2023年3月29日水曜日

不思議カフェ NEKOMIMI 

 不思議カフェ NEKOMIMI 村山早紀

 魔法の始まり 一人暮らしの律子50の元に昔死んだ猫・メロディが生まれ変わって帰って来た。頭痛がし、医者に行こうとする寸前、倒れた。下駄箱の上のランプの魔神に、今日が命の尽きる日だと教えられた。魔神が死なない命と、人を楽しくさせる力をもらい、メロディと暮せる魔法をかけられた。人ではない者になった。スケッチブックに書いていた夢の自動車で育てていた植物たちと一緒に旅立った。

 黄昏のひなまつり 川の中を歩くひな人形を見つけ助け出す。女雛と三人官女。川横に住んでいたおばあさんの持ち物だった。孫に譲ると言っていたが、台風で家が流され助け出されたおばあさんはんはまもなく亡くなっていた。律子は着物や身体を修復する。
 大学生になった穂乃花は、三月になると、おばあちゃんの住んでいた家や雛人形や、食べた物を思い出す。ある日の黄昏、白猫を見かけ見ると、公園にキャンピングカーが止まっていた。懐かしいおばあちゃんの料理を食べ、雛人形にも会った。黄昏時が過ぎると、穂乃花は一人佇んでいた。腕の中には、雛人形があった。
 おばあちゃんの優しい眼差しを思い出し、幸せな気持ちで漫画を描いた。

 花のもとにて 四月 敬は思い出の小学校を目指して走ってきた。数年間を過ごした小学校に教師になったことを報告に来た。父の海外勤務が決まり母は行くが政情不安なために敬は親戚に預けられ山村留学のようになった。三年生の敬は馴染まなかった。そんな時、たぬきに会った。ショパンがピアノを弾いていた。トイレの花子さんがいた。人体模型もいた。いつかみんなで花見をしようと約束したことを忘れていた。
 小学校は廃校になり、町もなくなっていた。ちょうど来合わせた律子は花見弁当を作る。敬も一緒に食べる。帰る時、みんなに一緒に都会に行こうと誘う。友達を作れない子どもの友達になってあげて欲しいと頼む。みんなを乗せてカフェNEKOMIMIは下まで降りた。

 不思議の庭 

2023年3月28日火曜日

はぐれ武士・松永九郎兵衛  商人殺し

はぐれ武士・松永九郎兵衛  商人殺し 小杉健治

 松永九郎兵衛は、自分に覚えもない商人殺しで捕まった。知人・半次から渡された紙入れが証拠となる。二ヶ月後、商人殺しが判明したと解き放ちになる。犯人・蓑田三郎は入水自殺したと言われた。九郎兵衛の知人たちも姿をくらましていた。

 犯人の手掛かりを通報した鯰屋の紹介で、沼津水野家の剣術指南役になる。分家浜町水野家の次男・千代丸にも剣術を教えることになる。千代丸は沼津水野家に養子に入ることになっていたが、命を狙われているようだ。沼津家で教えている若侍が死ぬ。蓑田三郎の名前が出る。殺された商人・藤木屋も牧野家と関係があったようだ。
 家老の牧野、留守居役・久米、分家の家老・安藤。鯰屋等が、何を考え、何のために自分が何をしているのか分からないまま言われたままに動く。
 千代丸が毒を盛られた。危篤だといわれる。毒を盛ったのは松永だと言われる。
 命を狙われる。危ないところで気を失い気がついたところは鯰屋だった。
 松永の命を狙った美濃をつけ斬った。美濃が殺そうとしていたのは、藤木屋の娘と水野家の落胤の赤子だった。牧野は、この赤子を跡取りにするために千代丸を殺そうとした。松永は牧野を切腹したように見せて殺した。松永が千代松を殺した犯人として、出入りの鯰屋を水野家から追い出そうとした。
 美濃は蓑田だった。美濃が赤子殺しを失敗したからか、久米は切腹した。
 千代丸は毒を飲んでいなかったが、また狙われるかもしれないので危篤と発表されていた。
 松永は水野家の仕事を辞めた。

