2016年4月7日木曜日

一膳飯屋「夕月」

一膳飯屋「夕月」 しだれ柳 荒崎一海
 文政八年 1825年 
 片桐晋悟33才 御前所御台所人五十俵御役金十両の御家人片桐家の三男。勘当同然で山谷堀に「夕月」を出して四年目になる。恋女房・おちよ 一男一女
無外流小太刀 店で働く次郎太17に小太刀を教え始めた。女中たちを送ってゆくため護身用だ。
浅草寺の裏手に住んでいる、麻布市兵衛町の六千五百石の隠居・曽我伊賀守助猷・竿望斎61・元書院番頭が襲われているのを助けた。竿望斎は晋悟の料理のお得意様だった。晋悟が剣を使うことを知らなかった。無海流小太刀免許皆伝・師匠を看取った。師の形見の大小が七振りある。
店を出す前から定町廻りの同心・宍戸兵太夫42の手伝いをしていた。今、南町奉行所臨時廻りになっている。晋悟の考えを聞きに来る。剣が使えることは知らなかった。
竿望斎が襲われ竿望斎の嫡男・曽我主水助順28・中奥小姓に父のことを頼むと言われ、兵太夫に相談し、岡っ引きを借りる。書院番士にもかかわらず博打をし、目付に知られ小普請に入れられた。竿望斎の所為だと思っていた。竿望斎が呼び出された時、晋悟が守り竿望斎は身を慎めと諭す。
しだれ柳 時々来ていた山谷堀一の芸者・二代目小万がくる回数が増えた。花川戸町で湯屋をやっている御用聞き・金蔵に小万のことを探ることを頼んだ。先代の小万に袖にされた商家の主の姉が二代目小万に意趣返しをしていた。日本橋の商家の若旦那の名前を騙り役者に夫婦になろうと持ちかけさせていた。晋悟は役者の鼻を折った。商家の姉弟のところには兵太夫に顔を出してもらった。
秋陰 夕月で働き始めたおはつ15の母親が殺された。貯めていたお金も盗まれている。晋悟は定町廻り・筧勇三郎の手伝いをするが晋悟が考えることと合わない。晋悟は独自で犯人を見付けた。隣の家の浪人だった。節穴からお金を隠している部屋がみえた。浪人は仕官を頼んでいた。相手はお金を受け取った後、国許に帰っていた。おはつとおふみ12は夕月の隣の二階で寝ており、おふみは昼間は夕月の二階で過ごしている。
残菊 小万の妹芸者・小春に禍が振りかぶっている。小万が晋悟に相談する。身請け話が持ち上がっても何日かすると断わりがくる。二度もあった。この頃は誰かに見張られているような気がする。という。金蔵に調べてもらう。小春は養女だった。実母の弟が、小春の実父と知らないで小春を身請けしようとした商家の主を身請け話から遠ざけ後で、商家の主に自分の御陰で実の娘を身請けしなくて良かったな。と強請るすもりだった。叔父にも、見張りをさせている商家の主にも晋悟は言い含める。座敷に呼ばれなくなっている小春を竿望斎に呼んでもらう。
隅田川雪景 晋悟は竿望斎の家から出てきた所を襲われ、人違いだと逃げられる。竿望斎の息子・曽我主水が狙われていることを告げる。
二組の心中事件が大川端で立て続けに起こった。晋悟は筧の手伝いをするが、全く意見が合わない独自捜査をする。隠居した晋悟も知っている岡っ引き・茂蔵も引っ張り出されているが見当違いを調べさせられている。一組目は心中で片づけられているが、女は勝太郎の子供を宿した水茶屋のおきちで、男は勝太郎の弟が相愛の船宿の娘の縁談相手だった。勝太郎が船頭の博打仲間と二人で相対死にみせて殺していた。弟を船宿に養子に入れ後で恩を売るつもりだった。茂蔵が調べ出したように見せかけ筧が捕まえた。
もう一組は主水を狙った者たちの仲間だった。作州津山藩、若君がいるにも関わらず、家斉の息子の養子話がある。五万石の加増がある。小姓を務める主水が殺され切腹する者があれば将軍家の耳に達するにだろうと思いやったことだった。失敗したことで、最も若い者と女に責めを負わせ残った者には切腹も許さなかった。残った者の一人が夕月に招かれ話して行った。

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