吉原裏同心㊲ 独り立ち 佐伯泰英
五月 墓参りを済ませた神守幹次郎が一年の謹慎が解け、麻と吉原に帰った。
京で知り合いになった掛川藩藩主・老中・太田備中守資愛に挨拶に行く。
幹次郎が八代目頭取四郎兵衛を継いだ。八代目と神守の二役をすることになった。三浦屋四郎左衛門も代が変わった。
八代目は、京都との繋がりと、西河岸と羅生門河岸の変革を考えている。
澄乃は、小見世から切見世に自分から変わった小梅の事情を調べ、内藤新宿の悪から小梅を助ける。
六年前に事件で知りあった定信の側室・香の呼び出しを受け、定信に会いに行く。
大見世の寿楽楼が居抜きで買われ、名を豊遊楼に変えた。奉公人もほとんど入れ替わった。買ったのは三島の船問屋と旅籠の主・三左衛門になっていた。八代目を襲った、松坂町の鬼の五郎蔵と繋がっていた。三左衛門は佃沖に軍船を泊めていた。二、三隻の千五、六百石船を持つ海賊商だった。
身代りの佐吉と八丁堀の桑平同心に連絡を取り調べ始める。
吉原面番所の村崎季光が、自分と五郎蔵との関わり、三左衛門との付きあいを認めた書きつけで、五郎蔵を強請った。三百両を要求した。澄乃たちが捕まえた。
三島丸三隻は大砲を積んだ海賊船だった。定信に願い、海賊船が内海に入った合図のろしが上がる。三島屋一味の隠れ湊を見付けた。交易船から強奪した品々を江戸の大商人に売渡し、ゆっくり寝込んだところをを、湾口を御船手同心たちが塞いだ。
幹次郎は船に乗り込み三島や三左衛門を斬った。勝負は決した。三島屋の船は御船手組の別動隊になり、隠された二十六万両は海防策に使われる。海賊の残党は活かして手下としてつかわれることになった。五百両は、寿楽楼の奉公人に配られた。
定信は老中を追われた。
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