 九郎兵衛は、鯰屋権大夫に操られている気がしている。誰かに付けられている気がしている。
 権大夫は長いお付き合いになると思うと言う。

 

2023年3月26日日曜日

駅の名は夜明け

 駅の名は夜明け 高田郁

 トラムに乗って 身体が弱かった娘・由希を亡くし一年、真由子は思い出のウィーンへ。娘もきたがっていた。夫との別れを考えた真由子の前に夫が現れる。喜んだ由希が見えた。

 黄昏時のモカ 美津子72才、ウィーンで親切な爽やかな青年に声を掛けられ案内をしてもらう。日本語を習っているという。詐欺師と思ったことを心の中で謝っていた。買い物袋とバックを持ったまま彼はいなくなった。亡夫の写真だけが心残りだ。ごめんなさいを言っていた。彼は煙突掃除人の小さな人形と豚の形のチョコレートを買いに行っていた。

 途中下車 小学生の時から一人で過ごしてきた。シカトと判っていても何もしない担任。高校になれば誰も知らないところへと思っていたが、高校でも同じだった。亜希は北海道の祖父母の元へ行く決心をした。乗り換えもなく着く電車に乗るとき、一人で行けると母を返す。途中で気分が悪くなり途中下車する。駅のレストランの主に助けられ話をする。自分で遅れると学校に電話をした。

 子どもの世界 大人の事情 小学四年生の圭介。父と母が離婚し東京から大阪に転校する。流氷を見に行こうと言っていた父がいなくなり一人で行きますというハガキが当選し、旅行がプレゼントされた。もう流氷がない季節だったが、オホーツクの海を前に、圭介は父親に電話する。前みたいにパパとママと三人で暮したい。駅のレストランで泣き疲れて眠った圭介。次の日、パパが来た。父親はごめんよと圭介を抱いた。

 駅の名は夜明け 慢性心不全を抱える俊三、パーキンソン病の妻の富有子。介護保険制度になって今まで受けていた介護を受けるために一月十三万三千三百八十円が必要と言われ、俊三は富有子を連れて帰らないつもりで旅に出た。山の中の駅に降り、駅の名前が夜明けと知り、帰る気になった。

夜明けの鐘 杏子と翠は久しぶりに旅行に出た。父母の看病で毎日過ごし独身の杏子、七才年下の後輩と結婚した翠。夫は会社を辞め、大学に入り直す。三年浪人して私大に入り来年卒業予定。一切の金銭を翠が出している。そして若い彼女ができた。翠は別れる決心をする。

 ミニシアター 車両にいる乗客。祖父が抱いている孫から悪臭が発せられると思われたが、同じタイミングで老女が鞄の中にねこをいれていることが分かる。じいじにゃあにゃという孫を老女から離れた席に移す祖父。アトピーの高校生、アレルギーのコンパニオン。夫の納骨に行った墓にいた猫、生後一ヶ月ぐらい。一人暮らしの私に夫がよこしたように感じてという老女。車掌が来た。窓を開ける。鞄を隠す。香水を振りかける。高校生は携帯電話を掛ける。終着駅が来た。降りた老女はお礼を言う。車掌はぼろぼろの籐のバスケットを持ってきた。祖父は大番のタオルハンカチを出す。

 約束 売れっ子作家が電車に飛び込む寸前、女に止められた。私の五十歳の誕生日という女と指切りをして別れた。体験をもとに本を書きヒットする。彼女を探し年上の彼女と結婚するが全く合わない。また書けなくなった作家は、作品が貧乏臭くなったのはおまえの所為だと言った。彼女はいなくなった。作家は彼女が作る駅蕎麦を食べ彼女に謝る。

 背中を押すひと 妹の医大の合格発表の日、母親を突き飛ばして怪我をさせ家を出た。十一年が経ち、妹は医者になった。妹が会いにくる。父が長くない。会いに帰ってという。時彦は帰る。父を負ぶって屋上に出る。謝る時彦に父は、折角の一生じゃけい大事に生きろ。俳優を夢見て出た時彦だった。今は劇団の大道具を任せれていた。背から降りた父は、辛うじて立ち、あの二人を頼むと言い、時彦の背を押す。

