てさばき アンソロジー
艶化粧 梶よう子(とむらい屋颯太)
死化粧を生業にするちえ、化粧品を売る角屋の娘・民と仲よくなるが、自分が死人に化粧をしている事は言っていない。同心・韮崎が、身元不明の女の遺体があると言う。痣がある女が毒を飲み死ぬ事件が何件も起こっていることを知る。毒・万年青が入った薬袋と同じ物を民が、持っていた事ことを思い出す。民の母親がちえがいなくなったと探しにくる。遺体を確認に行く、民ではなかった。民から文が来た。ちえは角屋に急いで行った。
月満ちる 坂井希久子
二十歳の美登里は産婆見習いとして祖母・利久に付いている。店の主に手を出され店を追われ、身籠もった千代が来た。中条流の紹介を頼む親娘に、美登里は、頑張って産みましょうと言って帰す。逆子でお産する紋に、覚悟を促す利久。利久は逆子のお産も成功しているという美登里。千代が自殺する寸前と聞いた利久は、美登里を家に帰す。
千代は、前の家の中将流の源斎の世話になった。紋のお産の時、源斎が呼ばれた。美登里も行き、手伝う。源斎も利久とお産の手伝いをした。源斎は、自分の母のように思っていた美登里の母親がお産で亡くなった時、何も出来なかった。その時から父親から中条流を習い始めた。みんなが等しくお産が出来るわけではないことを習ったと話す。
残り香 篠綾子
仙薫堂の娘・みつ。主は病気療養中、練り香職人は引き抜きに合い、線香職人の泰介だけが残る。みつは、薬問屋の三男・千之助を婿にと店に入れたが、破談になり帰った。千之助が、香の商いを始めるため、引き抜きをし、伽羅と練り香の秘伝書を狙っている。そんな仙薫堂に梅里なる隠居が現れ、亡き妻の思いでの香の練り香を注文する。みつは最後の仕事と、簡単に書かれたヒントを参考に店のために作業所に入る。でき上がった香が気に入った梅里は、仙薫堂を助ける。泰介の修業が終わる後までの二年は、今まで通り店を続けることにした。
針の歩み、糸の流れ 山口恵以子
しまは腕の良い、仕立屋だった。いつも仕事を出してくれるさかえ屋の幸助が、詐欺に引っ掛かり、二百両程の穴を空けたと聞いたしまは、仕立ての早さで賭をして百両調達し、幸助に渡した。幸助は店の娘と婚姻し、店を継ぐと言う。しまは、早縫を認めてくれた巴屋に移る。巴屋の内儀は、しまが納得できれば、認められる者に技術を教えてやってほしいと言った。三年経ち、しまが、技術を教えようかと思い始めた時、事故に遭い、しまは亡くなる。
うわなり合戦 蝉谷めぐ実
炭屋の雛は、町名主の家に嫁に入り、婚家の要望で勝という名に変わった。町名主の権之助の元に町民が訪ねてくる。佐那がうわなり打ちの仲人の依頼が勝にくる。佐那の方が部が悪いと思う権之助は心配するが、勝は大丈夫と言う。当日、打ち合った後、一騎打ちに鳴った時、夫・清九郎が飛び込んで来る。勝は、清九郎が、朝顔の肥料のために赤子のうんちが欲しく、そのために赤子を抱えたりょうに目を付けたことを暴露する。先妻側も後妻側も、朝顔の鉢を壊す。やめ!勝の一声で終わった。勝はうわなり打ちの仲人が嫌いではない。女が己の心を晴らす唯一の手段だから。
万年橋の仇討ち 藤原緋沙子
千加は女髪結い師。六年前、父親は、高島藩、勘定組賄い方、薪、炭、野菜魚仕入と支払い金銭の計算と確認が仕事だった。千加、十六才の春、不正によって成敗された。同役の崎山平左衛門に斬り殺された。五日後には母親と江戸に出た。町中で崎山を見た。父親の形見の着物の衿から、父親の遺書、崎山の不正の書類が見付かった。奥様方に紹介する簪打ちの與之助。彼の亡くなった父親は浪人で、與之助が町道場で剣術を習っていることを知った千加は、彼から剣術を習う。千加の友達が高島藩の上屋敷にいることを知った千加は、彼女に書きつけを渡す。崎山の行動を知った千加は、與之助の力を借りて崎山を狙う。與之助は怪我を負ったが、千加は崎山を倒した。番屋へ行った千加の元へ、高島藩の用人が仇討ちと認めた知らせが来た。千加は外科医・玄斎の家に向かって走った。
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