2023年7月2日日曜日

焼け野の雉

 焼け野の雉 梶よう子

 小松町で飼鳥屋「ことり屋」を営む女主人のけい。
 店の元主人でわけありの夫・羽吉とは離縁した。

 江戸の町に火事が起きた。けいは九官鳥の月丸はもちろん店の鳥を大八車に乗せて逃げる。店の廻りの人たちと一緒に逃げる
 八丁堀同心・永瀬の娘・結衣を預かった。結衣は文鳥のチヨを連れていた。結衣は母親が殺されるのを見て声が出なくなっている。
 回向院へ行く。知り合いの医者・沢渡や、鳶の若頭などの好意で回向院の庫裏に行く。
御救小屋ができ、両国の御救小屋に行く。鳥は回向院の僧に頼み、けいは毎日回向院へ行く。与力の好意で御救小屋の端の方で鳥籠も一緒にいる。
 御救小屋での生活が、十日を超えても永瀬の安否が判らない。鳥を見に来る者がいる。長くなると鳥を嫌がる人もいる。けいの昔馴染が、噂を流す。みんなのけいを見る目が変わり、けいと一緒にいる人にまで嫌みを言う人が出る。けいたちへの風当たりが強くなる。
 火事と聞いた羽吉が大阪から江戸へ来た。けいとやり直すつもりで来たと言う。小松町の鳥屋は自分の店だ。羽吉と一緒に店を続けるか、出て行くかしか選ぶ道はないと言う。永瀬のことも噂を言われ、羽吉に攻められ、けいは永瀬を慕っていると気がついた。
 夜、御救小屋に泥棒がでた。月丸が声を出しみんなを起こした。泥棒は捕まった。月丸が皆に礼を言われ、また人気者になった。
 毎日、小鳥を見に来るさいを助けたのは役人だと知った。まだ眠ったままだと聞き会いに行く。永瀬は馬琴の家にいた。馬琴の息子・宗伯は医者だった。永瀬はやっと目を覚まし、食事をとれるようになったところだった。顔半分は晒しが巻かれていた。沢渡が宗伯の所にきて永瀬を見つけた。馬琴からけいに知らせられたが、けいの昔馴染みに告げられけいの所に届かなかった。
 永瀬は、妻を殺した男の義兄弟を見つけ尋ねた。火事で下敷きになった男からさいを託され永瀬はさいを助けた。永瀬はボロ布を着せられ火傷が酷く、口も利けない状態で運ばれた。
 けいは、いつまでも籠の鳥ではなく、自分で飛び立とうと思う。雉は飛ぶのが苦手だ。焼け野の雉のように地をしっかり掴んで颯爽と立つ。
 結衣を永瀬ところに連れて行く。結衣は父上と声を出した。永瀬は動けるようになる。結衣の声は出ない。永瀬の母親を殺した男が捕まる。結衣が顔の確認をする。母上を刺した男です。父上と結衣は言った。飛びの若頭が呼ばれた。犯人は頭の妻の弟だった。人を刺したと頭に大阪に逃がして貰っていた。
 一緒に逃げていた人が、身寄りを頼って離れて行く。結衣が、同心仲間の妻の迎えで御救小屋を離れた。
 けいは月丸を連れて、羽吉が奉公していた越前屋に行く。けいは奉公し勉強する。羽吉は越前屋の長崎支店に行った。

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