2025年10月22日水曜日

京都梅咲菖蒲の嫁ぎ先〈三〉 小さな恋の結末

 京都梅咲菖蒲の嫁ぎ先〈三〉 小さな恋の結末 望月麻衣

 京の町で、若い男女が神隠しのように失踪する事件が発生。菖蒲も時雨書房のアルバイトからの帰りに忽然と姿を消してしまう。事件に怪異”土蜘蛛”が絡んでいると判り、立夏は敵を追うために己の中の白虎の力を目覚めさせるべく、独りで山に修業に籠る。

 昔、朝廷を認めない力を持った一族がいた。朝廷が力を持ち一族を追いつめ虐げた。一族は土蜘蛛と言われた。
 神子や技能者の認定試験を受ける者がいるが、能力があっても一族であることが調べられ落とされた。能力者と認められることはなかった。
 今回、そういう者が集められた。菖蒲は、麒麟でありながら、斎王になれず落とされたと思われていた。
 一族を、土蜘蛛の力を持つのは、西園寺金吾だった。千花が嫁いだ男だった。西園寺は、自分と同じ力を持つ子どもが欲しかった。独り白虎と土蜘蛛の力・力を籠らせる力を持つ者がいた。彼の力のために、桔梗や蓉子、藤馬らの力が発揮できなかった。
 帰ってきた立夏は、時雨書房や、椿邸、神泉苑の呪符を取り除く。
 大原で、妻・小百合と息子・鷹矢と暮す春鷹は、自身の力を取り戻していた。立夏と藤馬が訪れ、力を借りる。
 立夏は、彼らの力を借り、蓮池の儀を行い、菖蒲と話し居場所を知る。
 菖蒲は逃げ道を知った。千花の手を握り西園寺の全てを知った。洗脳される攫われた少女たちにまずは自由をと地上に逃げる。桂子に土蜘蛛のところへ連れて行ってもらう。広場に土蜘蛛を誘導した立夏が弓を引こうをしていた。菖蒲は、土蜘蛛の怒りに対して攻撃では駄目だと言う。時雨書房の編集員・松田に、あなたにしか出来ないやり方で土蜘蛛を収めてほしいという。あなたにしか出来ないやり方で世の中を変えてほしいと。想いを集められるあなたに、恨みや憎しみを集めるのではなく、改善したいと思う者の心を集めてほしい。宜しくお願いしますと。みんなからの言葉を聞き、西園寺が怒りを表し、土蜘蛛を動かせと言う。松田は、土蜘蛛を金吾に向けた。
 金吾は、能力と記憶を失った。息子・松田と銀次は警察の取調を受けている。父親の命令に従ったことで情状酌量の余地がありそうだ。
 
 桜の華が舞う中、菖蒲は立夏と祝言を挙げる。結婚後、撫子も一緒に梅崎邸で暮す。

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