北の御番所反骨日録〈十一〉 霧の中 芝村凉也
裄沢が、頭を殴られてから二日目、北町の来合轟次郎の元に裄沢の行方不明が知らされる。奉行所の同心等が調べるが、全く手掛かりがなかった。非番月の後、十日足らずの間待つ事になった。
裄沢の目が覚めた。南品川の漁師町の州崎の飲み屋の縫の所にいた。倒れていたところ杢助に運び込まれた。裄沢はまだ頭が痛く、記憶をなくしていた。
杢助というのは元芝居小屋の親方で一座の何人かで盗賊団だった。裄沢に目を付けらればらばらに逃げていた。ばらばら逃げた中の三人が、裄沢が潰した海賊団の船で逃げていた。彼らを探すと海賊に殺されていたことが分った。海賊のことを調べるために海賊船の賄い夫になっていた。杢助は、裄沢に知らせ三人の仇を討つつもりで裄沢を拉致していた。裄沢が記憶を失っていることで狂ってしまった。
日が経ち、何も覚えていない裄沢だったが、やはり裄沢らしくなる。杢助は、全てを裄沢に告げる。裄沢は、海賊が新しく作った太物の店のことを御番所に手紙で知らせる。奉行所は店の者を捕まえた。海賊船はまたもや逃げていた。裄沢は海賊の親方の助っ人に来合並の剣客がいることを知り捕まえに行っても怪我人が出ること必定と考えた。
杢助に毒物を渡し、杢助の考えた通り仇を討つ事を承諾する。
御番所に帰った裄沢は、杢助のことは話さなかった。お奉行も不自然さを感じていたが追求はなかった。
裄沢は縫のところに行った。縫も元は一座の座員だったが、早くに抜けていた。杢助に頼まれて助けていた。縫は、何となく杢助がしたことを知っていた。その後、海坊主と言う海賊の噂が聞こえなくなった。
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