空也十番勝負〈十 〉奔れ、空也 佐伯泰英
京の袋物問屋の隠居・又兵衛と知り合った空也は、大和室生寺向かう一行と同道することになった。隠居は室生寺の修繕費用五百両を持っていた。
途中、柳生新陰流正木坂道場で稽古に加わる。その有り様に違和感を抱き、室生寺に向かう。柳生家の
姥捨の里で待つ重富一家と眉月姫一行は、龍神温泉に行く。
空也は、室生寺の奥の院で独り修業するため隠居たちと別れる。隠居の共・康吉と柳生藩中小姓末席の入江欣也と江戸での再会を約束する。
江戸には、柳生の里に着いたという空也からの便りと、又兵衛からと室生寺座主和佐又修光からの手紙が届けられていた。
空也は室生寺から大台ケ原を目指す。大台ケ原の雪道を走る。檜の老木の洞に寝起きした。干し肉をしゃぶりながら木刀を振る。
日出ヶ岳の山頂で佐伯彦次郎と会った。雪が晴れた未明の勝負を約束する。
現か虚か判らぬ岩場のぬるま湯に入り、届けられていた食い物を食べる。三日程続いた雪がやみ、翌未明、日出ヶ岳に向かう。
彦次郎は十両なくても家斉から拝領した修理亮盛光。空也は己の身を斬らして彦次郎の身を絶った。彦次郎に伴う鷹・千代丸を操る老人・伴作がいた。空也は肩口から血をたらしている。
寛政十二年 1800年 年が明けた。
睦月の懐妊が知らされた。
一ヶ月かかり、杖に破れ笠を被った空也が姥捨の里に着いた。
五日眠った空也は、走っていた。
二十一日に紀ノ川河口湊に到着する船で江戸に帰ることになった。
空也は高野山奥の院に三日籠った。
空也は、剣術の研鑽は、眉月を幸せにすることと通じていると信じていると眉月に言う。
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