 

2023年3月24日金曜日

脳科学捜査官・真田夏希⑯ シリアス・グレー

 脳科学捜査官・真田夏希⑯ シリアス・グレー 鳴神響一

 神奈川県警根岸分室の警視・上杉輝久は、刑事部長・黒田から極秘任務を受けた。
 ミスターZ と呼ばれる武器商人から県警にとって拭いがたい恥辱となるような大きな事件が起こるという垂れ込みに付いて話を聞くために接触するという密命を受けた。
 上杉は約束の場所に単独で向かい、Zと接触した瞬間、縦断が二人を襲った。Zは死に、事件の手掛かりを失った。上杉は県警に捕まる。黒田から電話が入り、状況説明、黒田が刑事に説明し上杉は出られた。
 殺されたZ ・日下部の捜査は県警がする。上杉は恥辱となる大きな事件を調べる。
 日下部の銀行口座から、実態のない役員が外国人ばかりという会社が浮かぶ。小早川管理官に聞く。外国人役員の一人からある作家が浮かんできた。役員が攻撃している作家だった。マンベレ博士は〈ディスマス〉真っ向から批判していた。ディスマスは国際犯罪組織で、犯罪によって得た莫大な金を被支援国に配っていた。
 マンベレ博士が日本に来る。明後日には横浜に来る。
 日下部が銃を密売していた会社の監査役員が、日下部を撃った狙撃犯に銃を提供した一味。〈ディスマス〉を批判し合衆国を中心に賛同者を増やしているマンベレ博士を暗殺しようとしている。上杉は黒田部長に連絡する。
 マンベレ博士の警備を警備部は断った。
 黒田の要請で、優秀の警察官をセレクトした。小早川、真田夏希、織田、堀、佐竹。織田と佐竹は除外された。黒田は彼らを集めた。
 黒田はマンベレ博士警備本部を結成した。真田は小堀沙羅を通訳として入れたいと申し出る。
 堀は松野組の組長をマンベレ博士の行く場所近くに呼ぶことにする。組長を張る名目も部下が出張る。警戒態勢を取る。
 小早川は自分の叔父・衆議院議員との話し合いをプライベートですることにした。警視庁のSPがくる。
 上杉と真田、小堀はマンベレ博士に付く。マンベレ博士は思い出があり、山下公園へ行く。堀は銃を持つ男をビル屋上に発見、皆が屋上に走り捕まえた男は罠だった。
 アリシアが爆発物を見つける。公園から避難の要請がでた。民族衣装の博士が撃たれ倒れた。拳銃を持っ男にアリシアが飛びかかる。食いついたアリシアと男が戦うところに、博士は飛び込み男を捕まえた。上杉だった。真田の案だった。民族衣装の下に防弾ベストに防弾ヘルメット。
 堀が男を連れて行った。男はグレーシャーク・皆川スナイパーだった。
 日下部は皆川を脅迫していた。日下部の垂れ込みを皆川にリークしたのは、黒田の運転手だったようだ。
 

2023年3月22日水曜日

脳科学捜査官真田夏希⑮サイレント・ターコイズ

 脳科学捜査官真田夏希⑮サイレント・ターコイズ 鳴神響一

 全国で、〈歌いーぬ〉と呼ばれるコミュニケーション・ロボットがリクエストと異なる「凍てつく道」を流した。アルマロスと名乗る者から犯行声明が送られてきた。物流倉庫で、搬送ロボットが暴走して従業員が怪我をした。アルマロスからメッセージが来る。夏希のカモメ★百合の呼びかけに返事が来る。配膳ロボットが暴走し、高校生を追いかけた。
 民間から、警視庁のサイバー特捜隊は何している?と非難された。一週間以内にアルマロスの正体を明かせと命令される。
 関係したコンピューター会社の株の不自然な売買を調べる。江ノ島署の加藤と北原は、不自然な取引をした会社の住所を調べる。引っ越した母子を調べる。子どもが通っていた保育園出親子関係を調べる。現住所を調べる。母子共に不在だった。加藤は、サイバー特捜隊に不審な会社のマンションの名義人糟屋は引っ越ししていること、その前に津川親子が引っ越ししていることを伝えた。
 ツガワと名乗る女からカモメ★百合に、子どもを助けて下さい。と電話があった。早く助けてでないと・・・わたしハンドラの・・・で電話が切れた。

