芋洗河岸3 未だ謎 完 佐伯泰英
小此木善次郎が一口長屋に住み始めて二年が過ぎた。
神田明神で一年前から続く賽銭泥棒の捕縛に乗り出し捕まえた。シング神具誂えの高砂屋一門だった。賽銭箱を二つ用意し、小銭の入った賽銭箱と釣り上げて交換していた。
賽銭泥棒を捕まえた礼金は、高砂屋一門の代わりに神具誂えをする、高砂屋分家の指導料に使われることになった。
越後屋の要請で、松平邸に行く。次弟の継右衛門との立ち合いで小此木が勝てば借財の一部四千両を返済、継右衛門が勝てば、八千三百両の借用書を廃棄するという。継右衛門は亡くなった。越後屋は四千両を持ち帰り、松平家の借金を帳消しにした。
善次郎は継右衛門を斬ってしまったことに後悔した。
長屋の一室に半二階を作った八五郎たちは、越後屋に報告する。越後屋はこんな危ない物は駄目ということで大工を入れ正式な半二階を造作した。善次郎の長屋は、増築された。一階は台所土間と二部屋になり、二階ができた。二階は周回廊下で囲まれた床の間付きの六畳間だった。
二階で、中秋の名月と不忍池に反射した光で愛刀・國重の抜き身が、神秘の光に彩られていた。今後自分の成すべきことを考える。
生後一月の犬を長屋で飼うことになった。息子・芳之助に、もみじを家で飼いたいならば道場の稽古に行くと条件を付けた。
善次郎は愛刀を封印した。越後屋の共で真田家に行く。善次郎は竹棒で対する。越前屋嘉兵衛は家老は向後百年を熟慮し、あえて惨敗という結果で、奮起させようとしたのではないかと思った。
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