おやこ相談屋雑記帳① 出世払い 野口卓
猫は招く
ハツが、「駒形」に来たきっかけは、夢の中で猫が、駒形という将棋会所があると教えてくれたからだと告白した。
猫が三匹、信吾に噂の猫の集まりがあることを知らせてくれた。信吾と波乃は、そこに行く。何匹もの猫が集まっているが話しをしていない。信吾は話しかけるが反応はない。
猫は猫の世界でいきている。
山に帰る
看板が「おやこ」に変わったことで、竹輪の友たちが、お祝いを言いに来た。
高丸と名乗る青年に相談したいと呼び出しを受けた。故郷・美馬のおいしい料理の話をして相談を受けずに帰ってきてしまった。すぐ二度目に会う。高丸は、自分のやりたいことが定まらないようだった。信吾の相談所開設の話しを聞き、将棋会所を見て帰る。
十二日後、三度目に会った時、妻になる人を伴い、美馬に帰ることになったと伝えた。明後日と言っていたが、翌日出立したようだ。手紙が残されていた。是非、お二人で美馬にお越し下さいと書かれていた。
信吾は三四年すれば行けるだろうと計算した。
サトの話
信吾が十二才の時、サトに話しかけられた。出会えば時々話しかけられる。
相談屋と将棋会所を開いて数日した時、久しぶりに出会った。サトは開いたことを知っていた。サトの家が分った。息子が二人で、一人は番頭、次男は手代をしている。主人は、通い番頭だと話した。
サトの亭主が亡くなった。サトは元気に話かけた。
サトは目が悪くなったようだ。
サトが亡くなった。長男は、独立し店を持ち、妻も子もいた。一緒に住もうと言われても妻と合わなくて拒んでいた。亭主が亡くなっても一人で住んだ。七十一才だった。信吾は六十位に思っていた。
同志たれ
天眼が、相談屋のことで話に来た。信吾のところに相談屋について聞きにきた男が、困ってそうな金持ちのことを調べ、相談にのってやると強請まがいのことをしている相談屋になっていると言ってきた。
相談屋を始めるという男が来た。雲似郎という二十七才の男。
天眼が、悪徳相談屋にご注意 弱みにつけ込み大金を と瓦版を書いた。相談屋がどんなものかを書くにあたり信吾のことを書いた。相談屋に、ただしゃべるために来る客が増え、宮戸屋へ呼び出されることが続いた。波乃も一緒に行く。波乃はどんな人に会えるか楽しみだと言った。
出世払い
二年半前に相談に来て、今はお金がないのでといい、一朱を置いて、出世払いでと言って帰った園造が、来た。頂く気がない信吾を何やかやと言って帰す。
この頃では、お金が有る者が、出世払いでいいからと使うようになった。元々は、お金のない者が、なんとか融通してほしいというもの。
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