2023年10月16日月曜日

隠居おてだま

隠居おてだま 西條奈加 

 嶋屋徳兵衛は糸問屋屋の六代目だったが、還暦を機に隠居した。
 妻・登勢は、嶋屋に残り奥向きを支えている。
 隠居所の午後開かれる手習所「豆堂」の師匠を務める。

 徳兵衛は隠居したが、孫・千代太が持ってくる事に対処するため忙しい。
 千代太の友達の母親、その廻りの人たちの生活が安定するように、組み紐屋「五十六屋」を始めた。
 子供たちに読み書きを教えるため豆堂を始めた。
 子供たちが小遣い稼ぎが出来るよう、子どもたちの王子権現案内を支援している。

 末娘・楽が、錺職人と一緒に住み、子どもが出来た。事を知った長男、次男、登勢、各嫁等は父親・徳兵衛は絶対許さない、楽を勘当するに違いないと思い込み、みんなで思案する。

 錺師・秋治が楽との関係を明かさず、徳兵衛に会いに行き、売り出したい帯留を見せ、売り出しに手を借りることに成功する。徳兵衛は秋治も帯留も気に入り応援する。
 秋治と楽のことを知った。それ以上に家族が、知っていたにも関わらず自分だけ知らずに廻りに乗せられていたことにショックを受ける。自分が頑固なためと分ってはいるが。
 徳兵衛は、自分が独り嶋屋から出ることにした。家族と会わないようになった。

 登勢が嶋屋を出て、一人暮らしを始めた。

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