2023年10月2日月曜日

上絵師 律の似面絵帖⑨ 結ぶ菊 

上絵師 律の似面絵帖⑨ 結ぶ菊 知野みさき 



女郎花 小間物屋・藍井の主・由郎に千代を紹介される。千代は律に着物の内側一面に菊を描いて欲しいと頼む。千代は、吉原の遊女を身請けする。由郎の馴染・野菊に声を掛けると、自分は病で先がない。自分が恩がある加枝を出してほしいと頼む。千代は二人を引き取った。三人で暮している。
 野菊の同僚が足抜きした。律は美経の似顔絵を描いた。涼太は花前屋で美経が捕まるところを見た。美経も二日後花前屋に身請けされた。美経の恋人が命と引き換えに身請け金を作ったようだ。

 巣立ち 近江の旅籠の息子と言う触れ込みで総次が浅草にいる。綾乃と噂になっていた。綾乃にはその気がないが、母と姉が乗り気だ。青陽堂の丁稚・六太は綾乃贔屓で総次を良く思っていない。
 青陽堂の手代・友永の父親が危篤と聞いて、米沢へ行った。母親の実家が紅花農家で父親は元武士だが「友里堂」という紅屋を開いている。
 友永と仲良しの手代・道孝に、旗本からの養子の話しがあった。
 帰って来た友永は店を辞め、米沢へ帰ることになった。道孝は養子の話しを断り、友永の妹と一緒になり共に助け合う仕事をすることになった。
 律は友永の母と妹の鞠巾着を拵えた。

 香物 定町同心広瀬の妻・史織が懐妊した。
 律は千代に着物を納めた。
 広正という岡っ引きが千代の周りをうろつく。広正は青陽堂の勘兵衛を知っていた。勘兵衛は広正を嫌っている。
 火盗改の小倉もいつの間にか結婚し懐妊していた。
 色男が仲居をたぶらかし泥棒に入る事件が起こっていた。色男・凡太郎の似顔絵を描く。
 凡太郎以外の仲間を捕まえた。
 広正は青という人を探していた。青は十七で良玄に嫁ぎ、二年後に義母がくつ脱ぎ石で頭を打って亡くなり、一年後には良玄が卒中で亡くなった。青は診療所を弟子に譲った。青は二人を殺したのではないかと噂され広正が調べていた。青は駿河で亡くなった。勘兵衛は、十七才の青の許嫁だった。
 由郎は律が描いた雷鳥の着物を着て日本橋から浅草まで歩いた。律に注文が来る。
 雪永は、千恵に菊の着物を送りたいと思うが、千恵は受け取れないと言う。雪永は振られたのかと気が気でない。

 結ぶ菊 べったら市で迷子にならないようにと雪永が手を繋いだ千恵は涙が出てびっくりして逃げ帰ってしまった。千恵は律に相談する。嫌じゃないびっくりしただけ。
 総次が前の若竹屋の息子ではないかと思われた。加枝と合わせれば判るだろうと思われた。
 総次と凡太郎が、逃げる資金のために千代の家に押し入った。三人の他に綾乃も律も千恵もいた。が、千代の家にお金は無かった。総次は加枝を見て、みんなを助ける方に廻る。凡太郎を見た涼太が来る。綾乃が人質になり、川へ連れて行かれ落とされる。六太が飛び込む。猪牙船に助けられる。
 総次は若竹屋の元若旦那・浩太郎だった。盗人一味ではなかった。身元詐称で所払いになった。凡太郎は死罪。
 総次は若竹屋の継父から加枝を助けていた。妹を売り死なせた継父を首つりの自死に見せかけ殺しているかもしれない。
 千代は青だった。勘兵衛から送られた菊の簪を持っていた。律は勘兵衛と広正と一緒に青の昔話しを聞いた。広正は、青は駿河で死んだ。そっくりさんには用はないと言った。
 雪永と千恵は許嫁になった。

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