前略、山暮らしを始めました。8 浅葱
佐野昇平26才 ニワトリ三羽と山で暮して一年が経った。このニワトリ達は嘴の中にぎざぎざの歯が生えている。恐竜みたいな鱗のついた立派な尾がある。どんどん大きくなり、カタコトだけどしゃべる。東隣の山には、佐野より二年前から、大トカゲを飼っている桂木さんが住み、東隣の山には、佐野より三年前から、大蛇二頭を飼っている相川さんというイケメンが住んでいる。
春になり、山の麓の湯本さんの隣の畑で悪さをしていたイノシシを捕まえたことで、ニワトリ達の派遣も終わった。山を降りていた桂木さんも山に戻った。雪が降った。佐野は桂木さんの家の様子を見に行き、佐野の家の雪かきは相川さんが来てくれた。相川さんの家は、屋根の雪下ろしは必要なく、庭(見える範囲)大蛇のリンが、雪を嫌いで勢いよく雪を除く。佐野はニワトリに聞く。ニワトリ達は、イカナーイ、イクー、サノーイッショと三羽がそれぞれに答える。
ニワトリのユマが大きくなって、佐野と一緒にお風呂に入れなくなってきたので、風呂建設の話が出ている。生活費もいるので昇平は仕事をしようかと考える。相川さんが仮想通貨の運用をしてくれると云うので、10万円を預けた。
久しぶりに墓参りをし、冬の間行けなかった神様の祠がある山の頂上へ一時間かけて登る。
佐野の山の炭焼き小屋の近くにある桜の木を見つけた。桂木姉妹と相川さんを誘って花見をした。三羽のニワトリとドラゴンのタツキも一緒だ。相川さんと桂木さんが食事を用意してきた。
翌日、元山の持ち主・山倉さん三代が来る。元庄屋の夫婦は墓参りまで、息子・圭司さんとその息子・将悟君・今年中学生。三羽のニワトリを紹介する。まず、墓参り、ニワトリ達に先導してもらって道なき道を登る。将悟が、村祭りで釣ったザリガニを逃がしてしまい、近くの川で繁殖してしまったものらしい。伝えてなくて済みませんと謝る。昇平は、昨年、ザリガニが多いのに驚いて、相川さんのリンとテンに食べて貰った。相川さんの手土産にバケツにいっぱいザリガニを持って行っていた。伝えなくて申し訳ないと謝る圭司さんにも、この山を買えたことに感謝しているから気にしないで下さいと伝える。将悟はユマと仲良くなり遊んでいる。山神様に祠を墓のところに下ろしていいかと尋ねれば、風が吹き、気が向かないといわれたようだ。次は、山上様用の祠を持ってくると言って帰った。
家の中に神棚を作ることにした。
翌日、相川さんと、町へ買い物に行く。リンもユマも行く。神棚を買った。相川は、お風呂リフォームにしましょうかと言う。相川さんは手製の露天風呂なのだ。相川は、仮想通貨が値上がりして十万円がすぐ出来るようなことを言った。
次の日、山の頂上に登るための道を作るため山の手入れに行く。ゆっくり進めますね。と言うと優しい風が吹く。
豆腐屋が、試作品に作った干豆腐をくれた。相川さんに伝えると、調理したいと家に来る。泊まって帰る。
例の彼女を町で見かけたと連絡が入った。忘れようとしている昇平は、思い出していやな気分になり。母に思い出したくないから、見かけても何も伝えて欲しくないと連絡する。
湯本のおちゃんと山の手入れをした。山の上へ行く道を整備したいのでこれからはたびたび来ます。と山上様に報告すると。ほどほどに〜と風が吹いた。おっちゃんは、ずいぶん積極的な神様だなと呟いた。おばちゃんのお弁当を食べて、午後は川へ行った。
次の日、松山さんの養鶏場へ行く。チキンを買い、お昼をご馳走になって帰る。電気を使わない保冷材で冷やす冷蔵庫をもらって来た。ニワトリ達の餌を入れる。
桂木さんのナル山の神様の祠を探しに行く。山の手入れを頼んでいるオジサンが案内してくれる。妻木さんと元平さん。祠を見つけて帰った。昇平はカレーを食べて帰った。川をみに行く。
昼、相川さんの所に行く。椎茸がいっぱい取れて椎茸三昧だった。椎茸の原木の量はすごかった。昇平は四十五リットルの袋で頂いた。湯本さんに、三十リットルの袋でもらった。ポチは三本分の椎茸を食べた。
次の日、おっちゃん家に行く。お昼ご飯を頂いた。
明後日、筍掘りをすることになった。
四時前に、湯本さん、陸奥さん、戸山さん、相川さんが集まり筍掘りをする。
大鍋で茹でたり、刺身にしたりした。刺身とイチゴ、皮を剥いた柑橘類、リンゴ、軽くゆがいたシイタケを三羽の前に並べる。三羽の一才の誕生日のお祝いだった。食べると、ポチとタマは山へ遊びに行った。
五月、相川さんを誘って町へ買い物に行くと、相川さんはナンパされた。桂木姉妹が気を利かせて助けてくれた。お礼にシイタケを渡していた。お弁当を持って相川さんに家に寄る。相川さんの味噌汁、切り干し大根、菜の花の胡麻和え、筍の煮物、を食べた。シイタケも貰って帰った。
三日、四日、五日、山倉さん親子が来る予定。
前日、昼、タマが、イノシシーと帰ってくる。ニー。おっちゃんに連絡する。秋本さんと結城さん相川さんが来てくれた。三頭になっていた。
三日、朝、タマが昇平の足の上に乗って起こす。オキャクー。
山倉親子と墓から山頂への道を作る。幅二メートルぐらいの幅で草を刈る。昼はシイタケ料理を食べた。三時くらいまで頑張ってイノシシの宴会に行った。イノシシの解体費用を出そうとしたら、ニワトリさんが狩ったものは佐野さんから一円もいただきません。と言われた。昇平が気が咎めるというと、お風呂場を改築させて下さいと言われた。大工仕事は楽しい。陸奥さん、おっちゃんにも言われた。みんなでイノシシ料理を食べて次の日の昼、昇平と相川は、おっちゃんの蕎麦を食べて帰った。
五日、山倉親子と山の手入れ、山倉さんの奥さんがお昼ご飯を作ってくれる。シシ肉の唐揚げだった。将悟君も山で暮すのは理想だと言った。二日で、二メートル幅、二十メートルほど進んだ。
不法投棄のゴミをゴミ処理場に持って行き、帰りに豆腐屋さんで豆腐製品を一通りおからをたっぷり貰った。おばさんは豆腐皮を作っていた。相川さんが言ったのだ。お試しで貰い、干豆腐は買った。
次の日、相川さんが、豆腐皮を使った料理を作りに来た。リンも来た。ザリガニ取りに行く。相川さんは、京醤肉絲や、焼二冬、豚肉の代わりにシシ肉を使って作った。トマトと卵の炒め物。豆腐皮は細切り肉、白髪ねぎ、キュウリを包んで食べた。干豆腐も和え物になった。リンとユマがバケツいっぱいのザリガニを持って帰ってきた。リンは、サノ コマル リン クルと言った。
スローライフを営むつもりで、山に籠るつもりでここに来たのだが、山暮らしは忙しい。
山に引きこもることにしたある男の話 相川さんの話
ヒヨコの成長は止まらない おっちゃんとヒヨコとのマムシの契約。
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