 津川の新住所と糟屋の引っ越し先を調べる。
 津川の人物を探す。ハックコンの優勝チームのメンバーだった。
 彼女の残したハンドラから次の事件を探す。ハンドーラ公国の公子が、羽田から北海道に出発する。織田と夏希は同機に乗る。
 津川がいる。津川がトイレに立ち、同機はクラッキングされた。一時間以内に仮想通貨で1000万ドルを振り込むよう脅迫した。
 津川に夏希は呼びかける。健太郎を助けて。夏希は加藤から聞いた親子の話をする。糟屋の話をする。津川は、クラッキングを解除した。飛行機は羽田に戻った。
 加藤は糟屋の引っ越し先に行くが何もない。石田も来る。小川がアリシアを連れてくる。アリシアは隣の家に行く。健太郎はいた。
 ハンドーラの公子は、夏希に礼を言う。カモメ★百合を知っていた。龍造寺ミーナを知っていた。
 糟屋は逮捕され、津川は健太郎に会った。健太郎と一緒に加藤の車に乗り帰る。
 夏希はアリシアとみんなに会った。
 

 

2023年3月20日月曜日

鯖猫長屋ふしぎ草紙(二)

 鯖猫長屋ふしぎ草紙(二) 田牧大和

 鯖猫長屋の住人が減って存続の危機に。そんなとき助けてくれたのは白妙屋の忠右衛門だった。取り壊すと言う大家から長屋を買い取りそのままにしてくれた。

 元役者の涼太を、長屋の皆で役者の取り巻きの嫌がらせから守る。知られていないと思っていたが音弥だとみんな知っていた。

 拾楽は元黒ひょっとこという義賊だった。金を貰ったために家族がむちゃくちゃになった男が、拾楽に復讐していた。贋の黒ひょっとこが出没した。知っている成田屋と呼ばれる同心・掛井十四郎もどうにも出来ないところにきた。

 拾楽は贋黒ひょっとこの正体を知り乗り込む。正体を知られた忠右衛門は逃げる。もぬけの殻になった白妙屋から贋黒ひょっとこの面がたくさん見つかった。蔵には唸るような小判が残された。空になった手文庫から本物の黒ひょっとこの面が見つかった。
 黒ひょっとこは自分の偽物を暴いたと評判になった。

 新しい家主は見晴屋の智だった。息抜きの出来る場所のため一部屋を空けておくこと。

2023年3月16日木曜日

神奈川県警ヲタク担当細川春菜

神奈川県警ヲタク担当細川春菜  鳴神響一 

 三浦市の密室状態の別荘で殺人事件が発生。被害者がテディベアの有名なコレクターだったことから、専門捜査支援班の春菜へ捜査一課の浅野から捜査の応援要請が舞い込む。
 テディベアに詳しい登録捜査協力員(ヲタク)の知識を借りて被害者が残したメモを解明したい。「PB55    TCOA]
 凶器に使われた針は、テディベアを作るための専用針だった。PC55は幻のテディベア。TCOAは闇のオークションだった。
 殺された神保真也のテディベアのコレクションは父からの相続だった。PC55は、元々父親の物でなく、真也の兄・慶一の母の物だった。父が亡くなり他のテディベアと一緒に弟が相続してしまった。慶一は、テディベア作家の関彩夏と付き合っていた。彩夏は、慶一が愛するのは母親だけといういことが分かり婚約を解消していた。彩夏は真也と付き合った。真也が、テディベアを売っていることを知り別れていた。
 慶一は彩夏のこと、真也から母親のテディベアを取り戻すために真也を殺した。

