〈39〉 晩節遍路 佐伯泰英

 吉原会所の裏同心・神守幹次郎にして八代目頭取四郎兵衛は、九代目長吏頭に就任した十五才の浅草弾左衛門に面会した。そして吉原乗っ取りを目論む西郷三郎次忠継が弾左衛門にも触手を伸ばしていることを知る。

 切見世で起きた虚無僧殺しの背後に、吉原を支えてきた重要人物がいることに気付く。三浦屋の隠居が動かしていた者に、三浦屋の宝なる物を取られ、隠居は強請られる。三浦屋の隠居が、虚無僧を殺させたことで起こったこと、当代は、見世の存続を願い、幹次郎は、隠居を四国八十八ヶ所のお遍路巡りに出した。六郷の渡しまで送った幹次郎は、現れた隠居を強請る者を斬り、海に流した。
 虚無僧の死は自殺とされた。

 西郷三郎次忠継と、神守幹次郎との勝負は一対一で行われた。西郷は倒れた。他の者の勝負は、桑平市松と瀬口竹之丞率いる若い同心や八丁堀の部屋住みに任された。

 四郎左衛門の父親から旅の手紙が届いた。百年の功績、一日の愚行に消えし。
次は四国に着いた時。

 浅草田圃の吉原検番の地で稲刈りが始まった。切見世にいたあやめは、吉原会所で働くようになった。

 

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