2024年11月28日木曜日

新・口中医桂助事件帖② ほうれん草異聞

 新・口中医桂助事件帖② ほうれん草異聞 和田はつ子

 金木犀禍
 虫歯削り機が少しは使うことが増えた。
 ウイリアムの紹介で知った福沢諭吉が、長与専斎の願いを聞いて欲しいと手紙を寄越した。医業開業試験の口中科学及び臨床実験の審査員をして欲しいという内容だった。
 金吾が、男に襲われ歯を折った美音を連れてきた。金吾は警邏官をしている。見回りを強化する。ゆみが男に襲われ歯を三本折った。ゆみは大尽佐竹屋の跡取り息子と結婚が決まっていた。白無垢が出来上がっていたが、結婚は破棄された。手掛かりは、金木犀の香りだった。
 桂助は二人に断りの手紙を送った。
 ゆみの自殺行為を受け、何軒も起こっている暴漢事件の究明に乗り出す。金木犀いっぱいの屋敷の警護をしている大熊が死体で見付かった。
 桂助は大警視川路利良から裁判医学官として奉職して欲しいと頼まれる。医者巡査になり、大熊の死の原因を精査することになった。大熊の死は殺人だった。
 暴漢事件の犯人は、佐竹屋の息子だった。最初の事件で喜びを感じてしまい、数を重ねていた。他にも暴き出されたが、裁判になるまでに起こった大火事で店も家族も共に亡くなった。
大熊は調べに入っていて見付かって殺された。金吾は一等巡査、桂助は骸検視顧問二任命された。ゆみは見抜けなかったことにショックを受けた。洋服作りの修業をすることにした。
 
 バニラの花
 桂助の医院に腹を刺された爺さんが来た。金吾が子ども・正太を連れてきた。自分で育てようと思っている。爺さんを刺したのは正太のようだ。父親の敵だと言う。父親はアイスクリーム屋を始めようとして契約が駄目になり死んだという。爺さんは氷で大儲けしている中島氷会社野社長だった。正太の父親の死の真相を調べた。正太の思いが間違っていたことが分かり、正太の持ち物の中にアイスクリンの詳しい作り方があったため、正太は中島屋とアイスクリンの会社を始めることになった。正太は、孤児かと思われたが、光恵寺の月照尼が、母の妹だと分った。寺の庭を借り、大きな温室を造りバニラを栽培することになった。
  
 ほうれん草異聞
 桂助夫婦と、鋼次夫婦は、速水邸のディナーに行った。主は、万之助、息子が宗太郎、妻・公子、若夫婦には娘・和子がいた。万之助は、公子が元公家だから嫁にしたと口にする。書生・東川と公子付きの女中・君江がいた。
 ワインを飲み、宗太郎が倒れた。次の飲みかけた万之助が倒れた。万之助は吐き出したいそうなことにはならなかった。宗太郎は、桂助が胃洗浄をする。気が付かず眠っている。
捜査を開始する。自分が毒を入れたと書き置きし御者の佐吉が井戸に飛び込んだ。書き置きを見た万之助は卒中で倒れ、寝たきりになった。事件は佐吉がしたこととなった。
 桂助は、宗太郎にぶつけた。宗太郎と東川の関係。東川を殺人者にさせないために自分はトリカブトを飲み、万之助には石見銀山を飲ませたこと。佐吉は宗太郎の実夫であること。
 宗太郎と東川は今まで通り屋敷に住み、公子は、和子の友達がいる向島に家を建てて、万之助を看ながら暮すことにした。

 どんぐり巡査
 鋼次の長屋の田村佳代が死んだ。元盗賊の佳代は黒装束で世話になった、元警官の神山の家に忍び込み神山を傷つけ逃げるとき、木から落ちて死んだとされた。
 桂助は、元盗賊に神山が金持ちの盗みの仕方を伝授し、そのことを知った神山を戒めに佳代が来た。佳代を落とし、後自分で傷つけたのだろうと言った。神山が、駆け落ちしようとした娘を殺してしまってから神山は変わってしまっていた。
 川路は、文句があるなら骸検視顧問の職を解くと言った。
 神山は心臓発作で死んだ。
 

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