 真也が持っていた百体のテディベアは、登録捜査協力員の一人が債権者から買い受けミュージアムに寄付するなど、公開できるような方向を目指すということになるだろう。
 

2023年3月14日火曜日

貸し物屋お庸謎解き帖② 百鬼夜行の宵

貸し物屋お庸謎解き帖② 百鬼夜行の宵 平谷美樹 

 凧、凧揚がれ 十才ぐらいの少年が凧の骨を借りに来る。破れ凧を貸す。庸は後を付けて見る。長太は、亡くなった父に自分と母親を書いた絵を見せるために凧にして揚げていた。薮入りにまた借りに来ることを予約して帰る。

 貸家と散り桜 家を貸したいと仲介をしてくれと依頼される。庸は家を見に行く。閉じこめられる。お守りの中から姉が動くなと教えてくれる。何人もの亡魂がいる。瑞雲を待つ。瑞雲が払いいなくなる。一年二十両の十年払いを要求される。

 百鬼夜行の宵 僧着を借りに着た男を付ける。長屋で亡くなり成仏していない男の幽霊にお経を唱えていた。この長屋は成仏させてくれると亡魂が集まっていた。お金がない長屋の者に替わり瑞雲と交渉し亡魂を連れてくればただで払ってくれると言う。庸は成仏させてやるとお守りを掲げ導く。同心・熊野五郎左衛門が心配することはないと言いながら、庸は浅草の東方寺にゾロゾロと亡魂を連れて行った。見える人には見えるらしい。翌日の瓦版を賑わせた。

 貸し物卒塔婆 評判の悪い若旦那三人組が、卒塔婆を借りに来る。庸をいたぶる算段だった。湊屋本店の清五郎が動いた。庸をおびき出した破れ寺に熊野と手下、綾太郎と陰間十人が張り込んだ。若旦那二人は、亡霊に脅え飛び出したところを熊野に捕まった。清五郎は店の主・父親たちに金で解決することを止めた。他の娘が訴え二人は三十日の戸締めになった。
一人は反省して庸の件には参加しなかった。お咎めなしだったために、一軒一件誤って廻った。
 
 信輔と十人 綾太郎の発案で、陰間長屋の住人を店の裏の小部屋で待機したもらうことになった。仕事の無い日は二食、仕事のある日は駄賃を出す。不審の客を調べる時のためだった。布団を十組借りにきた。信輔は元女衒、病気になりもう少しで命が尽きることが分かり内藤新宿の最も女郎にきつい店の女郎を足抜けさせようとしていた。信輔は庸に手を出すなと言う。
庸は最後まで遠目に見ていた。順に遊女を逃がした後、信輔も江戸を出た。
 
 雪と綿帽子 庸を女中に雇いたいと言ってきた陸奥国神坂家二万石の江戸家老・橘喜左衛門が、腰元の輿入れのための花嫁衣装を借りにきた。庸と同じような体型なので庸が品を納め仮着して選ぶという。庸は背中の傷を見るためではないかと思う。見たいなら見せてやればいいと思うが、庸はそこまで覚悟が出来ていなかった。着付けの留と綾太郎と二人で着付け部屋に入り二人に隠されて着替えをする。庸は背中全身晒しを巻いていた。
 どうして神坂家が庸を女中に雇いたいのか理由が判らない。清五郎は知っているだろうけど話してくれない。庸は綿帽子姿を清五郎に見て欲しかった。

2023年3月12日日曜日

相続専門の税理士、父の相続を担当する

 相続専門の税理士、父の相続を担当する 清田幸弘

2023年3月8日水曜日

隠密船頭〈十〉  獄門待ち

隠密船頭〈十〉  獄門待ち 稲葉稔

 南町奉行所内与力並・沢村伝次郎は、奉行の筒井に、裁きを下した事件を再捜査してほしいと頼まれた。

 大身旗本の子息二人が殺された事件だった。槍持だった下手人は死罪を待つ状態だった。処刑まで時がなかった。

 伝次郎が調べ、一年年季の浪人だった。砧半兵衛。首を締めたのは彼の脇差しの下げ緒だった。
 口書きを採って、二人の父親に半蔵の助命嘆願と砧の訴状を書いてもらい花押を貰い筒井にわたす。老中の許可を貰い市中引き回し途中で取り止めになった。

2023年3月6日月曜日

剣狼の掟

剣狼の掟 鳥羽亮 

 怒りの簪 片桐京之助はゆきを処刑した。死の間際に簪を託され、この簪で源次を殺してと頼まれた。京之助は源次の悪を暴きゆきを捕まえた定町廻り・卯月に捕まえて貰った。京之助が、ゆきの簪を見せ簪がおまえをここに連れてきたと言って源次を処刑した。

 首斬御用承候 狩谷唐十郎は旗本から家臣の切腹の介錯を頼まれる。日を置いて別の女中と逃げた家臣の切腹の介錯も頼まれる。彼は逃げていた。見つけて事情を聞く。旗本横瀬の当主は、手を付けた女中に若い家臣に近寄らせ情を交わせ、切腹の理由を付けて刀の試し斬りを頼む。天野は、試し斬りの刀を冥土へ同行したいと言う。唐十郎は天野の介錯時、わざと失敗し、刃こぼれを起こし、鈍刀だと言った。

 人斬り左内 秘剣腕落し 小野寺左内の道場の近所で腕落しを使った辻斬りが二軒あった。腕落しは左内が使う、富田流の秘剣だった。籐兵衛が、十左衛門が殺したことを伝え十左衛門が付いている森蔵の殺しを依頼してくる。左内は森蔵を十左衛門の得意技・咽突きで殺す。左内と十左衛門は六年前の決着を付ける。辻斬りの証拠を十左衛門に残す。左内は籐兵衛を森蔵の仇と言い、匕首で殺す。左内は、つなぎ役の益子屋新造を通してだけ人斬りをする。鉄則の一つだった。

 剣狼 秋山要助、博徒の親分に頼まれ出入り助太刀をしている。若い朝倉が手合わせを願う。博徒の助っ人で傷を負った。朝倉が助太刀してくれた。事が収まった後、朝倉恭之介が真剣勝負を挑んでくる。秋山は朝倉の刀身ごと斬り下ろした。

 幽霊党 幽霊が出る、後でお金が盗まれていることに気がつく。そんな事件が何件も起こる。
 千石の旗本早川家の三男・波之助は調べ始める。幽霊の出た商家は近々の間に大工が入っていた。大工の棟梁が盗賊の頭だった。隠れ場所を用意していた。

2023年3月4日土曜日

向島・箱屋新吉 新章 〈三〉 決断の刻

向島・箱屋新吉 新章 〈三〉 決断の刻 小杉健治

 定町廻り同心・梶井扇太郎は、闇猿という盗賊を追っている。二ヶ月程前まで武家屋敷を専門に狙う盗人がいた。それが商家を狙い闇猿になったのかもしれないと思っていた。
 扇太郎は、芸者・葉の客・利三郎に目を付けた。
 新吉は命を狙われている。町奉行職を狙う八巻貞清は、家臣を使って町奉行になることが決まっていた勘定奉行笠木を暗殺した。暗殺者・茂太の顔を知っているのは新吉だけだった。だから命を狙われると思っていた。

 梶井は「闇猿」を捕まえた。身軽な年寄りと錠前を開けられる年寄りが二人、大切な人のために五十両を盗んだ。一度で終わるはずだったが、刺激を忘れられず回を重ねていた。一回五十両。六軒に入ったと言う。五件分の金は残っていた。梶井は五件分を持たせ自主させる。一軒から被害届けが出されていなかった。「長崎屋」には抜け荷の品があった。

 新吉は、利三郎が武家屋敷を狙う盗人だと判った。八巻の屋敷で茂太に捕まり利用されていた。新吉は利三郎を使い、茂太に近づく。
 八巻が次期町奉行に決まった。
 八巻と老中・坂城越後守の関係、長崎屋の関係を知る。新吉は茂太こと奥野茂一郎や他の八巻の家来、坂城の家来、長崎屋、梶井などがいる前で、抜け荷で結びつく、商家と藩と次期町奉行の関係をしゃべった。梶井は最後の仕事として奉行が長崎屋の抜け荷を徹底して探索するように命じたことを話す。

 八巻は謹慎になった。奉行職の芽はなくなった。
 奥野は新吉に挑み殺された。これで楽になれると言葉を残した。